松本復興相がまたやってくれました。昨日の被災地での放言が今朝のTVで大きく取り上げられております。
内容は別にしてあの口調、TVカメラが入っていても平気のチンピラ口調に私は驚いたのです。品がないというか何というか。
バックがしっかりした組織代表の代議士なので周りは彼にアンタッチャブルなのか。環境から恐いもの知らずの性格になったのかもしれませんが、この言動は国会議員の品格の低下を証明する証左といえるでしょう。
一時の東電(電力会社)擁護一辺倒を反省したのか少しは検証報道をしてくるようになったと思ったTVでありましたが、最近はまた逆戻りしてしまったのか。ことある毎に出演コメンテーターに
脱原発に舵切ると電気料金が上がり、企業が日本から出て行ってしまって大変な事になる
と発言させています。と言いますか、このような発言をするコメンテーターを多く出演させているのです。
世界で最高値に位置する日本の電気料金ですが、原発をやめて化石燃料含めた他の発電に切り替えたら電気料金が更に高騰し、コスト増を嫌う国内企業が皆海外移転してしまうという、正に原発擁護運動であります。
国内企業の海外移転は電気料金の今後の値上げだけが原因なのか。答えはノーでありましょう。
もともと高いのが日本の過保護電力会社の電気料金体系であります。今までの過保護政策(発送配電一体)を改めて、その脱原発による値上がり分を吸収するという発想がなぜ出ないのか。
しかも、本当に高いのは使えば使うほど単価が上がるという資本主義の原則と真逆のシステムで徴収される個人需要者だけ。大口の法人は、もっと安い料金体系になっているのが現実であります。
問題は日本企業の海外移転は、電気料金を上げなくても止まらないということです。
TVコメンテーターは世間知らずで実業に疎いのでしょう。企業コストは電気料金だけではありません。と言いますか、企業コストを増大させるもっと大きな要因が日本にはいくつも存在しております。
例えば人件費。なぜ一時期、中国が
世界の工場
と呼ばれて海外からの進出が盛んだったのか。企業コストの一番の問題は人件費であるからであります。中国の電気料金が安いから世界の工場が集まったわけではない。
また最近飲食業界で言われている
地産地消
でありますが、産業界も同じ。人件費が安かった中国やインドですが、バブルで人件費が高騰してきても今なお企業進出が続くのはなぜなのか。それは世界が優良な市場と認めているからであります。
製品は大市場の地で生産するのが一番コスト的には有利。逆にいくら電気や人件費が安くても、大市場の中国へ地球の真裏のブラジルで造った製品を売ろうとする企業は希有でありましょう。唯一無二で売り手有利な製品でない限りそれは無理。
日本企業も例外ではありません。中国やインドなど新興国に売りつけたいから、それらの国へ進出するだけのこと。まして新興国は輸入関税を高く設定して国内生産を優遇していますから、更に現地生産化に拍車がかかります。
換言すると、少子化が進み老齢化が進む日本に今後の大きな消費を望むのは無理。と言いますか、右肩下がりは誰が考えても否定できないのです。(老人向けの商品以外)
そんな魅力のない市場に、いつまでも企業体を置いておくと思いますか。大企業は連結決算でありますから、本籍を日本に置いて世界にオフィスや工場を分散しても結果は変わりません。
日本は資本主義であります。儲かると思うことに投資し、儲からないことは撤退する権利がどの私企業にもあるのです。
企業コストのごく一部しか占めない電気料金の値上げだけが、企業脱出の原因ではないことがおわかりいただけると思います。?
企業コストは上述した電気料金や人件費だけではありません。土地代(賃貸料)や物流も世界基準ではトップなのが日本。その他有名な
規制
も多く存在しております。訳のわからない複雑な税金体系も企業にとっては魅力的ではないでしょう。
つまり企業が日本を見捨てるのは、脱原発による電気料金の値上げが主原因ではないということです。
そういえば思い出しました。大震災前、財界からの要請で法人税を下げる動きがありましたが、その時の御用学者・御用コメンテーターの発言を思いだして下さい。
世界と比べて高過ぎる法人税を下げなければ、日本からどんどん企業が国外へ脱出する
電気代の前は法人税だったんですね。1年経たず、企業脱出の理由がコロコロかわる不思議。
御用学者たちが如何にいい加減であるかがおわかりいただけると思います。