先週だったか、2005年ボルドーワインのプリムール販売のパンフをもらいました。皆さんご存知のように、ボルドーの格付けワイン(特に赤ワイン)は収穫年からだいたい2年後にボトル詰めされてリリースされます。そしてプリムール販売とは、瓶詰めされない樽の段階(収穫年の1年後)での予約販売のことです。普通はワイン取り扱い業者への限定予約販売なのですが、「エノテカ」というインポーターが一般消費者向けに初めてこのシステムを導入しと聞きました。
第三次ワインブームで景気が良かったのか、全国に多店舗展開した「エノテカ」。ワインだけではなくレストラン部門も展開していましたが、採算が合わなかったようで数年前にレストラン部門だけ売却したのはコラムで述べました。
私は若い頃はこのプリムール販売を利用して何本も予約したことがありますが、最近はまったくやっておりません。理由は2つです。
いくら早飲みタイプになっていると入っても、ボルドーは10年以上は寝かせたいもの。所蔵しているワインもほとんど減らない現状でこれ以上買い増せないというのが第一の理由です。普段はデイリーワインを買って飲んでいて、所蔵しているワインは飲むと二度と手に入れられないかもしれないと恐れてほとんど私は開けられません。笑い話になりそうですが、死ぬまでに飲みきれないかも。
第二の理由は、損する可能性があるからです。ワインはヴィンテージの良し悪しや評論家の評価で価格が変動します。そして業者の思惑もありプリムール販売価格が設定されるのですが、翌年のリリース価格の方が安くなる場合も多々あるのです。いわばギャンブル。1年早く支払って、1年後にやっと現物が来たら市場価格が下がっていたでは話になりません。
さて、この2005年のプリムール価格を見て私は驚いたのです。最近のヴィンテージの良し悪しにまったく興味がなかったのですが、2005年はかなり良い年のようです。価格がかなり高い。
有名どころを挙げますと、CHマルゴーが一本当たり8万円前後。ラトゥールも同じで、ラフィットやムートンが7万円弱くらいでしょうか。私の好きな2級のラスカーズが3万円を超えていました。驚きです。
こんなに高い若ワインを買う人がいるのだろうか。昔私が買い集めていた頃購入したオールドヴィンテージのワインより高いではありませんか。
中にはオーメドックでCPのよいポタンサック、シャス・スプリーンといったワインが3000円チョイでまあまあかなと思うものもありますが。
私は敢えて言いたい。いくらヴィンテージが良いからといって、何時飲めるかわからないワインにこんな大金を払うより、古酒とはいわなくても少々こなれた90年代のワインを買ったほうが得だと。ずっと美味しくて安いはずです。うまく買えば、80年代のワインも同銘柄でも安いかもしれない。だいたいヴィンテージが良いワインは強いので、飲めるようになるにはより年数がかかるものです。パーカーなど評論家のコメントに煽られて急いで購入する必要はまったくないと考えます。
それでも未だ樽に入っているワインに、貴方は3万も7万も払いますか。
2005年ボルドープリムール
短命で終わるか、タツヤ・カワゴエ
イタリアンのプリンチペ(王子様)と言われている川越シェフ。Who is 川越 ?と疑問を持たれる方も多いと思いますが、ある層の方たちには絶大な人気があるとか。友里も「東京カレンダー」(以下「東カレ」と略す)の愛読者でなかったら彼の存在を知ることはなかったでしょう。
昨年辺りからこの雑誌で特別待遇の掲載連発。あの学芸大学の有名イタリアンが広尾に移転、と当初は書かれていましたが、本当に有名だったのか。うまく「東カレ」のライターを丸め込んだとの噂を聞きますが、川越シェフはシェフの中では珍しい「カノビアーノ」の植竹シェフと同じくイケメンで売れるタイプなんだそうです。
「辻調」をでてから名だたる店での修業歴なくいつの間にやら有名シェフに祭り上げられてしまいました。大家との契約問題から恵比寿店をクローズ、代官山へ移転したと言われていますが、漏れ聞くところ色々裏があるともいう話。私は「東カレ」で、内装工事現場にコックコート姿でポーズをとっている川越氏の写真を見て、またまた若くして勘違いシェフがでてきたとチェック、代官山へ移転した直後に訪問しました。
地下ながら内装は凝っています。入ると正面が半オープンキッチン。プリンチペが笑顔で迎えてくれます。カウンターはなんと2席だけ。ラヴチェアーのように見えました。ホールはパーティションでうまく仕切られて各テーブルが半個室のように区切られていました。隠れ家風で業界人には受けそうですが、客層は
プリンチペの追っかけの女性が主体のはずです。当日も、女性客がほとんどでした。
料理はコースのみ。前日までの予約のお任せ1万円の他、7500円と5500円の3種です。一番安いコースが前菜7皿と皿数が多いのですがパスタまででメインなし。7500円は前菜が3皿にパスタとメイン。
普通は価格が高いほうが皿数が増えますからこの設定は意外でした。
前日予約のお任せコースはドルチェを入れて10皿。しかしその内容がひどい。なんと各前菜は他の当日オーダーのコースの前菜とほとんどダブっているのです。要は、最高7種の前菜を用意しておき、その中で3種のコースに使いまわしているだけ。テーブル間を仕切っているのはそのタネを客に悟らせないためかと思ってしまいました。
内装は凝っていますが、料理は凝っていない。穴子のマリネや水ダコはデパ地下物との差を見出せないレベル。コンソメジュレやジェノヴァソースは業務用をそのまま使っているかと思うほど味に深みがありません。イカ墨のリゾットも生米から造ったものなのか。メインの和牛もおいしいものではありませんでした。
ワインリストもプア。客はほとんどボトルで頼まないのでしょうか。料理やワインではなく、川越シェフを味わうために訪問するんだ、と言われれば返す言葉もないですが、良く言えば「わかりやすい味」、はっきり言えば「セントラルキッチンで造られたような味」のイタリアン。
噂では川越シェフは既婚者だとの話も聞きますが、料理店は顔面ではなくやはり料理が売り物のはず。
この料理では早晩飽きられてしまう短命イタリアンになるのではないかと私は予想します。
しかし、「東カレ」の影響力というのは凄いものがあることがあらためてわかりました。
いい加減にしろ!素人が!
最近すっかり夜が弱くなったようで、メールでお教えいただいたTV番組まで起きていられず見損なってしまいました。先週末土曜日の「ちゅーぼーですよ」には友里が過大評価しているとオカザワ氏から指摘された「龍圓」の主人、そして昨日の22時からは「美食のオコチャマ」来栖けいチャンが出演するとの事前情報をいただきながら放映前に熟睡してしまったのです。
龍圓はマスヒロさんの教えを良く聞くからか贔屓にしてもらっているようで、TV出演はその影響力からなのか。来栖チャンがでた番組でも「たいしたもんだ」的なお褒めの言葉を発していたそうですから、TV局にはまだマスヒロ信者がいるのでしょうか。本当に彼で視聴率を稼げるというのなら、食通の方の家にはTVが置いていないのではないかと考えます。しかし、6人分食べるところを放映して気色悪いと感じた視聴者は居なかったのでしょうか。
ところで掲題の「いい加減にしろ!素人が!」。先週土曜日に友里征耶宛にいただいたメールの本文です。お名前は平仮名一文字、アドレスはそのカナのアルファベットとドメインが「@co.jp」ですから一目で怪しいとわかります。早速お返事を出したのですが、予想通りそのようなアドレスは存在しないようではね返ってきました。
どのような心境でこのメールを出されたのでしょうか。折りしも「野田岩商法」と題して、野田岩の過大宣伝を問題視したブログをアップ中でした。
このタイミングでこんなメールを出したら、その関係者ではないかと疑われてしまう愚行。当の野田岩関係者がこんなことをするはずがないので、この行動は「贔屓の引き倒し」と言えるでしょう。
確かに私友里征耶は素人です。しかし、イントロにも登場いただいた山本益博氏、来栖けい氏、そして犬養裕美子氏、浅妻千映子氏、大谷浩己氏などもライター家業で高収入を得ているかもしれませんが、レベルは素人と同じ。いやそれ以下かも。
要は、店に都合のいい宣伝、紹介をしてくれる人が「プロ」で、店に都合の悪い事を書く者を「素人」というのがこの業界のスタンダードということでしょう。
しかし、どう味わっても傑出していない木乃婦のフカヒレ鍋を持ち上げるマスヒロさん、入船の握りスシが最高という来栖ちゃんなど彼らの舌の実力はかなりの低レベル。実際は味など関係ない、店訪問数や探訪経歴を自慢して目立ち、店をヨイショしての自分の売り込みが彼らの一番の目的ですから、底が浅い稼業といえます。
私もその一端に素人ながら所属しているのですが、自分の舌が絶対だと妄想し、自己陶酔している世間知らずな人の店評価は信用できるものではありません。