クロマグロ禁輸で寿司業界は本当にダメージを受けるのか

京都の3つ星和食店「千花」で大きな問題が起こりました。客8名に食中毒症状がでてノロウイルスの検出が確認され3日間の営業停止となったようです。
どの食材が原因だったかわかりませんが、銀座のあのフレンチでも似たような騒動があったと記憶していますから、飲食店としてはそうは珍しいことではないでしょう。オイスターバーでは避けて通れない事象であるとも聞いております。
地元の客は少なく、府外の観光客が主体であると聞く「千花」。今回のダメージはかなり大きいと考えます。

さて、トヨタの次にアメリカが仕掛ける日本叩きは「クロマグロ」なのか。国際取引禁止の立場に舵切ったことで、クロマグロ禁止が採択される可能性が高くなったと報道されています。
日本としては「留保」を選択、公海で捕獲し続け同じく「留保」した国からの輸入も可能にする立場を貫くとの政府判断のようですが、ますます孤立してしまうのではないでしょうか。

日本が最大のクロマグロ(本鮪)消費国と言われていますが、大西洋や地中海での捕獲を禁止されたら本当に困るものなのか。
寿司屋には大きく分けて4つのカテゴリーに分かれると思います。
客単価1万5000円以上の高額寿司、1万円前後の中級寿司、5000円前後の街場寿司、そして回転寿司です。
高額寿司屋はみな「どこそこの本鮪です」と自称していますから、近海本鮪のはず。取引禁止でもまったく影響がありません。
中級寿司でも近海本鮪を出していると自称する店もあるようですが、インド鮪(ミナミマグロ)やメバチが主体ではないか。街場寿司や回転寿司でも主体はメバチやキハダ(せいぜいミナミマグロ)ではないかと推測します。

何処で地中海や大西洋のクロマグロが大量に使われているのか私は不思議なのです。

?地中海や大西洋で捕れたクロマグロです

と客前で説明する寿司屋や和食店を私は知りません。
あくまで推測でありますがこれらのクロマグロ、寿司屋の自称近海本鮪にかなりの割合で紛れ込んでいるとか、高額和食店の刺身に潜り込んでいるのではないか。
世にはあまりに「大間」、「戸井」、「壱岐」などの自称近海本鮪が出回りすぎです。この際、近海本鮪だけではなく、輸入クロマグロのトレーサビリティを徹底する必要があると私は考えます。

クロマグロの輸入が減ると、ミナミマグロやメバチ、キハダの価格が上がるという心配もあるようですが、世にはマグロ好きな人ばかりではありません。
寿司屋には他にもっと楽しめるタネは豊富ですし、和食店の刺身でも鯛などある意味マグロよりもっと美味しい白身はまだまだ有ります。
下手なクロマグロよりミナミマグロの方が美味しいという話もありますし、取引禁止によって損害を受ける輸出国もあるはずです。
鯨もそうですが、この際あまりクロマグロに固執することはないのではないかというのが本日のお題でありました。

ここからは余談なのですが、世界にはもっと先に禁止する食材があるのではないか。
例えば、フォアグラ。狭いところに閉じ込めて無理矢理食べさせて病的な状態にするのは人権、もとい鳥権侵害ではないか。極めて残酷であります。
草を食べささずミルクだけ与えて幼い命を奪う仔牛料理もいかがなものか。カーフを使った靴やバッグも残酷です。焼き鳥で出る「ちょうちん」も問題。過食のオコチャマ絶賛の、生後間もない仔鳩も考えてみればあまりに残酷。
日本政府に根性があるなら、カウンターパンチでこれらの食材の禁止も提案すべきと私は考えます。

ツイッターが政治家を壊す?

読者の方から閉店情報をいただきました。アロマフレスカ出身のシェフが旧アロマフレスカ跡でやっていた「リストランティーノ バルカ」が2/27をもって閉店したようです。
オープン当初は話題になっていましたが、最近はまったく噂も聞きませんでした。私も1回だけの訪問でやめましたが、最近は集客に苦労していたのでしょうか。別の場所に違う店名で再スタートするとシェフのブログでありますが、具体的な情報はありません。計画がまだ煮詰まっていないのでしょう。

さて今朝のTVでは、昨日の参院予算委員会で3人の大臣が遅刻したという報道が大きく取り上げられております。オコチャマ内閣と揶揄される現政府ですからさもありなんと思ったのですが、問題は原口大臣。なんと委員会が始まった時刻後にもツイッターをやっていたことがバレてしまいました。
先日の友里ブログで、ツイッターとさとなお氏の両方を批判している本を紹介しましたが、早くもツイッターの弊害が政界に出てしまったようです。
このツイッターに嵌っている政治屋が多いとか。国会審議の様子を刻々と書き込んでいる国会議員もいるそうです。
「やじうまプラス」のコメンテーターである伊藤洋一氏が面白いことを言っていました。

ツイッター含めネットは、政治家のバランス感覚を崩す

と言うのです。実例が面白かった。

「加藤の乱」を覚えていらっしゃるでしょうか。総理に一番近い男と言われていた政界のプリンス(当時)・加藤紘一氏が森首相に反旗を翻した政変劇であります。
野党の不信任案に賛同すると言っていたのですが、結局腰砕けとなり涙を流して断念した様はTVで大きく報道されました。腰が据わらぬ甘ちゃんであると自ら開示してしまったのです。その後は秘書逮捕で議員辞職、党内でも孤立状態と昔のプリンスの面影はまったくありません。
たまにTVや質疑で偉そうな事を発言していますが、気が小さい人がしゃあしゃあとよく言うよ、と思う人が多いのではないでしょうか。

その彼の人生を狂わすキッカケとなった「加藤の乱」、なぜ彼が決起したかを伊藤洋一氏が解説していました。
加藤氏は「加藤の乱」の少し前にHPを開設していたんだそうです。そのHPへ

加藤よ、立て

という声が殺到してその気になってしまったというのです。
ネットで発信すると、反応がどんどん広がり嬉しくなって嵌ってしまうのだとか。ツイッターだとフォロワーの数が増えていくことに快感を覚えてしまうのでしょう。

この手の反応はほとんど「賞賛」というか「ヨイショ」や「煽り」みたいなものなのですが、大きな後ろ盾を得たと勘違いしてしまうのでしょう。偏った煽りを「大きな声」と勘違いしてバランス感覚を失ってしまうと伊藤氏は言っておりました。

良い歳をした政治屋が携帯を必至で打っている姿、見ていて痛々しいのですが、鳩山さんにツイッターを勧めたと自称しているさとなお氏をはじめ、多くの政治屋がツイッターの弊害を理解できないのが日本の悲劇であり喜劇であると考えます。

本日もコーヒーの話題です

コーヒー、レストランではどちらかというとマイナーな立場だと思っていたのですが、昨日のブログの効果があったのか、友里掲示板のブログスレが久々に盛り上がりを見せています。ここ数年「スペシャルティコーヒー」という言葉が出回ってきましたが、はっきりした定義はないようです。
日本スペシャルティコーヒー協会(こんな協会があるとは知りませんでした)によると、

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること

何とも曖昧な定義であります。
私の勝手な解釈を披露させていただくと、世に広まっている「ブルーマウンテン」、「モカ」、「キリマンジャロ」などの銘柄コーヒーはコマーシャルコーヒーであり、スペシャルティコーヒーは産地だけではなく農園や品種まで明記されており、栽培、生豆の選定(ピッキング?)、焙煎、抽出など生産から消費者の口に入るまですべての過程に拘ったコーヒー。ブルゴーニュワインで言うなら、前者が村名ワイン、後者が1級、特級ワインというところでしょうか。

昨日のブログに関していくつかメールをいただきました。
「グラン クリュ カフェ」の社長、大手(UCC)に勤めていて数年前に独立したそうで、長年現地をまわっていたので産地には非常に詳しいとのこと。流通業者としては第一人者だそうですが、逆に言うと焙煎やブレンドに関してはたいしたことがないのではないか。HPでも焙煎に関しての拘りが見られません。素人の私が言うのも何ですが、スペシャルティコーヒーを販売している方々の多くが、自身の焙煎技術に拘りを持っていることから見ても、この「グラン クリュ カフェ」は真のスペシャルティコーヒーと言えるのかどうか疑問であります。何でも高ければ「スペシャルティ」というものではありません。

昨年イタリアとフランスを訪問した際、イタリア在住の方から

イタリアのコーヒー(レストランで出すもの)は美味しいけどフランスは美味しくない

といった発言を聞きました。その後パリに行きまして、3つ星でコーヒーを飲みましたが、確かにアルバの田舎の店の方が美味しかったかもと感じたのです。

では日本はどうかと言いますと、日本のレストランのコーヒーもはっきり言って美味しくない。私が最近までコーヒーに興味をなくしていたのは、グランメゾンや高額店のコーヒーも不味いからでありました。
客単価数千円の店ならわかりますが、ワインを入れたら数万円のレストランで、1杯原価が数十円のコーヒーをケチってどうするのか。
昨日のブログで一般的な仕入れ値を書きましたが、客一人に対して10円か20円余計にコストをかけるだけでレストランの最後の「締め」の印象が格段にアップするはずです。

終わりよければすべてよし、という言葉もあります。レストラン関係者(特に高額店)は、料理やワインだけではなく〆のコーヒーに関しても真剣に考えるべきだと私は考えます。