謹賀新年

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

この2010年、どのような年、日本、世界になるのでしょうか。朝までやっていたTV討論をちょっと見ましたが、問題点は立場の違う各人で共有している場合が多いのですが、その対処法となるとてんでバラバラ。私が日頃言っていることですが、世の政治や経済に「特効薬」はないということでしょう。
その中で私がまったく知らない問題点がありました。このところ、日本人の海外留学が激減しているというのです。アメリカなどへの中国人の留学は増え続けているのに、企業、学生の中で留学したいと手を挙げる日本人がほとんどいないとか。外務省の役人でさえ海外へ行きたがらないと聞きましたから驚きです。
日本自体の景気の先行きが不透明なので、留学している場合ではないのか。アメリカで就職できる保証もなく、日本へ帰国した際のメリッ・デメリットを考えて消極的になっているのかもしれません。
正に日本全体がシュリンク状態であります。

その点、飲食店業界はまだ頼もしいのではないでしょうか。本場へ修業に行かなかった有名シェフもいますけど、若手の料理人たちが海外修業に消極的になったとは聞いておりません。それどころかどんどん海外へ行っているのではないでしょうか。
昨年のイタリア訪問でトリノやアルバ近辺のレストランを訪問しましたが、ミシュランの星を取っていない店でも厨房に日本人は立っているのを何軒も確認しました。料理人だけではなく、最近はソムリエ修業に行く人もいると聞いています。(実際、ホールに立つ人にも2人ほど会いました)
普段、多店舗展開はクオリティーが劣化するだけ、若くして簡単に独立するのはリスキー、と主張している友里でありますが、「儲け第一主義」も経済への刺激という点では必要なことなのかとも思ってしまいます。支店や独立店に客が入らなくても、デザイナー、内装業者、厨房設備メーカー、そして貸し主への経済対策にはなりますから。
スポンサーや己のリスクと引き替えに、経済を刺激してみたいと思う飲食店経営者や料理人は、今年も後を絶たないと私は予想します。

元旦にあたって、2010年の友里の抱負といいましょうか、今年の予定(希望を含む)を挙げてみたいと思います。
まずは剥がれかかった覆面を何とか維持しながら、自称覆面自腹ライターを1年間維持することが第一目標。偏執執着ブロガーや料理店関係者が私の個人情報を開陳しようとしているようですが、その攻撃をなんとかかわしたい。広く顔バレして「特別待遇」を受け続けたいといった誘惑を今年も抑えるつもりであります。
そして何といってもスタンス不変。反面教師として先輩格の元覆面自腹の「さとなお」さんが、鳩山さん接近などで最近存在感を増していますから、彼のような変節漢にならないよう気を引き締めるのは簡単です。

年間の目標としましては、ベースロードである「日刊ゲンダイ」がまず基本。多分今の連載は3月で一時休みとなるでしょうが、秋口に再開となればと思っております。
J.C.オカザワにとって生命線である「めしとも」、この友里も連載を持っていますから大事なベースロードであります。創刊から半年近く、今年が踏ん張りどころだと思いますので出来る限り頑張って売れ行きに貢献したいと考えます。
そして出版。「グルメの嘘」の出版で出し殻状態になりましたので、「主張本」の執筆はしばらく不可能。かといって今までの拙著のような個別の「評価本」も新鮮味がないのではないか。
オファーとしまして「オススメ本」のようなものの企画があるので、スタンスを変更しないでそのようなものが出来るのかどうか検討してみたいと思っております。

ドクターストップならぬファミリーストップがかからない限りこれからも自称でありますが自腹覆面飲食店ライター(ブロガー?)を今年も続けていきたいと思いますので、今年も一年、どうぞよろしくお願い申し上げます。

今年の期待はずれ、性格ワースト、そしてベスト

いよいよ2009年も今日で終わりです。来年の景気は回復するのか。株価は再度2番底を探るのか。日航は法的処理に進むのか。
そして飲食店業界では、銀座に進出する「あら輝」がどのように銀座の客に評価されるのかにも注目です。?

この2009年も友里として色々なことがありました。古川修氏からの名誉毀損・損害賠償訴訟の件では一審判決逆転となる高裁はまさかの賠償判決。色々悩んだ末控訴断念して判決を確定させましたが、今思えばこれで良かったかなと。(控訴断念のことです)
吹っ切れたといいますか、「めしとも」などの対談ではこの敗訴をウリにして一皮むけた感じにもなりました。
しかし古川さんサイドがメディア向けへ送ったというコメント、何の狙いがあったのか不思議です。
http://superlife.at.webry.info/200905/article_15.html

判決結果だけではなく、ブログでは伏せ字にしていますが、送ったコメントには私の実名を書いているのでしょう。要は名誉毀損のライターだから今後仕事を回してくれるな、これを機会にこの業界から抹殺したい、といった狙いがあったと推測しますが、残念ながら友里征耶は今でも健在であります。
と言いますか、ポチポチではありますが相変わらず仕事の依頼はいただいておりますし、「めしとも」ではレギュラー連載(いつクビになるかわかりませんけど)も始まり、新潮新書から出した「グルメの嘘」は2ヶ月足らずで四刷りとまずは順調な滑り出し。古川さんの期待された状態には今のところなっておりません。
これが世の民意だと言うとまた怒られるでしょうか。

これもひとえに読者の皆様方のご理解、アンチの方々の不理解、そして出版社始めマスコミの方々のおかげと感謝しております。

さて2009年最後を飾る店ランクであります。今年の期待はずれ3、性格ワーストの店、そして今年のベストを挙げてしめてみたいと思います。

【期待はずれトップ3】
青山指月
奥湯河原時代の記憶が良すぎた(立地の妙による過大評価?)のか、移転した店での2時間あまりはガッカリの連続でした。カード不可で客単価3万円の料理としては、食材、質、調理ともCP悪すぎでした。期待が大きかっただけに「ハズレ感」も大きかったです。

ロオジエ
11月の10周年記念イヴェント、メナール氏とボリ?氏のコラボディナーで満足された古くからの常連(ボリ?ファン)がいたのでしょうか。
「悪貨は良貨を駆逐する」ではないですが、期待していたボリ?さん担当の料理(メナールさんには期待していなかった)が、まるでメナール料理みたいになっているのです。これほどガッカリしたことはありません。二人はホールで挨拶したあと早々と店を出たようで、なんか違ってしまっているな、と感じた夜でありました。

カンテサンス
焼肉(ロースト料理のことです)主体のシェフが「煮込み」を造るのは無理なのか。今年久々の訪問で、オックステールの赤ワイン煮がでるというので楽しみでしたが、それはただしつこいだけの味わいでありました。岸田シェフには、クラシックな店(たとえばランブロワジーなど)の厨房に入って煮込みやソースを再勉強されることを提案します。

【性格ワースト】
本湖月
依怙贔屓が目立つ料理人は多いですが、常連に媚びうるため儲けさせて貰っている接待客の悪口を言ってしまって良いのでしょうか。
1万5000円、2万円、2万5000円の3コースの内容がほとんど変わらない、上のコースは観光客向けの価格(料理ではないところがミソ)だとも言われている、経営者の性格に大きな問題があるお店であります。以下の「店評価ブログ」を再読願います。
http://tomosato.net/blog2/2009/10/post_204.html

【今年のベスト】 
ランブロワジー
今までパリで訪問した店ではやはり一番満足する料理でありました。カレー風味のラングスティーヌ、そして定番の仔羊と質、調理とも最上レベルであります。
今回は予約の関係で昼の訪問でしたが、次回は夜にじっくり楽しみたいと思っております。

今年も大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは良いお年をお迎えください。

今年初訪問のベスト3

昨日久々にアマゾンで「グルメの嘘」のランキングをチェックしましたら、600位チョイでした。(今現在は1000位チョイ)
ここのところランキングがじり貧だったのでなぜ上がったか気になったので検索してみたところ、どうやら読売新聞の書評か何かで紹介されたようです。

http://www.yomiuri.co.jp/book/paperback/20091228bk15.htm

ジャイアンツだけではなく主筆に対しても言いたい放題だったので、日経新聞と共に絶対取り上げてくれないと思っていたので驚きました。

さて本日は初訪問のベスト3なのですが、選定にかなり悩みました。商売柄と言うのでしょうか、ダメそうな店へも敢えて(もとい楽しみで?)訪問するスタイルなので、良いと思う店の確率がかなり低いのです。いや、世に「よい店」がそんなに存在しないのかもしれません。
2つはあっさり決まったのですが、残りの1つが難産。最終的にはすべて関西のお店となった次第です。訪問は遥かに東京の店の方が多いのですけど、それだけ東京は「性格の悪い経営者や料理人」や「腕の良くない料理人」が多いと言うことなのかもしれません。

御料理 はやし 京都
今年何回もブログで取り上げてきたので、ここで多くを語る必要はないでしょう。今年も関西へ行った際はなるべく和食の店を訪問していたので、初訪問の店は結構ありました。「緒方」、「ます多」、「やました」、「にしかわ」、「ささ木」(移転後初訪問)、「近又」、「山玄茶」、「瓢亭」、「もめん」、「八寸」などですが、そのなかで「はやし」は一番印象に残り「八寸」と共に再訪した店でもあります。
一見取っつきにくそうな主人と女将でありますが、緊張感はありません。小さな店なの1つ星で良かったと思う常連客も多いのではないでしょうか。

エッソンス・エ・グー 大阪
高槻にあるフレンチ。シェフは東京のロブションの店で働いていたと聞きました。
「ボン・ピナール」の関西版と言いましょうか、ワインの値付けが安い。料理はよりディープで私の好みでありました。
ただし問題は皿出しの遅さか。ワインに拘るのは良いのですが、シェフが一々対応するので調理が進まないのかなり待たされます。ワインで時間つぶしするしかなくオーダー数も増えるかもしれません。
それでも安くないワインを飲んで一人1万7000円前後はCP良いと思います。

八寸 京都
「やました」にしようか最後まで悩みましたが、こちらを選択しました。
高いけど(3万円前後)食材や質を考えたらCP悪くない店なのですが、私が訪問した時は客が少なかった。不景気の影響をかなり受けているように感じます。
主人の次男が「和幸」修業時代、「小室」が兄弟子だったと聞きました。京料理屋の息子がなぜ東京で修業したのか不思議であります。かなり強面という長男は海外の店で働いているそうです。