毎日毎日メルトダウンだ、セシウムが基準値を上回った、高濃度汚染水が何万トン貯まった、と福島原発事故のシビアな現状が報道されているため国民はマヒしてしまったのでしょうか。
平時なら大変な大事故だと思うのですが、ほとんど話題になっていないのが浜岡原発5号機の海水混入事故であります。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110516k0000m040106000c.html?inb=yt
どのような事故か、簡単にご説明しましょう。
原子炉で高温高圧となった蒸気は、タービンを回して仕事をして温度と圧力が下がり続けますが最後に復水器というところで大量の海水と「非接触」で熱交換されて20?30度(圧力は負圧)に減温・減圧されて再び原子炉へ戻されます。
湿度の高い日本では、欧米のように冷却塔を使っての蒸気冷却が出来ないので冷源として海水を使わざるを得ない。原発だけではなく日本の火力のほとんどが海辺に設置されている理由がこれであります。
循環水ポンプで汲み上げられた海水は直径3メーター前後の鉄管内を流れて復水器の水室というところへ入ります。ここで、何万本にも及ぶ復水器細管(直径3センチほど)にブランチし、タービンから出てくる蒸気と非接触で熱交換されるのです。
なぜ細管にブランチするかというと、熱交換は表面積が大きくなるほど効率がよくなるからであります。簡単言うと、1本の3メータの管の表面積より何万本の3センチの管の方が表面積が大きいと言うことです。
http://www.tohoku-epco.co.jp/whats/news/2007/02/27a2.pdf
重要なのは非接触だということ。福島や浜岡の原発は「沸騰水型」と言いまして、関電や九電が採用している「加圧水型」と違って、タービンを回す蒸気は原子炉内の燃料棒と直接接触します。つまり流れている蒸気は放射線物質を含んでいると考えられ、絶対に外部に漏れない(外部とツーツーにならない)ように設計されているのです。
ところが報道によると、復水器の細管が破損して大量の海水が復水器のホットウェル(蒸気→水が貯まるところ)に流入し、5トンがそのまま原子炉へ流れ込んでしまった。
海水が流れ込んで原子炉が使い物にならなくなる心配だけではなく、本当の問題は
原子炉内と直接繋がっている機器の一部が破損して外部とスカスカになっている
ということであります。福島原発事故がなければ大変な大事故なのであります。
私の記憶では、この細管はシームレスのチタンチューブ。そう簡単には破損しません。いや想定外のことが起こらない限り、破損しないように設計されているのです。
ではなぜ破損してしまったか。運転停止に絡む事故のようですので、あくまで友里の推測ですが
ウオーターハンマー(水撃作用)
ではないかと。管内の流体を急激にバルブなどで閉めたとき、衝撃や振動水圧が発生して配管を破損させてしまうことがあるのですが、今回の流入事故はこれではないかと。
またまたあくまで友里の推測ですが、運転停止中ということでこの事故は
操作ミス
の可能性が高いと考えるのです。
発電所の制御は専門ではないのでよくわかりませんが、運転停止は普通シーケンシャルに自動ですすめられていくはず。ここで何らかの人的ミスか制御の不具合が発生してしまい、循環水バルブ(直径3メーター前後のバタフライバルブ)の誤動作を招きウオーターハンマーが起こって細管が破損したと考えるのが一番自然であると考えます。
地震や津波といった災害だけではなく、運転操作のミスでも大事故が起きてしまうことを示してしまった今回の浜岡大事故であります。
浜岡原発は5基とも、原子炉は東芝、タービン系(今回の復水器も含む)は日立が担当しております。現在日立内では事故検証が進められていると思いますが、今回の海水流入事故により、原子炉内の除塩作業だけではなく
復水器の大改修
もしなければ5号機は再起動出来なくなってしまった。
安直な菅総理の停止要請をあっさり受けてしまった為、中電は何十億(もしかしたら3桁突入)の余計な出費をしなければならなくなったのです。
さて昨日のブログで、6月出版の友里オススメ本のタイトルなどの案をお願いしたところ、早速掲示板で沢山のご意見をいただきました。大変参考になるご意見ばかりでありまして助かりました。特にキャッチや帯の案はそのまま採用したいものばかりであります。
ここにあらためて御礼申し上げます
これから編集側と相談して決めていかなければなりませんが、少なくとも「原案」はボツではないかなと。
私個人として考えついた案(ご意見も取り入れて)を書いてみます。
タイトル:不味い店には行くな
副題:業界唯一の自腹辛口評論家がやっと認めた96店
帯:サクラばかりの口コミサイトや味音痴の料理評論家・グルメライターにダマされ続けた人、必読!
ダメでしょうか。