最近訪問した店 短評編 50

2009年も残すところ1週間あまり。忘年会も一段落ついたのではないでしょうか。といいますか、例年ほど多くの忘年会が開催されなかったかもしれません。師走は飲食店やタクシーの一番の稼ぎ時であるはずですが、この年末はまったく加熱しなかった感じであります。結構簡単に店の予約が入りましたし、一番混み合うと思っていたクリスマスイヴ前の金曜日(18日)でもタクシーは余っておりました。
キャパの大きくない高額店の話では、「良い日もあるが散々な日もあった」、「閑古鳥ばっかり」と景気の良い話はありません。一部の予約困難な店(京味、ロオジエ、カンテサンス、小十、アロマフレスカ、かわむら など)以外は、一般客にとって訪問しやすくなっていると言えるでしょう。

いやもう一軒ありましした、予約殺到?の店。読者の方から聞いたのですが、「めしとも」での原稿料貰いながらの自己宣伝が利いているのか、来栖けい氏経営の「エキュレ」の予約が年内どころか年初も入らないというのです。
閑古鳥と予想していたのに意外であったとのことですが、この不景気の中での盛況さに私も驚きました。ひねくれた見方をしますと、空いているのに無理に断って「過熱感」を出そうとしている高等戦術の可能性もあるかと。あの「カンテサンス」も受話器をあげるなどオープン当初(まだ予約が殺到しない時期)の戦法をとっていましたので。

さて3店です。

L’Astrance パリ
「カンテサンス」岸田シェフの修業先と言うことで今回のパリ訪問の目的の1つでありました。簡単と言いますか結構安普請な店内。客層もテーブルで携帯を何10分もかけまくる女性(欧州人)やカジュアルな服装の人など、日本人が抱く「3つ星レストラン」のイメージはありません。
コースは190ユーロ。魚も肉系もほとんどフルーツソースばかりなのは予想通り。ただ意外だったのは、子豚の焼き物。皮目をカラメライズしていましたが、火が入りすぎでした。岸田氏がやめて、焼き方の質が劣化したのでしょうか。焼きがウリの店で火の入りすぎはいただけません。
料理は期待通り?私の好みではありませんでしたが、100ユーロ追加してのワインペアリングには満足しました。
私の態度が他の客と違ったのか(態度がでかいと判断されたのか)、ソムリエはすべてのワインをブラインドで当てろと最初から挑戦的。
6種のワイン(すべてデカンタージュ)が出てきましたが、セパージュは3勝3敗。そのうち1つはスペインの混醸(しかし混醸は当たった)、もう1つも安めの酒精強化(ポートと間違えた)ですから、まともにはずしたのはトリンバックのリースリングだけ。かなりデカンタで時間をかけて攪拌していたのでSBと感じてしまいました。自慢になってしまいますが、こんなにテイスティング力があったのかと自分でも驚いたくらいです。
この店のワインペアリングの良いところは、おかわり自由で客によってワインを変えているところです。私の赤ワインはコルトン2000年(コート ド ボーヌまで当てられた)でしたが、隣の夫婦にはボーカステルのCDPでした。料理は全く同じですから、料理とワインの「マリアージュ」なんて実はいい加減なものです。
焼き肉フレンチ、もとい、ロースト主体のこの手の店のお約束でしょうか、30分遅れて入店してきた客も先に入った客も、終わる時刻はほとんど同じになるのは仕方ないことか。
ワインサービスは良かったですが、料理を考えると友里の再訪はないでしょう。

?

L’Ambroisie パリ
今回の旅行で最も期待していた店でした。人気店のようで夜の予約が入らず昼の訪問です。一人だったのでスペシャリテ2皿を注文しました。
ラングスティーヌのカレー風味(84ユーロ)は、例のコロンボ使ったトトキ料理とは完成度が違う。美味しい。普段海老系の料理はフレンチ、イタリアン、和食含めてあまり頼まない友里ですが、これは素晴らしかった。
続くメインは仔羊。質も違うでしょうが調理レベルも違う。やはり大変おいしゅうございました。
やっぱりフレンチはクラシック系が一番です。

あい田 パリ
「店評価ブログ」に書いてあります。参照下さい。
日本人は海外で和食店に行ってはいけないことを再確認しました。

http://tomosato.net/weblog2/%E9%89%84%E6%9D%BF%E7%84%BC/228.html

?

野田岩 パリ
オマケです。野田岩五代目は、この店の鰻を自分で食べたことがあるのか。注文して10分で出てくる蒲焼きは、それはひどいものでした。同じく「店評価ブログ」を参照して下さい。

http://tomosato.net/weblog2/%E9%B0%BB/227.html

「店評価ブログ」を更新しています

昨晩夜の会食まで時間があったので、八重洲ブックセンターへ行ってみました。
一昨日の日刊ゲンダイからの情報通り、店入り口にある売れ行きベストテン、ノンフィクション部門で「グルメの嘘」は本当に8位にランクされておりました。9位は勿論「ミシュランガイド 東京 2010年」。この部門では、「日本辺境論」、「人間の器量」(順位は忘れましたが7位以上)もランクインしており、新潮新書がベストテンで3冊占めたことになります。
ただし「グルメの嘘」の売れ行きは地域が限定されているようです。新宿にある紀伊国屋では新書のカテゴリーでも圏外。新潮社として予想以上に地方で検討しているとは聞きましたが、全国区的な知名度はまだまだのようです。

さて「店評価ブログ」に、ミシュラン2つ星和食、大阪の「もめん」と新宿の「焼肉 小倉優子」をアップしております。
掲載拒否して3つ星から2つ星に格下げされたといわれる「もめん」、予想通り家庭料理の延長線上の料理でありました。「店評価ブログ」には「家庭料理の延長線上」という友里の定義も書いてありますので、ぜひお立ち寄り下さい。

2009年アルバ・パリ訪問記 6 重量オーバーで大慌て

一昨日出張で出かける際、羽田空港の小さな本屋に立ち寄りました。何となく棚を見たら、「グルメの嘘」が表向きのまま飾られていたのにビックリ。発売されて1ヶ月が経ち、次の新書が出てしまい露出が減ると思っていたのですが、こんな場所の本屋にも結構な数が置かれているということは、もしかしたらミリオン売れてフェラーリ購入という話も夢ではないかもしれません。(アンチの皆さん、冗談です)
昨夕、日刊ゲンダイ担当の方から連絡がありました。夕方だったので「おっ、また店からのクレームか」と身構えて電話に出たところ、八重洲ブックセンターで「グルメの嘘」がランキングされているという吉報でありました。ベスト8だったそうで、面白いことにその後の9位がミシュランだと言うのです。帰京したら確認に行ってみたいと思います。

さて、イタリアばかりでパリの事を書かずに訪問記は終わったのかと指摘された掲題、本日は出張中で詳しいデータ(写真など)がないので、イタリア最後のトラブルを書かせていただきます。

トリノ→アルバのタクシーでは揉めたので、トリノ空港(アルバからトリノ経由でそのままパリへ)へのタクシーは余裕を持とうと早めにアルバを出発。トリノ空港には何と出発時刻(16時頃)の3時間前についてしまいました。
往路パリ経由で着いたときには気がつかなかったのですがこの空港、結構小さくてあまり店がないんです。時間をつぶすためラウンジでメールチェックやパリのレストラン情報などを検索していたらいつの間にか出発1時間前を切っておりました。
そろそろ限界かとエアフランスのチェックインカウンターへ行って手続きを始めたところ、スタッフがスーツケースの重量を見て受け取りを拒否。重量が制限を超えていて運べないので、荷物を分けろと言うのです。

そう言えば、以前SF空港でも拒絶されて用意された段ボールにその場で慌てて分けたことがありました。その後はシビアな空港がなかったので気にしなかったのですが、新書のゲラ、ミシュランガイド3冊(京都・大阪、イタリア、フランス)、その他ブログネタの雑誌や1ユーロのワインとトルナヴェントのシェフから貰ったワインが重量アップに貢献してしまったのでしょう。
しかも、出発まで時間がないこの時に、その分ける段ボールがないと言われて大慌て。寂れた空港内に点在するショップに飛び込んでバッグを探しまくったのです。

置いてあるバッグは小さくて5キロ以上の荷物を分けるキャパがない。センスが悪くて高い無名スーツケースを買わなければならないかと観念しかかったとき、大型のナップザックのようなもの(それでも130ユーロした)を見つけたのであります。
急いでラウンジへ戻って荷物を分け、重量オーバーの追加支払いの手続きなどにも時間がかかり、しかもこの急いでいるときにセキュリティで引っかかってベルトや靴を脱ぐなどまた手間取り、ゲートにやっとたどり着いたのは出発時刻寸前でありました。
1ユーロやタダのワインのおかげで、ナップザックに重量オーバー追加料金と余分な出費が3万円以上、CP悪すぎです。

しかも仕方なく買った大型ナップザック、変な模様入りでしてパリのホテルでベルスタッフに渡す時ちょっと恥ずかしかったです。数日後、雑誌やミシュランをつめて先に自宅へ送ったクロネコ送料も半端ではなかった。今後は雑誌やミシュラン、そして安いワインは持ち運ばないと反省したのです。
昔から旅行慣れせず荷物が人より多めになるのに、友里デビュー以後は雑誌などの資料も多くなったことを自覚しなければなりません。