「フードアナリスト」という資格で一般人を釣っていいのか

またまた読者の方からお教えいただいたネタであります。
まずはこの「日本フードアナリスト協会」たるもののHPをご覧あれ。
http://www.foodanalyst.jp/index.php
かなりお金をかけて造りこんだHPであります。先日取り上げた「日本フードジャーナリスト会議」もネーミングと主宰者や講師のスタンスがまったく一致していないいい加減なものでしたが、この「協会」もなかなかのものであります。フードアナリストには4級、3級、2級、1級、特級とあるようで、既に昨年末で資格者は600名を超すとありました。
この協会はどこかの省庁の管轄下ではなく、アテナイオス(株)という立派な「民間営利企業」が運営している「協会」であります。
主な収入源は、
1、有料で行う飲食店の「格付け」
2、飲食店への経営支援
3、有資格者の養成事業
とのことですが、要は「資格マニア」や「資格に憧れる純粋な外食好き」をターゲットに、商標登録した「フードアナリスト」を乱造して受験費や講習費、入会金、年会費を集めるのが主目的であると考えます。
飲食店の「格付け」には「依頼格付」と「勝手格付」があるそうです。前者は、収入源の一つとなっている飲食店からの「依頼」による格付です。飲食店からお金を貰ってその店につけた「格付け」、公正なものだと思いますか。信用できると思いますか。信用するという人がいるなら顔をみてみたいものです。
勝手にした「格付」は良いではないかと弁解するかもしれませんが、「依頼」をしてきた、つまり収入源であるお客様に対して、「勝手にシビアな格付」ができるとは思えません。そんなことをしたら、客が逃げてしまいます。
つまり、この協会は最初から「シビアな評価」を放棄するシステムを導入しているのです。
倫理規定の中に

「フードアナリスト」は、店舗評価を行う場合には、独立性と客観性を保持するよう注意し、公正な判断を下さなければならない。
「フードアナリスト」は店舗評価の公平性を維持するため自らを含めて、三親等以内の親族が役員を務めるか経営に関与している店舗の評価は行わないものとする。

という条項がありますが、この協会に所属する試験委員、諮問委員、評議委員にはホテル・レストランサービスなど飲食業界にどっぷり浸かっている人やレストランをプロデュースしている人も多い。協会の幹部が飲食店サイドなんですから、「公正な格付け」なんて出来るはずがないのです。
倫理規定も緩すぎです。三親等以内の関係の親族の関係店の評価を禁止していますが、お金貰って店評価すること自体が「倫理」に違反しないのか。幹部が業界にどっぷり浸かっていてよく言うものです。
覆面取材もうたっていますが、資格受験者を少しでも多く募集したいあまり、合格者の写真や声をHP上で公開しているんですから覆面性なんてあったものではありません。英会話学校の募集みたいですね。お笑いです。
そして肝心の受験資格。検定試験だけではなく、通信教育(費用49000円)、カルチャーセンターや指定専門学校への通学(勿論有料)といった試験免除の方法もあるのです。驚いたのは「速習講座」。38000円で4級や3級の「フードアナリスト資格」がなんと1日で取れてしまうというからあきれるというか、あほらしいと言うか。
既に講座費用、検定料や入会金や年会費を支払って「フードアナリスト」に登録された方には申し訳ありませんが、こんな資格というかこんな協会、世に必要視されるとは思えません。ミシュランブックとはえらい違いであります。
アテナイオスの格付けサイト
http://www.athenaios.com/rating/
を見てみても、関東・千葉エリアでもたいした店は掲載されておらず、アナリストレポートも充実されていません。身内やお金払って宣伝してもらいたい店だけなのでしょうか。
この協会の主な収入源3つのうち、機能しているのは「資格好きで純粋な外食好き」からの資金だけだろうということが容易に想像できるというものです。
検定試験委員にすかいらーく創業一族の横川潤氏の名前をみつけました。
営利を追求する会社がやっていることなので、法を遵守すれば何をやってもいいのでしょうが、店にとっても、アナリストという資格に魅力を感じる「一般人」にとっても、お互いの利益になるものではないでしょう。協会というか、運営会社の一人勝ちではないでしょうか。

「店評価ブログ」を更新しました

読者の方から「週刊現代の特集を読んだ」とのメールを沢山いただきました。1万円くらいで接待にも使える東西の店をリストアップする手伝いと選んだ根拠を示しただけなのですが、カラー8ページのあんな大きな企画になるとは思いませんでした。この週は他にネタがなかったのかもしれません。なにかお店の「宣伝」に一役買ってしまったみたいで、普段のスタンスとは乖離してしまった印象を与えてしまったかもしれません。
各店同じように取材したのでしょうが、1ページで扱われた店、半ページの店、1/4ページの店の分かれ目はどんな理由だったのでしょうか。かなり「宣伝効果」に違いがでてしまったと思います。
「阪川」にあんな立派な個室があったのか。、「おざき」や「トルナヴェント」は料理一皿の写真ををアップで載せていますが、かなりのボリュームです。この写真に釣られて訪問した客ががっかりしないように同じような量を盛っていただきたいものです。
「音戸山山荘 畑善」は雰囲気が接待にむいているだけで、個人ではランチ以外はCP感良く感じないと思います。美味しい質の良い焼肉屋は他にもありますが「きらく亭」を選んだ理由は「予約可能」と焼肉屋の中では清潔感があると判断したことです。
「銀座 鮨一」はインターフォンの存在を高く評価しました。接待相手にウケるでしょう。「すし善」の影響を受けているようで、勝どきの「さ々木」と同じく、それほど江戸前仕事を感じません。「山わさび」という北海道のホースラディッシュを使っているのが変わっているでしょうか。
オーグードの2店目「メルヴェイユ」は乱心して3店目「ミノビ」を出してしまった現在、このグループの最後の砦でしょうか。「山さき」、やはり出身の「なべ家」より半値で同レベルの料理が味わえることを最近確認しました。
「楽亭」、先日神楽坂の「天孝」の1万7000円コース(これしかない)を食べて、あらためて刺身の良さと価格が高くなく、量や美味しさも再確認しました。東京随一でしょう。
「けでらせら」は8000円ではCPがかなり良く感じる料理です。「てら川」、最近あまりその名を聞かなくなりました。埋没気味でしょうか。今回は「花霞」が取材を断ったので急遽選びました。当初と同じCP感を与え続けていただきたい。「割烹 まとの」、1万3千円あまりのコースでは質、量ともかなりお得です。
「南進」は個人にはぜんぜんおススメできないフグ屋です。山本益博氏や関西在住のライターたちが絶賛しているのでどうしても大阪の店をということで掲載したようです。
「すし貫」は北新地という立地が大きなポイントでした。
さて、「店評価ブログ」に、過大人気店の「リストランティーノ バルカ」とそのCP高い「建仁寺 割烹まとの」を追加しました。お立ち寄りいただければ幸いです。
しかし「バルカ」、なぜ人気が出ているのか不思議です。ちっとも料理に魅力を感じませんでした。

「さとなお」さんからのメール

3/10のブログに対して、「さとなお」さんから収束をはかるメールをいただきました。まずはお読みください。

さとなおです。
いろいろ考えてみましたが、ボクが先方に直接電話して抗議するのは筋がおかしいし、問題解決にもならないと思います。
理由は
1)基本的に友里さんが追加取材をするべきである、ということ。  事実関係の裏を取らず勝手に書いておいて「潔白はお前が証明しろ」  というのはあまりに勝手すぎます。ですので、まずは友里さんが追加取材をし、それで結果が出なかっ たらボクが電話するのが筋だと思います。
2)ただし、友里さんが電話しても、喧嘩(?)している相手に先方が謝って訂正する可能性は非常に低い。「そんなこと言った覚えはな い」と先方が言う可能性もあり、言った言わないの泥仕合になる可能性もある。解決の可能性は低い気がする。
3)逆に、もしボクが電話してなんらかの言質を取って友里さんに報告したとしても、元々ボクが先方と裏でつながっていたとしたらどうにでも結果を作れるわけで、ボクが潔白である証明にはなりに くい。
4)そういう意味では、ボクと先方が二者だけで接触するのは問題解決にならない。言った言わないで喧嘩が飛び火してきても困る。
5)なので、友里さん、先方、ボクの三者による「三者会談」が解決には望ましい。ボクはいつでもそれに応じる用意がある。なぜなら、結果に100%自信があるから。
6)とはいえ「そうまでして白黒ハッキリつけるべき問題か」とも思う。そこまでして白黒つけても、当事者3人は気分が悪いだけ。非常に居心地悪い思いと、後味悪い結論をみるだけ。先方を追いつめる結果になるのも本意ではない。
以上の理由で、三者会談がもっとも望ましい気がしますが、そこまでするのも大人げないし面倒な気がします。そうまでして白黒ハッキリつけても「読者に対してボクの誤解が解ける」だけ。
本来ボクは完全に「とばっちり」なので、そうであっても白黒ハッキリさせたいのですが、それっぽっちの結果が得られるだけにしては、泥仕合めいています。
ですので、ボクが少し折れ、読者の方々に判断を委ねたいと思います。
「ボクは三者会談でも、どこでも何でも、応じる用意があります。 それは結果に100%自信があるからです」
このことをもって、読者の方々へのボクの主張とさせていただきたいと思います。あとはご判断いただけたら幸いです。
これで問題を収束させたいと思います。いかがでしょうか?

私はさとなおさんからの抗議のメールなどこの問題の経緯をブログに公開してきましたので、あとは読者の皆さんの判断に任せるしかないと思っておりました。新しい証拠や情報がでてこない限りこれ以上触れても無意味だと。しかし、さとなおさん的には収束していなかったのだと思います。ちょっと「格好良すぎる」収束案ですけど。
確かに、今更私が再確認しようが彼が確認しようが物証的に事実を明らかにすることは出来ないでしょう。三者会談は思いつきませんでしたが、確かにそれでは誰かを最終的に追い詰めてしまいます。
私も後は皆さんのご判断にお任せする次第であります。
最後にしつこいですが「筋論」について私の考えを述べます。
問題提起した方がクレーム受けて相手の潔白を証明するものなのか。ネットの掲示板に書いてありましたが、例えば「週刊現代」と日本相撲協会との「八百長疑惑問題」。相撲協会が「事実無根だ」と抗議するのはわかりますが、その潔白を「週刊現代」に証明させることはあり得ません。降りかかった火の粉は自分で払うしかない、潔白は自ら立証するものだと思っておりました。
その辺の考え方は、「さとなお」さんと異なりますが、収束案には賛同です。
また反省もあります。
確かに私が聞いたことは嘘がない100%「事実」と自信があるのですが、それはあくまで人が言ったこと。たとえ事実でも、人の言ったことなので、「真実」であるかどうかはわかりません。
今でも「事実」は書いても良いと考えておりますが、今後はより熟考を加えていきたいと思います。
とはいえ、この友里が羊になってしまっては特徴がなくなり埋没してしまいます。スタンスの変更はありえませんので、ご安心ください。