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しかしミズノの社長も、もう少し「度量」を示せなかったのか。
水野明人社長は昨日、所属(契約?)の北島選手のスピード社製水着の着用に関して、「最終的には彼の判断」という考えを示したそうです。
ここまでならまずまず。しかしすぐ本音が出たようで、
「ミズノの水着を着用すると思う」と期待感を示すというか、プレッシャーをかけることを忘れなかった。
http://www.sponichi.co.jp/osaka/spor/200805/23/spor211153.html
このスピード社製水着問題、世間でかなり話題になっていますから、ことオリンピック用競泳水着では、ミズノ製よりスピード社製の方が高性能であることが周知されています。マスコミにこの問題を取り上げられる度、ミズノのイメージはダウンすることがわからないのでしょうか。
私なら潔く、水連との契約も含めて水着に関してはスピード社製に譲るというやせ我慢の「度量」を示します。そしてこの水着性能の報道合戦に終止符を打ちます。
「日本選手の日頃の努力と国民のメダル期待を熟考し、ミズノは勇気ある決断をしました。選手たちには我が社の製品に何ら遠慮することなく、記録が狙える水着を自由に選択していただき、全力を尽くしていただきたい。近いうちにミズノ製水着に戻ってくれるよう我が社のスタッフは努力を続け、それが実現することを私は信じています」
と言うような発言をすれば、日本の国民性からして「良く決断した」と「拍手喝采」間違いなしと思うんですけど。
つまらない見栄やプライドに拘らず「実」をとるのです。「度量」を示すことが、結果的には企業のイメージアップになり、社員のモラール向上につながると考えます。
渋々「着用黙認」みたいな発言、未練がましく企業としては良い印象を与えない失策だったと思います。
「モウラ」をアップしています。20歳であっさり和食から中国料理に転身した梅本氏の「メゾン ド ウメモト上海」です。
ぜひお立ち寄りください。
http://tomosatoyuya.moura.jp/

すごいイケイケ路線だけど大丈夫?

「ワインプライス革命」と自称していますが、業界では「革命的な話題」になっていないと思われる「ひらまつグループ」。
ここ数年で、ASOブランド、ボキューズブランド、コンランブランド、リルブランドでいくつ店を増やしたでしょうか。
調理人やソムリエなどサービススタッフの質低下なく増員できているのか心配なのですが、今後もまだまだ増殖を止めないようです。
まずは2008年9月期中間決算説明会資料をご覧ください。
http://www.c-direct.ne.jp/public/japanese/uj/pdf/10102764/20080512152496.pdf
今期の売り上げ目標を100億円とし、既存店の増殖に加えて新たなブランドとの提携で5年後には150億円、低価格業態への進出、周辺事業へのM&A、更に「ホテル事業」への進出をも視野に入れて最終的には売り上げ300億円、経常利益30億円を目指すとしております。
まだまだイケイケ路線を終了して軟着陸をはかる気はないようです。
しかし世界的に見通しが立たないこの経済事情で、こんな強気の姿勢、大丈夫なんでしょうか。
今期9月期(中間)の数字を見てみますと、売り上げは50億あまり。前年度と比較して売り上げは33億円から50億円と急増しています。増収は、昨年度以降売り上げに貢献してきた新店(ボキューズ系、アイコニック系、リル系など5店舗)が稼ぎ出した数字で、既存店は売り上げに変化なし。
これはキャパ営業(箱物営業)の宿命でして、ゴルフ場もそうですが大幅な客単価の値上げを断行しない限り売り上げは頭打ちになります。成長性を見せたいため売り上げ増が欲しい経営陣が多店舗展開に踏み切る大きな理由なのですが、既存店(つまり古くなっていく店)の集客力の低下を考えると両刃の戦略と言えるでしょう。
集客数を見てみますと、新店のおかげで10数万人から30万人と3倍近くの増大ですが、売り上げは5割増ですからグループ全体としてはかなり「客単価」が低下していることになります。しかも「ブラッスリー ポール ボキューズ」が集客数の増大(17万人くらい)の70%を占めるという偏りです。
一般営業(普通のレストラン営業だと思います)と婚礼営業の割合は5:5から6:4と粗利の稼げる婚礼営業の割合が低下。
婚礼が出来ない「ブラッスリー」が集客増大の主体ですから当たり前です。
今後もブラッスリーを名古屋に出し、低価格業態に進出したらますますこの傾向は強くなるでしょう。粗利の稼げる婚礼事業の箱として「ジョージアン クラブ」は喉から手がでるほど欲しかったのだと思います。
今回「ワインプライス革命」で、集客増の貢献店「ブラッスリー」の更なる集客強化を狙わなければならないお家の事情を図らずも露呈してしまったわけですから、単純に客だけ呼ぶため店数を増やせば良いというわけではないようです。
昨年「カフェ デ プレ」からビストロ料理店に変更した「カフェ&ビストロ デ フレール プルセル」は今年になっていつの間にかビストロをやめてしまっておりましたが、この24日より1階を「カフェ デ プレ」に戻し、地下を「キャーヴ ド ポール ボキューズ」として再出発することになっております。
西麻布の「レゼルヴ」もいつの間にか「キャーヴ ひらまつ」に変更されています。既存店の中には厳しい店もあるようです。
スクラップ&ビルドという言葉もあります。ただ単純に増やせば良いというものではない規模に「ひらまつグループ」は達してしまっていると私は考えます。
イケイケ路線は、増殖による調理人やサービススタッフの質低下、既存店の陳腐化、ブランド同士の客の取り合い、多店舗展開イメージからの飽和感による客離れ、などのリスクをどう回避して規模の拡大を続けていけるのか。
まずは5年後の150億円売上、ROA10%以上の高収益な企業集団になっているか、お手並み拝見であります。

週刊文春の対談コーナーにナレさん登場

先週発売の週刊文春「阿川佐和子のこの人に会いたい」にミシュランガイド総責任者のナレさんが登場していたのを知りました。
「アガワのツッコミ、星いくつ?」の見出しから期待したのですが、阿川さんの突っ込みが今ひとつ踏み込み緩く、ミシュラン宣伝に一役買うだけ、ナレさんの思惑通りの結果となったようです。
ただ、今回の対談で面白い突っ込み所を提供してくれました。
掲載店が二軒つぶれた点について、「調査段階で兆候を感じませんでした」と弁解していますが、どこを調査していたのか。ランチとはいえ、「はとバスツアー客」を導入するくらい店内が寂しかった「ザ・ジョージアン・クラブ」の低落がわからなかった調査員、どうなんでしょう。
http://search.hatobus.co.jp/main/detail.php?id=6717
ミシュラン調査員に必要なものとして「胃袋が丈夫。好き嫌いがない。口が堅い。」を挙げていましたが、口が堅いと言われる調査員の素性がどうしてこんなにはっきり業界に伝わってしまうのでしょうか。口の堅さより自己顕示欲の強さが上回ってしまったのか。
ミシュラン調査員はCIAのエージェントみたいだが、食生活はもっと恵まれている、と軽口を叩いていますが、ワインをほとんど頼めない低予算の調査員、飲料生活には恵まれなかったようです。
ナレさん、飲食業界のタブーをバラしています。「ジャーナリストとか批評家はだいたい顔が知られているし、けっこうお金を払わないで食べる」と昨今問題になっているライターや評論家の「タダ飯」の存在を肯定しておりました。
東京版は生まれたての赤ちゃん。温かく見守ってくれ、とエクスキューズしているのも疑問。そんな完成度の低い本なら、なぜ発売するんだ。タダで配れ。
文章の稚拙さに関しては、「レイティングのプロだがライティングのプロではない」と開き直っております。それならば、ページ稼ぎの紹介文を無くせばいいだけ。お金取るべきものではないでしょう。
とまあ、阿川さんにはいくらでもより突っ込むところがあったのですが、日本のマスコミは割合一回の突っ込みで終わってしまうんですね。用意していた質問の回答に対し、アドリブで突っ込む能力に長けていないのでしょうか。
それにしても最大の突っ込み点、「店からの掲載拒否をなぜ否定する」がなかったのが残念。
この問題にとことん突っ込む人は居ないのでしょうか。