廉価な店が人気になって、和食業界もデフレ突入?

2009年も残り2週間となりました。忘年会真っ盛りのはずですが、それほどの過熱感を繁華街に感じません。
先日銀座を歩いていて、遅まきながら「バリー」の閉店を知りました。その他の海外ブランドの路面店も、クリスマス前のかき入れ時だというのに寂しい限り。松坂屋にあった高級ブランド「グッチ」も撤退し、その後に廉価ブランド「フォーエバー21」が入るかもしれないと聞きますから、驚きです。

先週末、麻布十番や西麻布を歩いていて気になったことがいくつかありました。
麻十の商店街のビル、結構空き室が目立ちます。中には、テナントが半分以上入っていない新し目のビルまであります。そのすぐ近くで、新築ビルを建設中なのですから施主は何を考えているでしょうか。多分、建築業者などの見通しの甘い話をそのまま信じて建設を続行しているのだと思いますが、竣工後は「悲惨」が待っている可能性が大きいでしょう。

そして西麻布。あの「やま祢」グループの「西麻布 露地 やま祢」が原状回復らしい工事をしているのを見つけました。確かフグ以外に天麩羅もやっていた店のはず。HPでは、移転準備でしばらく休業とありますが、この手の釈明は実質「閉店」がほとんど。稼ぎ時の年末に移転でクローズすることを選択する経営者がいるとは思えません。また、移転先が決まらずに長期休業することも普通に考えればあり得ない。西麻布の地に、この手の業態の店が合わなかったと言うことでしょう。

どんどん廉価になっていく店として思いつくのは、西麻布2丁目の「トラジ」。最初は常連専門の高額焼肉「虎の穴」だったと記憶していますが、いつの間にか「トラジ」に変身。そして今は派手な張り紙を店前に張り、

?家族で焼肉! 3980円 ボリュームは6?7人前

で集客をしています。看板通り1人前ではなく6人前で3980円なら、凄い価格設定であります。

本題です。
先日、連日満席の廉価和食2店を訪問しました。
恵比寿にある5250円コースの「かどた」、湯島の8800円コースの「湯島121」です。
「かどた」はこの価格帯にしては厨房スタッフが4人もいてビックリ。量も充分。「湯島121」も修業元と言われている「京味」と比較するのは可愛そうですが、この価格を考えたら多くを望めないでしょう。ちょっと総量が足りなかったような気がしましたけど。

つい最近まで、1万円前後の和食店が人気になってコース価格を1万5000円前後に値上げする店が目立ちましたが、この不景気でうまく集客できているのでしょうか。
来年は、牛丼だけではなく、和食(居酒屋などを除く)まで価格競争に突入していくかもしれません。

帯が見かけ倒しだった「人形のBWH」

今朝のTVは、アメリカの政府筋が「日本は北朝鮮と同じくずうずうしい」と評していると報じておりました。
一連の普天間問題で、連立政権の煮え切らない態度に苛ついたようですが、私は最大限の賞賛ではないかと好意的に受け取りました。
田中康夫氏などからポチ外交と揶揄されてきた「アメリカ絶対服従」から、あの瀬戸際外交というか開き直りを繰り返し、アメリカを手こずらせる北朝鮮の交渉術と同列に評価されたと考えたわけです。
合理的なアメリカ国民は、本当に必要で良い製品だと思ったら、いずれトヨタはじめ日本車を買うようになるでしょう。世界よりアメリカ、アメリカより自分、と個人主義の国民性だからであります。
いくら批判されても、国から助けられても、喉元過ぎるというか、ちょっと持ち直すと自分たちの報酬やボーナスを高額に戻すアメリカ金融界を見ればすぐわかることです。
やっている事は稚拙で見ていられない連立政権ですが、結果論的にはアメリカとの関係をイニシャライズして再構築できるかもしれません。
マスヒロさんの「言うべきは言う」は見かけ倒しでありますが、対アメリカにははっきり言い続けてもらいたいものです。

さて見かけ倒しといったら、近年これほどのものを経験したことがなかったのが、掲題にある丸谷才一氏著の「人形のBWH」(文藝春秋)であります。
帯には

?「ミシュラン東京版」への決定的批判から直木賞とっておきの秘話まで

とあり、読者からブログのネタになると勧められて購入しました。
旧仮名遣いで非常に読みにくい文章なので、件の「ミシュラン関係」しか読みませんでしたが、一体何処に「決定的批判」があるのでしょうか。

文章が下手だ、レイアウトが悪い、地図が悪い、といった表面的な温い「指摘」が主体。私には全然「決定的」に感じませんでした。
こう言ってはお世話になった文藝春秋社に怒られるかもしれませんが、何の新鮮味もなく鋭い批判もありません。あの帯の謳い文句で釣られた客はがっかりしたのではないでしょうか。新刊だというのに現在(本日早朝)のアマゾンランキングは10,569位。増刷された場合は「帯」の内容変更をお願いしたいと考えます。

丸谷さんは、私のミシュラン批判を知らないのでしょう。と言うか存在自体をご存じない。(当たり前ですけど)
末端というか泡沫ライターである友里は、彼ら有名作家にはまったく相手にされていないということが、あらためてわかりました。

「めしとも 1月号」本日発売

昨日掲示板に喜び勇んで書き込みましたが、再度ブログで発表させていただきます。
「グルメの嘘」(新潮新書)の4刷目の増刷が決定しました。年内には配本されるとのことです。出版1ヶ月で4刷、友里本5冊の中では一番の親孝行になりました。1週間ごとに2刷、3刷と増刷できたのですが、ここ2週間音沙汰がなくちょっと心配でありました。でも、おかげさまで順調に売れているようです。未だお買い求めいただいていない方のほか、読んで面白いと感じられた方、どうかお買い上げ、宣伝とよろしくお願い申し上げます。
帯にありますが「読まずに食べるな!」であります。

本日発売の「めしとも」、いつもの連載「銀座“裏”ガイド」ではクリスマスシーズンと言うことでフレンチの「ロオジエ」を取り上げております。(64ページ)
11月に開催された10周年記念イヴェント、新旧シェフ・メナール&ボリーのコラボディナーに参加しての私の感想は、そろそろ3番目のシェフの選定に入った方がいいかなと。
巷では常連中心にかなり評判が悪くなったという話を聞きます。
「評判が悪すぎる。2つに落とせないから何とかしろ」とメナールさんがイエローカードを貰ったといった都市伝説まででてきました。
資生堂の決断が迫られているといっても大袈裟ではないと考えます。

そして料理人とオカザワと友里の鼎談のテーマは、もう完全に陳腐化してしまった感がある「ミシュランガイド」であります。(57ページから4ページ)
今やミシュランと縁遠いB級ライターに転身した(転身せざるを得なかった)オカザワの発言量が少ないのは仕方ないことか。それを補って余りある料理人の発言に注目です。
誌面の都合だけではなく、ここまで書いては拙いとの判断なのか、とっておきの香ばしいネタが掲載されておりませんが、そこらの俄ミシュラン批判とは一線を画する秀逸な出来だと思います。
ちょっと書いちゃいますと、東京版、2つ星の店はほとんど訪問していないというのが業界の常識になっているようです。

そしていつものことですが、過食のオコチャマウオッチング。
「今月のオススメ30食」ですが、2ページ割く記事の半分近くを自分の店「エキュレ」関連で埋めてしまっていいのでしょうか。自分の店を宣伝してもらい更に原稿料がもらえるという、新しいビジネスモデルを確立してしまいました。
(株)角川マーケティングは本当に著者やライターに優しい会社であります。

今天皇陛下の1ヶ月ルールでマスコミが騒いでおります。羽毛田長官が「政治利用」とか変なイチャモンを付けておりますが、1ヶ月以内だろうが1ヶ月前だろうが、問題は期間ではなく中身のはず。申し込みの時期で「政治利用か否か」が変わることはあり得ない。
「政治利用」はいつ申し込んでも「政治利用」なんですね。
外交には貸し借りも必要です。理想は重要性の如何を問わず大小も問わず、でしょうが、そんな青臭いことを言っていては世界からバカにされるだけでしょう。
高級官僚だったはずですが理屈になっていない発言、頭が悪いとしかいいようがありません。