昨日のブログ、メインテーマは天麩羅店で遭遇した浅利慶太氏と連れの若手俳優のマナー問題でありました。
揚げ立ての天麩羅を直ぐ食べず皿に山積みにしてしまった浅利氏と、コースがスタートしてから1時間半経ってすべての天麩羅が揚げ終わった後でもほとんど手をつけていなかった若手俳優への問題提起でして、久々に友里掲示板の「友里ブログを語るスレ」は盛り上がりました。
そのブログで、マナー問題以外でちょっと触れたことについて、読者の方や業界の方から興味深い情報をいただきましたので、本日はその件について公開させていただきます。
友里が4/22日夜、宮崎台にある天麩羅店「美かさ」の一回転目に入店した際、主人が
ここ1週間で穴子があったのは2日だけ。今日は穴子が出せません。
寿司屋さんに穴子ありましたか?
と如何にも世は穴子不足のように常連らしき客に話した内容に、私の検証魂が燃え上がったのです。1万円前後のコース天麩羅で、
穴子がないなんてあり得るのか!
?ここは直ぐさま確認しなければと、「美かさ」を出てすぐ都内有名天麩羅店へ電話、翌昼の予約を入れたのです。勿論、「穴子」の入荷状態を見るためであります。
昼はほとんど食事をとらない友里、その夜は肉系の店訪問の予定があり特に昼食は控えなければならなかったのですが、検証精神の方が勝ってしまったのです。
昼なのについフルコースを頼んでしまった友里、〆の天丼の前にしっかり厚めの穴子の天麩羅を堪能させていただきました。
夜のための仕込みでしょうか、沢山の穴子を取り出していた主人に穴子の産地を確認したら、「江戸前」(確か小柴近辺とか)とのことでありました。
なんだ、こんなに沢山の江戸前穴子が入荷しているではないか。1日の違いでこんなに穴子の入荷状況が異なるものなのか。
疑問はますます膨れあがり、昨日のブログで先週の市場での穴子の入荷状況を読者の皆さんに問うたのです。
まずは掲示板で築地、足立、大田の市場での「卸売予定数量」や「販売実績」が記されるURLが示されました。
http://www.shijou-nippo.metro.tokyo.jp/
各種水産物(鮪とか穴子とか)の販売実績(量や競り価格)などが過去に遡って毎日詳細に記されているではありませんか。
早速「穴子」のところを見てみますと、先週は毎日平均すると6000キロ前後と、普段とまったく販売量は変わらないではありませんか。入荷が途絶えた日は確認出来ません。
1ヶ月前、穴子の旬と言われる梅雨時つまり昨年の6月、そして1年前の4月を見ても、「穴子の販売量」で先週が激減したというデータはありません。コンスタントに6000キロ前後なのです。
それではなぜ宮崎台の天麩羅店は穴子を入手できなかったのか。中央卸売市場(築地、足立、大田)ではなく、神奈川の市場に出入りしていて、その市場では穴子の入荷がなかったのかとも思ったのですが、以下の掲示板の書き込みがその推測を否定してしまったのです。
http://tomosato.net/test/read.cgi/bbs/1272253165/44
「美かさ」の主人は築地へ出入りしているようで、穴子の卸業者も固定しているようです。
書き込みでは、この卸では「韓国産」しかなかったとのこと。なるほど、国産が築地に入荷していないので仕入れを断念したのかと納得しかけた友里に、今度は都内の飲食店関係者の方から興味深い情報をいただいたのです。
活け物の穴子、江戸前に限定ですが先週どころかここしばらく、仲卸の入荷が切れたことはないのだそうです。価格も安定していて、キロ当たり2300円程度だと言うのです。
但し、他県や外国産の穴子についてはわからないとのこと。最近は瀬戸内物の穴子の漁獲量が減少しているとの情報もいただきました。
掲示板の書き込みとこの情報、そして私が確認した翌昼の「江戸前の沢山の穴子」を整理しますと、以下のような結論が導き出されるのではないでしょうか。
江戸前の穴子の入荷は途絶えていなかった。
そして以下の推測に至るのです。
「美かさ」は普段から江戸前穴子に拘っていない。
もしくは
「美かさ」が取引する仲卸業者は江戸前穴子が得意ではない
江戸前穴子はここしばらく入荷が途絶えていないということですから、「美かさ」が江戸前穴子を仕入れようとすればいくらでも出来たのではないか。
普通は関東の天麩羅は江戸前に拘るはず。羽田沖の穴子が最高とよく言われているくらいですから。鮨だって「江戸前」の魚を出来れば仕入れたいと思うはずです。
江戸前の穴子がいつも通り市場に出ているのにそれを仕入れず、
穴子の入荷がない
との説明で穴子を提供しない「美かさ」主人の意図は何なのか。私には理解できません。
寿司屋に穴子がありましたか。
なんて変なトリックを使うのはいかがなものか。
取引仲卸業者が江戸前穴子を得意としていないのが理由かどうかわかりませんが、江戸前穴子に普段から拘らず、たまたま取引業者に穴子の入荷がなかっただけならば
うちは江戸前穴子に強い仲卸業者から仕入れていません。江戸前穴子は沢山ありましたが、取引業者に穴子がないので、今日は出せません。
と正直に言うのが、真っ当な天麩羅店の「矜持」なのではないか。
しかし、江戸前穴子に拘りがないとしたら、この神奈川県の人気天麩羅店、私はかなり疑問です。
何事も「正直」が一番ではないでしょうか。
世には純粋無垢な客だけではないということを「美かさ」主人は知るべきでしょう。