先日読者の方から、日経MJで12月7日と9日の2回にわたって掲載された「ひらまつ」の一面広告をいただきました。
この不景気で広告料が減って経営が大変なマスコミ業界にとって、「一面広告」は、それはおいしいものだと考えます。
内容は平松社長へのインタビュー形式になっているのですが、その記事から平松氏の卓越した「洞察力」や「経営手腕」を感じ、インテリジェンスある人格者であることがわかります。要約してみましょう。
昨年の夏ころから今日の経済の深刻な事態を予知していたそうで、その対策をとってきたというのです。慌てて昨年末に前のめり方針から転換したトヨタの首脳とは出来がまったく違います。
「ブランドポートフォリオ戦略」(ひらまつ、ASO、ポール・ボキューズなど6つのブランド)を展開することにより、支店を増やしても店の価値の希薄化を防いでいるとのこと。来年は金沢、2012年には博多へもポール・ボキューズ系の店を出店するようです。
この時期にまだ多店舗化する強気の姿勢。トヨタの縮小方針とは180度これまた異なります。
高校時代からルソーの「社会契約論」などフランス文学を読みあさり、その後も多くの書籍を読んで学んだそうです。本田宗一郎氏の本からも経営の根幹を悟ったとも。
役に立たない政府系の有識者会議などにでず、トヨタ首脳も文学を学んでライバル(そうは思っていないかも)の創業者の本を読んで勉強していれば、今日のような厳しい状態にはならなかったのではないか。
レストランにくる客は家族と同じ。そして社員も家族なんだそうです。だから「ひらまつ」では社員には絶対に競争をさせない。社員それぞれが自分のやり方で自己表現すれば良いのだそうです。
素晴らしい。家族は縁が切れませんから、「ひらまつ」から脱退する社員はほとんどいないのでしょう。
この辺りは、つい昨年まで新入社員にまでビジネスクラスの航空券を乱発していたトヨタの社員思いと似ているでしょうか。
このインタビュー内容がすべて真実だとしたら、世界のトヨタの歴代脳陣よりはるかに素晴らしい経営者であることになります。マスコミに「政府批判をやめないなら広告を減らしてやろうか」と恫喝した奥田元トヨタ会長とは出来が違う。
今年慌てて大政奉還しましたが、この東証二部上場会社の社長である平松氏を社長に引き抜いた方が、トヨタの再生ははやいのではないでしょうか。ただしインタビュー記事にある内容がすべて真実であった場合に限定での話であります。
この記事内容を信じる読者、いやひらまつ社員が多いとは思いませんが、数年後の「ひらまつグループ」に1つの結論が出るのではないでしょうか。
最後に。あの美術館にあるポール・ボキューズ系の大箱レストラン、夜に客が入っているのでしょうか。