最近訪問した店 短評編 47

今年もあと1ヶ月あまりとなりました。ネガティヴな考えですが、死ぬまでにあと何回正月を迎えることが出来るかと思うと空しくなることがあります。小山薫堂氏ではないですが、残る人生、「一食入魂」と言いたくなる気持ちは理解できます。
ただし本当に一食に入魂するのであったら、あんな大味な店を絶賛しないだろう、あんなカレー屋をプロデュースしないだろう、と私は思います。単に、真の味がわからないだけの人なんですね。

「グルメの嘘」そろそろ増刷が刷り上がってくる頃です。アマゾンにも入荷されたようで、ようやく「在庫あり」になりました。
3刷目に入っておりますが、巷で評判になっているような感じがイマイチしません。アマゾンのレビューも過去の本とは比べものにならないほど少ないですし、掲示板への書き込みも過熱感が出ていません。唯一の売れ情報は、「三省堂有楽町店」の新書ランキングで「ベスト6」になっていたことくらいでしょうか。
書評で取り上げられるとしたらこの時期になると思いますので、年末にかけて「グルメの嘘」には頑張ってもらいたいものです。

さて3店ですが、今秋訪問したトリノ、アルバ、パリの店をしばらく順次日曜に取り上げたいと思います。

NEUV CAVAL’D BRONS SRL(トリノ)
店前にあった「白トリュフ入荷」の看板に引かれて飛び込みで昼に入りました。グラススプマンテ(多分プロセッコ)が甘く最初から嫌な予感。グラワインもロゼしかないと空いてあるボトルを押しつけられました。
ココット入りの卵料理とタヤリンに白トリュフを別注しましたが、香りが薄すぎ。どうみても現地近くの旬物に思えません。明細を見たら、17グラムで110.5ユーロとありました。100グラム650ユーロに値します。後でわかったことですがアルバの倍近い価格。この質ならボッタクリともいえるでしょう。料理はもちろん美味しくなかった。

DEL CAMBIO(トリノ)
ミシュランでクラシックな料理とあったので選んだ店。店内はゴージャス、客も正装に近い人が多く(でもベビーカーも入っていた)、勿論夜の訪問です。
白トリュフがあるか聞いたら、「トリノにはまだ入ってきていない」と言われました。どうりで昼の店の自称白トリュフが変に感じたわけです。
トンナート、アニョッダル プリン、頬肉のバローロ煮込みと典型的なピエモンテ料理を楽しみました。
全体に薄味というか思ったよりあっさり。まさかアルバでの濃厚料理の連続で、胃の調子を崩してダウンするとはこのとき夢にも思いませんでした。

RISTORANTE SAVONA(アルバ)
白トリュフ祭り真っ最中の日曜の昼にアルバに到着。街中人でごった返しておりました。予約で満席の店ばかりでやっと入れたのがこの店。
35ユーロのプリフィクスに35ユーロの追加で白トリュフを1皿かけて貰いました。
空いていたわけは料理を食べて納得。鮪のタルタルは普通、パイにトロトロのタレッジオ、これはイマイチ。白トリュフをかけてもらったタヤリンは単なる「玉子麺」のようでありました。白トリュフはさすがトリノよりはましでした。
牛のバローロ煮込みは添えられたポレンタだけが美味しかったです。

「店評価ブログ」を更新しています

先日、来月出版される「めしとも 1月号」の鼎談が都内のホテルでありました。今月発売された「ミシュランガイド」を題材にしたものです。メンバーは現役シェフ、J.C.オカザワ、そして友里。もっともミシュラン掲載店に縁遠いオカザワが鼎談に加わってきことに私は驚いたのです。彼の代表作「庶ミンシュラン」(グラフ社)の掲載店と「ミシュランガイド」の掲載店はほとんどかぶっていないからです。
収拾がつかなくなるのではないかと心配した鼎談ですが、現役シェフのディープな情報や知識、経験がオカザワを充分カバー、何とかまとまりそうな展開で無事終了しました。
今回はあまりバトルにならなかったと思いますが、普段私が言っているミシュラン批判以外の話もでてくると思いますのでご期待下さい。
その現役シェフいわく、今年は厳しい年末になりそうだとか。頼みのクリスマスウィークの予約状況も例年とは違って芳しくないそうです。そう言えば、食べ放題の人気店もこの週に簡単に予約が入りました。
円高、株安、どこまで底に突っ込むのか。今年より来年の方が更に飲食店には厳しい年になるのではないでしょうか。

さて「店評価ブログ」に、パリの1つ星「あい田」をアップしています。和食と言っても「鉄板焼き」を主体にした創作和食。
今年はじめの門上さんの「絶賛記事」と比較して読んだら面白みが倍増すると思います。

門上さんの「あい田」評http://www.kadokami.net/weblog/2009/02/04/post_196.html

?友里の「あい田」評
http://tomosato.net/weblog2/

門上さん、「杉きみ」での体験お茶屋遊びはどうなったの?

昨日突然思い出したのが、今年春、応募が少なく焦ったからか自身のブログで参加を募集していた門上さんが関与していた企画です。
まずは門上さんのブログ内容を思い出して下さい。

http://www.kadokami.net/weblog/2009/03/30/post_221.html

ここでは詳細が書かれていなかったのですが、お茶屋女将が講義する場所などを提供する上野万梨子氏が主催する「ギャラリー リブレ」のサイトでは、1回の講演参加料が3万1500円、京都の実体験として「祇園 さ々木」での夕食と「杉きみ」でのお茶屋遊びがセットで9万4500円とのことでした。門上さんのブログにもリンク先が貼ってある「ギャラリー リブレ」でのこの企画内容、どうやら削除されたようで今現在は見ることが出来ません。

http://www.rizble.jp/pdf/090318_rizble.pdf

私は4/6のブログで、お茶屋の女将の家庭料理講義で3万1500円も高いが、「祇園 さ々木」の夕食とその後のお茶屋遊びで9万円超はあまりに高すぎる、半額近くで出来るはずだと問題提起しました。http://www.tomosato.net/blog/2009/04/post_708.html

掲示板でも色々な書き込みがあったと記憶しておりますが、多くのの方のご意見はやはり「高すぎる」であったと思います。
京都にあるというだけの創作和食と、ホテルと提携しているくらい重みのないお茶屋での体験が、果たして京都の伝統を本当に知るという適切な企画なのか、料金の高さと共に根本的に問題があるのではないか。

門上さんのブログを時たまチェックしているのですが、秋に実施予定だったはずの「祇園 さ々木」での食事会や「杉きみ」でのお茶屋遊びの報告がないのです。
「ギャラリー リブレ」のスケジュールを見てみると、高い女将のセミナーは8月にあったようですが、肝心の京都体験ツアーが見当たりません。http://www.rizble.jp/schedule08.html

企画書のPDFを削除しているくらいですから、推測するに破格に高い「京都体験企画」は人が集まらず消滅したのでしょうか。
自身の会社が直接関与し企画したイヴェントをブログで大々的に宣伝したのですから、止めたら止めたで潔く発表するべきだと思うのは友里だけではないと考えます。