最近訪問した店 短評編 18

不景気の中、高額店の集客も厳しいようです。先日知人宅に届いたDMを見て私は驚きました。
福臨門からのカラー刷りの葉書には、期間限定(4/20?6/20)として「鮑宴」というコースの紹介が載っています。干し鮑を贅沢に味わえるこのコース、価格はなんと「1万2600円」であります。
大きさで価格が激変すると言っても、本物の干し鮑が入ったコースが1万数千円とは破格の値付け。1個ではなく細切れにされた鮑の可能性もあるかと店に確認してもらいました。
結果は、前菜、海老の蓮巻き、浮き袋と鶏肉、北京ダック、干し鮑(32頭)、北京ダックの挽肉炒めのレタス巻き、鮑の煮汁を使ったチャーハンと立派なコース仕立て。
32頭とは600グラムを32で割ったものですから、20グラム弱。干し鮑としては小さい物ではありますが、これだけの料理が盛り込まれているので「お買い得」ではないでしょうか。
二階堂ドットコムの話では、化学調味料は使用していないとのことですので、それを信用するならば行く価値があると思います。(私はMSG無添加を今も続けているか疑問ですけど)
もしこのブログを見て行かれる方がいらっしゃいましたら、一応念のため注文時に、「化学調味料は一切入れないでね」とスタッフに一言かけることをオススメします。
さて3店です。
エッソンス・エ・グー
高槻(大阪)にあるフレンチ。関西の食べ仲間がぜひとのことで訪問しました。噂通り、ボリュームたっぷりで塩もしっかり。この価格(6000円)ならCP充分であります。
ワインの値付けも安くオススメ店でありますが、皿出しの遅さがちょっと難点でありました。
あら皮 神戸
東京の分店より安いというので同じ食べ仲間と行ってきました。確かに東京店より、料理もワインも3?4割ほど安いのではないか。ノンヴィンのシャンパーニュが1万円、クリュッグのグランキュヴェも3万円。下手なフレンチより安いです。
その点では評価出来るのですが、肉質に大差がないとしても焼き方がちょっと違うように感じました。
東京店の方が表面をよりカリッと焼き上げた感じ。焼き方だけに関しては、私は東京の方が好きです。
インカント
今年2回目の訪問。イタリア各州の料理がメニューにはてんこ盛りですが、どれも現地のディープ感が漂ってきません。
イタリア郷土料理の入門店の位置づけと考えます。やはりイタリア全州の料理を網羅するには無理があります。現地に近い料理を食べたいなら、得意の州を前面に出している「専門店」をオススメします。

トヨタの勘違い

トヨタの2008年度決算発表が昨日ありました。予想通り今年度もふくめて2年連続の営業赤字の見通し。来年度(2010年度)の黒字化も微妙かもしれません。
トヨタは車体本体より付加価値のある高額な電装品で大きな利益を上げてきました。ようやく次期社長は「車の装備が過剰になったり価格が高くなったりしたことが若者の車離れを招いた」と反省の弁を語っています。反省通り過剰装備をやめて以前のような利益を取り戻すことが出来るのでしょうか。
自動車メーカーに勤務する若い社員の中には、免許を持たない人がかなりいるとも聞いています。笑い話にもならない切実な問題でしょう。
ここ数年毎年50万台ずつ伸びた販売数に調子づいて拡大路線をとり続けて大転けしたところは、多店舗展開して失敗する飲食店と同じ。世界の大企業でも人間の欲を抑えきれなかったということでしょうか。
でも300万台も余剰生産力があるとしたら、生半可な対策だけでは立ち直りは難しいのではないか。頼みの新興国ではエコカーや小型車しか売れません。利益に貢献した高級車の未来は厳しいと考えた方がいいでしょう。
トヨタの社是は「小型車での世界制覇」だったはずです。カローラが基本だったのですが、何を勘違いしたのか、見栄を張りたかったのか、ベンツを超える価格のレクサスを販売してしまいました。宅配ピザからグランメゾンへ進出したどこかの会社と同じです。
たとえは極端ですが、裏稼業で儲けた人が表の正業に進出してよく失敗するのと構図が似ているかもしれません。
社是に従って小型車に戻る、次期社長の反省通り装備品を簡素化する、といった方針に特化すれば販売台数はいくらか戻るでしょうが、巨体を維持する利益を上げられるかは疑問です。
20世紀を代表する工業製品であった自動車ですが、21世紀ではもう主役には戻れないと考えます。販売が期待できる市場は「下駄代わり」に車を位置づけているからです。
幹部は否定していますが、ダイエットしなければ回復は難しいと考えます。
あの高慢発言の奥田さん、今でも「マスコミに圧力(広告出してやらない)かけてやろうか」という元気があるのか聞いてみたいです。

鉄人が米国へ逃げ帰った?

読者からの情報で「森本XEX」の店名が5/1より変更されていたことを知りました。
http://www.ystable.co.jp/news/2009/4d.html
なんと今度は「尾前XEX」。尾前ってWHO?
どこでエグゼクティヴシェフをしていたか知りませんが、鉄人・森本氏に師事し、今までもこの店のシェフをしていたと言いますから、単なる「看板換え」であります。
しかし「尾前武」という名を知っている方がどのくらいいるのか。森本氏へ師事する前にいた店の具体名を開陳していませんから、有名店や人気店でないのは明らか。この業界、宣伝になるなら何でもする世界ですから、ほとんど無名の料理人ではないでしょうか。
過大評価の料理人とは言え、人気番組の主役を張った森本氏と尾前氏の知名度は比べものにならないはず。なぜこの不景気でわざわざ
純粋無垢な客を呼べる可能性のある森本氏の看板を外したのか私には理解できません。
あくまで想像ですが、集客に苦しみ森本氏へ支払う高いロイヤリティを節約したかったのではないか。もしくは「森本」という冠でも客が呼べないと判断したのかもしれません。
どちらにしても、店名を変えるというネガティヴな変更、今後が心配です。
もう一軒の閉店情報は六本木ヒルズの「八坂通り An 京割烹」。以前から閉める、閉めると聞いていましたが、やっと5月6日に閉まったようです。
京都の人気料理人・佐々木氏でも再開発ビルというハンディには勝てなかったようです。
どちらも「株式会社ワイズテーブルコーポレーション」の経営のはず。不景気もあって厳しい環境が続いているようです。
しかし六本木ヒルズ、これほど入れ替わりが激しくて大丈夫なのでしょうか。オープン当初に再開発ビルはダメだと言っていたのは友里くらいだったと記憶していますが、ここまで当たってしまうと気持ち悪いくらいです。
ミッドタウンも相変わらず店の入れ替わりが続いています。
「再開発ビルに入っても損するだけ」ということが飲食店経営者には未だわからないのでしょうか。
最後に。年初より情報をいただいていたのですがどうしても確認できなかったのが「暗闇坂 宮下」のグループ。経営が変わったとも聞きますが、具体的な情報をお持ちでしたら掲示板にでも書き込みをお願いします。
友里掲示板
http://tomosato.net/bbs/