今日は友里征耶の宣伝をさせていただきます。結果的には週刊誌の宣伝になると思うのですけど。
なかなか掲載日が決まらなかったのですが、ようやく来週月曜(10月2日)発売の「週刊現代」で4ページほどの私の店評価が掲載されることになりました。確かデビューの年に1回だけ同じような店評価が週刊現代に掲載された記憶があります。その後はいくつかの週刊誌から質問があり、わずかなスペースで取り上げられたことがありましたが、久々に正式な仕事のオファーが来たことになります。
店や経営者、そして有名な料理評論家やフードライターに飽き足らず、ヨイショ・煽り専門の店紹介雑誌まで糾弾するなど掟破りのマスコミ批判を展開していただけに、近寄るマスコミは数少なく拾っていただいた講談社には感謝であります。
タイトルは「東京 行ってはいけない人気レストラン10」
サブは「まずい!高い!サービス悪い!伝説の覆面グルメ批評家・友里征耶があの有名店をメッタ斬り」
「伝説の・・・」などのキャッチは気恥ずかしい限りでありますが、編集側で考えたものなのでご勘弁ください。
マスコミやネットで持て囃されている人気店、有名店、繁盛店の中で私がまったくの過大評価である、CPが悪すぎる、調理や味が悪すぎる、と判断した10店を取り上げました。季節柄、フグ店なども入れております。具体的な店名は読んでのお楽しみということにしてください。
そのページで10月に発売される新著の具体的情報も紹介されております。新著の発売日や詳細は月曜日のブログにアップしたいと思いますのでしばしお待ちください。
同じく10月2日から日刊ゲンダイ(夕刊紙)で月、火、水の週3回コラムを再開予定です。一回に一軒、「行っていい店悪い店」を書いていきますので合わせてよろしくお願いします。
来週月曜発売の週刊現代
高すぎだよ、コジト
この春オープンしたテレ朝通りの路地をちょっと入った一軒屋のフレンチ。雑誌ではビストロと紹介されています。西麻布や広尾に展開している「アルモニ」、「マルシェ オーヴァン ヤマダ」の山田シェフの店。夜の訪問でしたが、かなり盛況でビストロというわりに年齢層が高いのは意外でした。山田シェフは厨房ではなくホールで常連を中心に客対応に徹しています。シェフがホールに立ってしまっては、厨房で確実に一人分スタッフが余計に必要となりますから、CPは期待できないことが予想されました。
料理は4,800円と6500円、8000円、1万円のコース主体。アラカルト風のメニューの中から好きなものを選ぶもので(お任せの8千円と1万円コースは別)、料理は前菜6種、魚4種、肉6種ほど。白アスパラ、フォアグラ、豚の煮凝り、子羊ロースト、ほほ肉赤ワイン煮、牛、豚ロースト&トリッパ、鴨&フォアグラのミンチパイ包み、子牛料理などがありましたが、ビストロ料理定番の鴨コンフィ、牛ロース、豚足、クスクス、シュークルートやリエットなどは見当たりませんでした。
ここはビストロと思ってはいけないようです。4800円と6500円コースの違いは選べる前菜の数が違うのですが、ポーションは大きくありません。コースといってもチーズやデザートを含んでいないのでほとんどの客が追加することになります。設定価格を安めにして結果客単価は高くなる高度な営業戦略です。
私は前菜2、メイン1の6500円コースを頼みましたが量が足りず1品追加しました。ビストロというわりにあまりに量が少なすぎる。
「ジャボン パセリの煮凝り」は上品な味付けというかラヴィゴットソースが薄味すぎる。「アスパラとホタテ」も凡庸で、スペシャリテとすすめられた「牛ほほ肉の赤ワイン煮 ブルゴーニュ風」は肉はトロトロでしたがソースは色を見てすぐわかるくらいツメが緩いもの。肉が柔らかいだけでは駄目なんです。追加で頼んだ「鴨 フォアグラミンチ パイ包み」(3800円)はイメージはボリーさんのスペシャリテに近いものですが、マディラベースのソースはやはり物足りません。血を入れた濃い目のソースのボリー料理が懐かしい。
ビストロ料理といえど、ボリュームは少なく、味はよく言えば上品、はっきり言えば物足りず、価格も決して安くない「コジト」。ワインもシャンパーニュNV9000円が示すとおり安くはありません。特にグラスワインが高いものしかない。造り手は忘れましたがバタールモンラッシェが3?4千円くらいでありました。グラスで特級畑を用意しているビストロなんて考えられない。安いものでも1級ではない畑名付の白ワインに2200円かかりました。もっと安いグラスを置くべきです。
ワインリストは立派。ブルゴーニュだけのものも別に用意され、1級や特級が1万5千円から4万円。何か勘違いしていませんか山田シェフ。
そして圧巻はグループ全体で所蔵しているワインのリスト。新しいワインでもデュガなど高いワインが中心。古いものでは61年のヴォギェのミュジニー、85年前後のアンリジャイエのクロパラやリシュブールと、ブルゴーニュの古酒好きには垂涎のアイテムが並んでいましたが、いずれも価格が表示されていません。市場価格に連動させて相対での値段を変える戦略なのでしょう。料理もそうでしたが、ワインもまったくビストロとはかけ離れた設定の店なのです。
唯一お値打ちと思われた8800円のワインに高いグラスワイン、ポーション少ない6500円コースに一品メインを追加してサービス料10%を入れて2万6千円。これって一人の値段ですよ。気楽にお試しで入店したのですが、あまりのCP悪さに唖然とした友里でありました。
最後に。アンリ・ジャイエの死去を何人かの方からメールで教えていただきました。私がワインに夢中になったキッカケの一つがこのアンリ・ジャイエのワインとの出会いであります。その頃は今のようなペトリュウスやロマネ・コンティに匹敵するほど高くはなく、ちょっと無理すればお店で飲めた古き良き時代でありました。ブルゴーニュが好きになったのもジャイエの影響です。最近は公にはワインを造っていなかったようですが、数に限りがあるレアワイン。死去をきっかけに益々手が届かないワインになってしまうことでしょう。
オールアバウトのガイドもいい加減なものだ
オールアバウトのガイドを参考にされていますか。食だけではなく生活,、仕事、趣味にわたる沢山の分野で「その道のプロ」がガイドをするというのがうたい文句であります。友里がたまにチェックするのは勿論「飲食店関係」でありますが、その中でフレンチ部門を担当しているのが嶋啓祐氏。
http://allabout.co.jp/gourmet/frenchcuisine/
1300名の会員が登録しているワインサロンを主宰し、ワインガイド本も監修しているとプロファイルにありますが、実際はほとんど無名に近い人ではないでしょうか。オールアバウト以外での彼の活躍を見たことがありません。店経営者や料理人との親しさを自慢しているいわゆるヨイショ系ライターですから、店側に軸足を置いた店紹介に徹している方であります。よって彼のガイドは話半分に読んで訪問しないと落胆することになるのですが、昨年の彼のコメントをみてまったく信用しなくなりました。
彼は趣味が高じたのか、夏の頃、赤坂に「ビストロ ブルゴーニュ」という店の立ち上げを特集で記事にしていました。8月15日のコメントでは、総額2300万円余りの資金の捻出や出資者を募集していることを明らかにしており、いかにもフレンチのオーナーになったと高らかに宣言しているのです。自分で飲食店を経営していて他店を公平に評価、まともなガイドが出来るはずがありません。まったくガイドの矜持も欠片もない人だと思っていたのですが、最近ヒョンなきっかけでネットからこの店の真のオーナーを発見してしまったのです。
人事・経営、人材コンサルの「株式会社セレブレイン」という会社の社長である高城幸司氏のブログで、なんと「自分の会社のグループ」で経営していると発言しているのです。
http://blog.goo.ne.jp/k-takagi1021/e/e07574c20ccd05df02b9a45e9937e5ff
実際セレブレインの子会社のセレブールのHPに「ビストロ ブルゴーニュ」があるのが確認できます。
http://www.celebourg.com/
フレンチのオーナーであるような見栄を張っていた嶋啓祐氏でありますが、実は「雇われムッシュ」なのでしょうか。彼の純粋な読者を更に陶酔させる「見栄っ張り自慢話」のようですが、いい加減なものです。しかも、嶋氏は彼のガイドの中で、やはりセレブールが経営するもう一店の「セレブール」をかなり褒めまくっています。
http://allabout.co.jp/gourmet/frenchcuisine/closeup/CU20050411A/index.htm
おいおい、自分のパトロンともいうべき会社の店を、なんら読者に真相を語らず褒めて推奨してしまっていいのか。
まったく公平性というものを感じない嶋啓祐氏。オールアバウトの基準はいい加減なものだという証左でしょう。他のガイドも同じようなものだと思われても仕方ありません。