ピエール・ガニェールの訪問情報

3/23のブログに、再開した「ピエール・ガニェール」を訪問したという情報が読者からないと書きましたが、その前後合わせていくつかのメールをいただきました。まだ行っていない友里ですが、いただいた情報と私の考えを述べさせていただきます。

ガニェール本人が胸を張っていただけに、サービスは以前の青山と比べて良くなっているそうです。
ただし、料理は相変わらずチマチマポーションの多皿。色鮮やかなピュレや泡(エスプーマ)を使用しています。
今のところガニェールが店に張り付いているからか、昼夜ともほぼ満席のようですが、フランスへ帰国した後どうなるか。
リッツやグランハイアットのレストランに飽き足らない客が訪問していると聞きましたが、そんな客で大箱のスペースが未来永劫埋まるとは思えません。

料理のスタイルも相変わらず少量多皿のようですが、このスタイルで今後も日本の客を引っ張っていけると思っているのでしょうか。
世には傲岸不遜な主人の店でも流行っている店が多く存在します。接客なんて関係ない、美味しい(マスコミがでっち上げた錯覚の場合も多い)料理だけで充分だ、とする客が結構いるからです。
青山の店は本当にサービスが悪いだけで客が来なかったものなのか。料理が美味しく適正な価格だったら、サービスなんて関係なく客が来ると思うのは友里だけでしょうか。

?ANAインターコンチの再開店、グラスシャンパーニュにクリュッグ(ノンヴィン)を6000円で用意するなど値付け感覚は相変わらずセンス悪い。
料理は内容も価格も青山時代とたいして変わらないようですから、サービスがちょっと向上したくらいで集客が激変するものなのか。高額レストラン(特にフレンチ系)は質の高いサービスが要求されるでしょうが、それ以上に優先されるのが支払額を踏まえた「食後感」(つまり料理そのもの)であるということを、ガニェールは気づくべきでしょう。
自分の考案した料理は「絶対」だと勝手に確信しているところが、ガニェールの悲劇であり喜劇であると私は考えます。

?ヨイショのブログが多い中、以下のようなものを教えていただきましたので、貼り付けさせていただきます。
最後の総評は結構辛口というか、冷静な判断だと思います。

?http://blogs.yahoo.co.jp/gourmefighter/34886142.html

「月刊めしとも 4月号」の特別座談会について

読者の方から友里掲示板で、「めしとも」の「そそるグルメ記事 そそられないグルメ記事」が今回で終わるようだが、その中で話題になっている「モンスターカスタマー」についてどう思うかとの問い合わせがありました。
私も数回出させていただいたこの座談会、なくなってしまうのは残念ですが、最後というので本日「めしとも」の宣伝をかねてこの座談会を取り上げます。

学校の父兄(父母)だけではなく、レストランの客もモンスター化しているというのが今回のお題。
貸し切りで事前に食材の打ち合わせをしていたのに、当日になって「これは食べられない」と怒って帰ってしまう客(全員ではない)の話には驚きました。恐らく幹事役の根回し不足なんでしょうが、帰った客も我慢して食べるという判断はなかったのでしょうか。
最近よく「・・・(食材)が嫌い、苦手なのではずしてくれ」という人を店で見かけます。
人間ですから食材の好き嫌いはあると思いますが、アレルギーでない限りアラカルト対応でない「お任せ」で使われる食材をブロックするのは私に言わせるともったいない。嫌いな食材、苦手な食材でも新しい発見があるかもしれないからです。
余程のゲテモノでないかぎり何でも食べてみたいと思うのはチャレンジ精神旺盛な友里だけではないと思うのですがいかがでしょうか。
以前江戸前の寿司屋で、光り物や〆物が苦手な人を見かけました。私に言わせると「寿司嫌いが寿司屋へ行っている」ようなもので、時間とお金の無駄だと思ってしまいました。
誤解を恐れず言わせていただくと、食材をブロックする人は真の「食べ歩き好き」、「外食好き」ではないと考えております。

今回興味をもったのは「食べログ」に対する店側の反応。座談会に出ているフレンチシェフはかなり「食べログ」への書き込みを気にしています。裏返せば「食べログ」は大きな影響力があるということでしょうか。
宣伝ページがあり、プロのライターやフードアナリストが仕事と割り切って平気でヨイショを書き込む「食べログ」、私は単なる店検索サイト程度にしか思っていないのですが、その評価を重視している人が多いということでしょう。

座談会ではある重鎮シェフが

一番の問題は客を教育する人がいない

と発言していたことを引用して、学ばなければいけないのは店やメディアではなく「客」だとの発言もありました。確かに問題ある客も多いでしょうが、問題ある「店」や「料理人」も多いのではないか。どちらか一方のカイゼンではなく、両者、つまり

?裸の料理人に「裸だよ」と言ってあげるメディア

の出現も私は必要だと考えます。

ガニェールのみっともない閉店の言い訳に唖然

先週3月19日にANAインターコンチネンタルホテル東京の36階で「ピエール・ガニェール」が再開したようです。既に訪問された方もいらっしゃるでしょうが、天下の3つ星シェフの出直し再開にしては盛り上がりに欠けているのではないでしょうか。友里掲示板だけではなく、メールでも私の読者から「行ってきた」という情報が未だにありません。?

さて、ミシュランやフランスの3つ星シェフに日経トレンディを介して接近する放送作家・わぐりたかし氏。またまた検証精神なしに料理人の口上を垂れ流すだけのインタビュー記事を出しておりました。

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20100317/1031252/

しかし過食のオコチャマ・来栖けい氏と知り合う前は、外食と言えば回る寿司が主体だった人がいつの間にかグルメ業界の重鎮になっているのですから、この世界は底が浅すぎると言えるでしょう。
この記事でガニェールは、青山の前店「ピエール・ガニェール・ア・東京」のわずか数年の閉店の原因に関して、「パートナー(出資者)が悪かった」とのような発言をしております。
レストランのプロではなく、サービスが全然ダメ。しかもガニェールブランドの変な出店まで作ってしまったと批判しております。自分の料理にはまったく問題はなかったという認識でしょうか。
確かに商社出身の匿名組合の代表はレストランのプロではなかったでしょう。しかしそれはデュカスと提携したシャネル、ロブションと提携した宅配ピザ会社も同様であります。
そのためにサービスのプロと言われているソムリエ・渋谷康弘氏を「ベージュ」の総支配人から引き抜いたのではないか。
サービスがダメだと言ってしまうと、彼の能力を全否定することになってしまいます。まあ、その「ベージュ」もオープン当初から集客に苦しんでいましたから、渋谷氏に対するこの判断は微妙でありますが、それでも人のせいだけにして自分は悪くないという態度は子供じみていないか。

彼は「厨房のピカソ」と言われているようですが、いわゆる天才肌と言いますかひらめきの調理。彼の料理は弟子といえども誰も真似することが出来ず、所詮、支店を出すのは厳しい話なのです。
しかも、彼はパリに出る前に一度自分の3つ星を潰していますしね。その時の失敗もメートルたちのせいにしているのでしょうか。
レストラン、特に高額店はブランドイメージが最重要課題です。デュカスが日本でなかなかうまくいかないのも、舞浜で一度失敗していることが一因と私は考えております。そう言えばデュカスも「スプーン」の失敗を

舞浜がどういう場所だか知らなかった

と立地のせいにしていましたっけ。フランスの3つ星シェフは棚に上げるのが得意なようです。

さて今回のANAインターコンチでの再開、彼の思うようにうまく事が運ぶでしょうか。
今度はサービスのプロとしてパリ店にいたフランス人をマネージャーとして呼んだとか。ANAインターコンチの宿泊客にも期待できると狸の皮を数えておりますが、友里的には最初から不利な条件がいくつか揃っていると考えます。

ホテル内のレストラン
大箱
ビル高層階で夜景を狙っている

日本でこの手のコンセプトを狙った有名シェフの提携店で、順調な店がいくつもあるでしょうか。
だいたいANAインターコンチネンタルホテル東京、私に言わせればいわゆる高級ホテルではない。客室の普請も高くは見えず、スペースも小さい、いわゆる「中堅ホテル」ではないか。場所的にも恵まれているとは思えません。
平日はクイックランチと称する3800円のコースも出すようですが、昼は6000円?1万円、夜は1万8000円と2万3000円という高い設定のコース専門フレンチです。
こう言っては怒られるかもしれませんが、このANAインターコンチに宿泊する客が、そう簡単にガニェールの店を訪問するとは思えないのです。
ガニェールはこのホテルに実際宿泊したことがあるのか、私は疑問であります。

値付けや料理ではなく、サービスやパートナーが悪かっただけと言い訳するガニェール。新店の結果は1年後にはある程度わかると思いますが、その際、友里掲示板の書き込みにもありましたが

組んだホテルが悪かった。リッツやフォーシーズンズとは格が違った。

なんて言いだすようなことはしないでしょうね。