長時間ネット接続ができず更新ができませんでした。物理的な故障だったのですが接続業者が原因をなかなか特定できず復旧が遅れました。ブログ更新だけではなく、メールなど情報のやり取りもネットが頼り。会社業務だけではなく個人的にもPCに依存しているのがあらためてわかりました。
さて最近あまり雑誌を読む時間がなかったのですが、久しぶりに15日発売の「おとなの週末」を読み込みました。前にも書いたことがありますが、編集部側の主張を信じれば、掲載を決める前に覆面で取材し評価するというスタイル。
まずは「店宣伝」という他の紹介雑誌とは一線を画する雑誌といえるでしょう。
それほど経験豊富とは思えない取材班のようですが、特に「企画物」が面白い。
今回はカレーの食べ比べとして、料理評論家の絶賛店、老舗店、噂の人気店などを評価、ランキングしております。あの「ラ・ソース 古賀」が16位とトップ10にも入っていません。CPや具などの評価項目がありますから、基本が具なしで1250円ではよい評価は得られないのでしょう。
そして「なんでも探検隊」。「行列店の真実」として「美登利鮨」や「大和寿司」、「玉ひで」などに実際に並んでの食後感を述べています。事前取材申し込での写真撮影と料理人の口上垂れ流しが主体の「東京カレンダー」など紹介雑誌より、一般読者にははるかに役にたつものではないでしょうか。「美登利鮨」のデカ握りに満足したコメントは愛嬌でしょうが、プロではない一般客の目として参考になります。
店紹介コーナーも比較的行きやすい店が主体なのですが、青山の「フォレスト」が出ていたのには驚きました。小山薫堂氏が絶賛する「レモンステーキ」はじめ、五島牛のステーキがメインでかなり客単価が高い店だったと記憶していますが、メインが魚か豚のチョイスの夜のフォレストコース(4935円)が紹介されています。うーむ、最近は集客に苦労して路線を転換してきたのでしょうか。ランチではパスタセット(1260円)も出しているようですが、このような営業は客が入らなくなったフレンチの末期の常套手段。あの恵比寿の「レトワール」を思い出しました。
ただし、この雑誌にも一般読者の役に立たないコーナーがあります。料理人と癒着する、料理人を取り込むことによって存在意義を出している山本益博氏と関西のマスヒロ、もしくはリトルマスヒロと言われる門上武司氏の店紹介コーナーであります。
相変わらずマスヒロさんは料理人につまらないアドヴァイスをして自分を崇めさせ、読者にはそれを披露して信奉させようとしています。蕎麦の「國定」の女主人に、せいろの徳利の汁の量が多いと告げたとのこと。もったいない、とのことですがそれは店側の勝手。しかも普通、余った出汁は再利用するはずです。別に汚くないんですから。こんなつまらない事をアドヴァイスするより、自分がプロデュースして角館からつれてきた料理人がやっている「ゲンテン」の悲惨な集客状況を打開する案を出したらどうか。オープン時から宣伝していた六本木ヒルズの「レイ家菜」。貧すれば鈍するではないですが、中国映画とのコラボと称してついに8400円のコースを打ち出してきました。当初は2万5千円、3万5千円、4万5千円の3コースの夜だけ営業、6名以上の予約とハードルが高かったですが、今ではコース価格は暴落、客数も2名からでも入店できる場合があるといいますから、面目丸つぶれです。
また「次郎」の小野二郎氏の「教わったことをそのままやっているんでは、見習いと同じです」という言葉を「井雪」という割烹の主人に投げかけたとも自慢していました。その店ならではのインパクト、オリジナリティに乏しいと感じたそうですが、「エルブジ」の上辺を模倣しただけの「ゲンテン」の奇を衒った創作和食。舌の肥えた客は、料理に変則より基本が大事だとわかっていて「ゲンテン」へ食べに行かないということがお分かりにならないマスヒロさん。だいたい、江戸前鮨自体が、店によって酢飯、〆方など多少の違いがあれど、創意工夫するほどの幅を持った調理ではありません。使用するタネは四季により多少の違いがありますが、年間としてはほとんど違いがありません。何度も言いますが、季節によって〆の具合を変えるのは、家庭の主婦でも季節の寒暖で味付けを自然と変えるのと同じことです。だいたい創意工夫しすぎたら江戸前鮨ではなくなります。
二郎さんの客を客とも思わない不遜な態度は師匠の教えではなく彼のオリジナルだとわかりましたが、それを真似する志のない職人も出てくるのですから言動には注意してもらいたいものです。
そしてまたまたべた褒めしていた「木乃婦」。ここのフカひれ鍋がオリジナリティに溢れ圧倒的に美味しいとマスヒロさんは書いていますが、彼が食べたのは「特別仕立て」のフカひれ鍋ではないのか。私は一般客として入店しましたが、貧弱なフカひれに胡麻の風味も薄いゴマ豆腐。出汁が変に甘くぜんぜん渾然一体になっていません。おそらく実際に食された方で満足した方は少ないと私は思います。その他、もんごいかなどの造り、ハマグリ出汁のお椀、鯛めし、とどれも京都の店としてはレベルが低いもの。TV露出で観光客をメインにしているため、こんな料理でも成り立っているのでしょうか。
「おとなの週末」、単なる紹介ではなく面白い企画もありマシな雑誌だと思うのですが、契約している料理人癒着の書き手二人が悪いのが玉に瑕であります。
おっとマッキー氏もいれると3名でした。
おとなの週末 8月号
野田岩商法
16日のブログ(野田岩の件)では読者の方からいつもに増してメールをいただきました。いずれも友里の
意見に賛同いただくものばかりでした。その中で2ちゃんの掲示板では、友里を叩きたいが為「野田岩」を擁護する書き込みがあるとの情報もいただきました。書き込んだ人は「野田岩」のやり方が商道徳に反していない、まっとうな営業だと心底思っているのでしょうか。考えられません。
いわゆる「羊頭狗肉」と同じような愚行である「野田岩商法」。読者の方が考えられた「野田岩」の商法のネーミングです。
「当店は天然鰻に拘っている」、「4月から12月までは利根川や東京湾の天然鰻を、それ以外の期間は養殖鰻を仕入れている」
うまく書いています。「拘っている」は「それしか仕入れていない」という意味ではない。また、4月から12月の期間、1日1匹でも天然鰻を仕入れていればこれまた嘘にはなりません。冬季以外は養殖鰻を仕入れていないとは書いていないので、ほとんどの客に養殖鰻をだしている実態は、厳密に言えば嘘でもない。しかし、こんな「引っ掛け」のような書き方をしては、普通、冬季以外は全部天然鰻を仕入れていると誤解するのではないでしょうか。不当な誇大広告です。
「天然鰻」が何でもおいしい、と読者に煽るのも大きな問題です。いい加減に本当の事を言ってもらいたい。
軍鶏に拘っていると明言しておきながら、ブロイラーを出している焼き鳥屋をどう思いますか。
店先で、本鮪の解体ショーをしておきながら、店内では本鮪を出さずメバチやキハダの握りを出しているスシ屋をどう思いますか。何も軍鶏しか仕入れていないとは言っていない、解体ショーをしてもその鮪を握っているとは言っていないと強弁するとしたら、そんな店を一般客は許せるでしょうか。(この例えも読者の方からのものです)
「釣り針の注意書き」にしてもそうです。最低でも3割の蕎麦粉を用いていないと「蕎麦」とは言わないそうですが、仮に小麦粉だけの「蕎麦もどき」を出している店が、「蕎麦アレルギーの方は注意してください」
と書いたら、誰でも蕎麦粉を使っていると勘違いします。
上場企業や大企業がこのような「引っ掛け宣伝」をしたら世間が許さないのに、なぜ鰻屋の老舗である「野田岩」だと見逃すのか。私は不思議でなりません。事の良悪は、規模の大小に関係ないはずです。
私は「野田岩」に提案したい。毎日店先に「天然鰻」の入荷量を張り出してはいかがか。天然鰻に拘っているならば、そのくらいの度量を見せてもらいたいものです。わずか1匹、いや0匹の日があったっていいではないですか。
そしてもう一つ、面白いネタをいただきました。一般に川で取れた鰻は天然物と思われがちですが、そうでもないとのこと。この時期養殖されていたが、個体差からどうしても成長が遅れ商品にならないウナギを、川に放流している場合があるということが書かれたサイトをまたまた読者の方から紹介いただきました。
http://www.seaworld.co.jp/cooking/hei/020926.html
利根川で取ってもついこの間までは「養殖」だったという鰻がいるんでしょうか。「養殖鰻」が「天然鰻」よりおいしく感じる方がほとんどですから、そんな鰻に遭遇して「やはり天然鰻は美味しい」と錯覚されるライターや評論家もいらっしゃるかもしれませんね。
ご要望があった、「Qサイトでの3年分のコラム」、「今年掲載した日刊ゲンダイでのコラム」、「店評価だけのブログ」、「RSS対応」の目処がようやくたちました。
今月末か来月始めには対応させていただけると思いますので、もうしばらくお待ちください。
創作でも美味しかった、竹慈庵 なかだ
先日取り上げました「喰切り 江ぐち」は「会員制」や「紹介制」と称し一見客お断りの店を装っておりましたが、今日取り上げる店は実際予約方法が面倒というか、店がイニシアチヴを握っていて予約が困難でありました。
「竹慈庵 なかだ」。
この和食店もデータを公開していません。しかし4月末までは、「東京カレンダー」を読んだ読者のために、メールでの予約を受け付けていました。氏名は勿論、連絡先から年齢まで申告すると店側からメール連絡があり、日時で合意すると初めてファックスで住所や連絡先の入った地図が送られてきます。一日の客数が限定されているらしく、当時でも1ヶ月は待ったでしょうか。今でもこのメール予約システムをとっているようですが、かなり先まで予約が入らないと聞きました。
松涛の住宅街にある2階建ての一軒家、富山のフレンチ出身の料理人が造る創作和食、千一夜の営業で店じまい、といかにも「キワ物」で、噂では「満寿泉」がスポンサーと聞きました。当然、良い先入観を持たずに訪問したのですが、食後感は良いほうへはずれたのです。
透明なトマト水につけたトコブシ、フォアグラの満寿泉漬け、レモンリゾット、干し貝柱と?O醤のカッペリーニなど「創作和食」の連続ですが、意外にも各料理は悪くありません。結構美味しいのです。「創作料理」を得意としない私ですが、同伴者ともその食材の取り合わせに驚き満足しながら食べ進んだのです。
特に〆の「マスの燻製の炊き込みご飯」は癖になりそうでした。これでコース1万5千円なのですから、同じ創作和食でも「堀兼」や「かどわき」とは雲泥の差の食後感。
しかし満足するものばかりではありません。酒類が高すぎるのです。小売5千円の「満寿泉」が2万円、ワインもレアや古いワインがありますが市場価格の4倍以上の値付けでした。
世界的にレアなワインでしたが、その売値がオークション価格からかなり乖離したリストを見ると、総合評価は高くはできません。
二人で「満寿泉」を1本と抑えたにもかかわらず5万円超の支払い。最終的なCPはかなり悪い店であります。
料理人の腕は良いのに、こんな無知な業界人向けの強気の価格設定では、優良な客を確保することが出来るのか。わずか3年半の限定営業ですから、オーナーは元を取ることしか考えていないのかもしれません。