「店評価ブログ」を更新しました

本屋でミシュラン特集を掲載している「Invitation」(ぴあ)という雑誌を見つけて購入してしまいました。予想どおりと言っては何ですが、あまり参考にはなりませんでした。
星を取る店を予想しているのですが、調査前から3つ星を約束されているという「ガニエール」はさておき、「アロマフレスカ」が挙げられているのには驚きました。確かイタリア修業歴のない原田氏の料理、イタリア風創作料理だと思うのですが、イタリアンの部門で星を与えるのでしょうか。それとも「和風料理」というジャンルをつくるのか。日本で料理を修業した経験のないフランス人がパリでやっている和食と同じで本国の人なら引いてしまうと思うんですけど。
イタリア風創作料理としては悪くないですが、この店にイタリアンとして星を与えてしまっては、時間とお金を投入して何年も本場で頑張った料理人は複雑な思いをするのではないでしょうか。唐辛子やニンニクが嫌いな「カノビアーノ」といい、この手の店が「イタリアン」として表に出てしまっていいのだろうかと疑問に思ってしまいます。
それにもまして驚いたのが「各界の美食家」と紹介されていた業界人。過食のオコチャマに加えて、ネーミングがまったく実態と矛盾している「日本フードジャーナリスト会議」の主宰者である放送作家が堂々とコメントしていましたから、友里は「黒房下へもんどりうって転げ落ちる」ほどビックリ。「ぴあ」はやはり実態を知らないまったくいい加減なものだ再確認したのです。
さて「店評価ブログ」に、高いだけの居酒屋「東京バルバリ」と、流行っているけどバスク料理ではないビストロ「ラ・ピッチョリー・ ドゥ・ルル」を掲載しました。お暇な時にお立ち寄りください。

途中報告 友里征耶・今年のワースト10 その2

和食
山田チカラ 南麻布
エル・ブジで修業し山田氏は「旬香亭」グループでスパニッシュを造っていたはずなんですが、何と独立して創作和食に転向してきました。
主人は狭い厨房に籠りきりですが、でてくる料理は作り置きのようなものが多い。また、造りに供される醤油のヌーベはやめてもらいたい。ヒネたようになってしまっています。
10皿のコースで、トマトソース物が3皿あるのもいかがなものか。調理側としては楽なんでしょうけど。偶然冷蔵庫の中に、業務用のキューピー「凍結卵白」がストックされているのを見つけてしまいました。調理は主人一人で、業務用を多用しているのかもしれません。
客は業界人とタレントが多いようで、私が訪問した時も女優がいました。他にお菓子関係のライターらしき人もいましたから、それだけでも期待できないことがわかります。

鮨 たなか  西麻布
鉄板焼「天」、焼肉「綾小路」、鉄板焼「黒田屋」などを展開している「(株)テンスターズダイニング」が寿司に進出してきました。
カウンターが高く食べにくいし、BGMがジャズ系と最初から江戸前鮨とは一線を画するコンセプト。
岩牡蠣はまだゆるせるとして、毛蟹が出てくるのはいかがなものか。J.C.オカザワくらいしか寿司屋で毛蟹を必要としないでしょう。
アワビも生だけでしたし、まったく普通の海鮮系寿司屋でありました。
明細がでる明朗会計をとっているのは評価できます。
しかし、近所には「いのうゑ」、「廣瀬」、「和心」(現在は2丁目に移転して「藤森」)と支払額に対して寿司のレベルに疑問の店が存続している西麻布。激戦区ではあるようですが、寿司屋に要求する客のハードルはかなり低いのかもしれません。つまり客のレベルが銀座ほど高くないということかも。
その他
ぎたろう軍鶏 炭火焼 たかはし  五反田
この店が入っている雑居ビルを見ただけで、結果は想像できるというもの。
過食のオコチャマ・来栖けい氏はじめ経験少ないけどプライドだけ高い副業ライターも絶賛していますが、本当に美味しい焼鳥を食べた事があるのかと私は問いたい。
火力が弱い炭火台で「蒸し焼き」したみたいな焼鳥は、質もたいしたことなくまったく美味しくありません。
評判の親子丼もレバーもどうってことないものでした。
基順館 板橋駅
「おとなの週末」でも掲載していたので、紹介制の店ですが取り上げます。
この支払(1万5千円超)でこれだけ和牛ヒレが食べられるのですからCPだけを考えたら最高。ヒレ自体も上質。でも友里は再訪する気がおきません。
理由はビールがなく、酒は甘めの日本製ワインだけ。酒好きには非常につらい店なのです。
一日一組がウリですが、全然くつろげない。最初から最後まで主人の自慢話に付き合わなければなりません。和田金の社長がきて驚いた、嵐山の吉兆の主人が褒めた、政財界や高級官僚もやってくる、など主人のマシンガントークは最後まで衰えません。
いくらヒレがあっさりしているとしても、最初から最後までヒレ攻めされては飽きが来るというもの。主人はロースなど脂系の牛肉を否定しているようですが、途中に出た豚のスペアリブは非常に脂っぽかったのが不思議です。
インディアンカレー 丸の内
自称農産物流通業者、私的にはただの食材・居酒屋宣伝ライターにしか見えない「やまけん」さん。かなり知名度高く影響力があるのでしょうか、「東京バルバリ」など、彼のベタ褒した店は釣られた客で繁盛しています。
そしてこの「インディアンカレー」、HP制作にも関与するほど癒着、失礼密着しているようで、やはり絶賛しています。
しかし中身は何のことはない、古典的日本風カレーでありました。小麦粉入れ過ぎかトロミが強すぎ、色々な香辛料を使った複雑な香りや辛さはなく、辣油を使ったかのような直線的な辛さだけ。
厨房の狭さを見る限り、セントラルキッチンで大量に送りこまれたルーなんでしょうけど、居酒屋がホームグランドの「やまけん」さんならではの推奨であると考えます。
昼に時間がとれず近所なので仕方なく食べに行くか、といったカレー屋さん。わざわざ出向き、行列に並んでまで食べる店ではないと考えます。

途中報告 友里征耶・今年のワースト10 その1

今日からワースト10となります。ワーストといっても今年訪問した店の最下位から10店という意味ではなく、雑誌などマスコミ露出の割に期待を大きく裏切られた店など負の意味で印象的だった店であります。
フレンチ
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ 六本木
180名のキャパを誇る、ヒラマツグループの美術館内「高額ファミレス」。
こんな大箱で支払額に見合ったまともな料理やサービスが得られるはずがありません。詰め込み過ぎでこれならその辺のファミレスの方がゆったり食べられるでしょう。冬にコートや荷物を預かるスペースがあるのでしょうか。
キャッチも問題。「ポール・ボキューズが日本に初上陸」のようなあらわし方をしていますが、正確には「ブラッスリーでは日本初」が正しい。銀座、赤坂アークヒルズと2回も「ポール・ボキューズ」を冠したレストランはありました。もう日本は懲り懲りと言っていたボキューズさんをヒラマツグループが説得して3回目の上陸になったと漏れ聞いております。
ラ キャンタン 駒沢大学
女性シェフのカウンタービストロ。かなり期待して訪問したのですが、料理は完成度低いものばかりでがっかり。ラタトゥーユ、シュークルート、トリップ、仔羊クスクスと深みのない味付け。調理スペースはかなり狭いですから「業務用」の調味料や出汁を使わざるを得ないのかもしれませんが、まったく薄っぺらな味わいでありました。
でも問題はシェフの態度。ホント、愛想が悪いんです。狭い店なので客が入ると顔というか目が合うのですが、会釈もなにもしない。勿論「いらっしゃいませ」の言葉もない。無愛想な顔のまま。嫌々造っているのかと思ってしまいます。また、カウンター上に脂がこびりついているのかベトベトしていたのも気になりました。
近くの「クワン」とはまったく異なる悪い食後感でありました。
イタリアン
イル・カランドリーノ トーキョー 新丸ビル
イタリアでは最年少で3つ星とったシェフの提携店。オープン当初は昼夜行列ができていました。
コース対応ですが、総量が少ない。また、カルボナーラ、サフランリゾット、
イベリコ豚のローストなどスペシャリテも量少なくたいしたものではありません。
特にメインのイベリコ、70度で24Hrローストがウリですが、肉の繊維質がなくなってしまって食感がなく、食材が豚だか何だかわからなくなってしまっています。旨みも残っておらずイベリコを使う意味がないと考えます。
ラ・ボスケッタ  白金
この店も大きく期待を裏切ってくれた店でした。「キオラ」時代の鵜野シェフの料理は好きだったのですが、ガラス食器販売会社とコラボで出したこの店は、コンセプト失敗ではないか。
コース制しかないのはまあ許すとして、7500円以上1万円台が2つと高いのはいかがなものか。その割に、少量ポーションの料理が7皿くらいしかでてきません。ハーブを利かせた繊細な料理ではなくなり、見た目とインパクトある味だけになってしまいました。
ワインリストもプア。イタリアワインはわずか42種。フランスワインの掲載ページの方が多いのですが、この意図がわかりません。
和食
井雪  銀座
東京で最高レベルに位置する割烹「京味」である程度任されていた人が昨年独立した店。食べ歩いている社長ブログなどネットでも絶賛されていたのでかなり期待していたのですが、これまたガッカリでありました。
まず料理が京味とはかなり変わっておりました。質は別にして食材のルートなどは同じようですが、調理がまったく違う。経費族、年配客を狙ってか、わかりやすい濃い味付けになっておりました。
主人や女将の接客にも疑問。羽振りの良さそうな客なら、初訪問でも掌スリスリ。また、遅くに入ってきた常連客には、カレーを振舞っていましたが、2万円以上支払う狭いカウンター割烹で、隣からカレーの匂いを漂わせて良いものなのか。現在はカレーなどまかない料理を出していないといった話を聞きましたが、手遅れか。
接客含めて修行店のオヤジさんを今一度見習ってもらいたいものです。
(つづく)