昨日発売の日刊ゲンダイをご覧いただけたでしょうか。一昨日ちょっと意味深に予告(詳細は触れず)させていただいたように
この3月でアイアンシェフ(フジ)の打ち切り決定!
鳴り物入り(大多常務の鳥肌付き)で昨年10月に復活した同番組でありますが、わずか3ヶ月で撤退が決まってしまいました。
20世紀から時代が大きく変わっていることに気付かなかったフジTVの頭が甘かったといえばそれまでですが、出てくる挑戦者が地方の無名店(都内も何店かありましたが)ばかりと
まともな料理人を出演させられなかった
ことも敗因の1つではなかったか。
なぜターバン巻いているのかわからない(薄毛を隠しているとは思えない)高慢ちきな結城摂子女史(業界では服部幸應センセイと親しいことで超有名らしい)の顔アップも大きなマイナスでしたが
秋元康氏をはじめ「箸使い」出来ない審議員たちの滑稽なマナーをさらし続けた
挑戦者だけではなく、他の出演者もまともな人を出せなかったのが大きな敗因と考えます。
服部調理専門学校の独占に楔を打ちこんで講師陣を解説者として送り込んだのにあっという間の打ち切りで思惑がはずれた
辻調グループもダメージ大
ではないか。
賞味期限が切れかかっているデュカスを重視するなど、最近の辻調の判断は裏目に出ていると友里は考えます。
さて本日のお題である
A欠牛
という単語、友里は今年初訪問した京都のあるステーキ屋ではじめて聞いたものでありました。
店主との会話で確か
最近歳のせいでロースが食べられなくなった
とヒレを注文した友里に
最近のワギューが脂まみれ(サシの入れすぎ)になったから
何でも最近のワギュー、ビタミンAを欠乏させることによりサシをより多く入れる肥育手法が主流であるというのです。
店主はこのようなワギューを
A欠牛
と称しておりまして、邪道であると断言しておりました。
店主の解説は
歳をとって脂肪(サシ)が苦手になったのではなく、最近の和牛がA欠で勝手にサシだらけになったから食べられなくなっただけ
この店ではA欠をしていないワギューを仕入れているので、友里でもロースを食べることが出来るとのことでありました。
この検証をするために再訪しなければならなくなったのですが、この事を話した食べ仲間が、A欠牛に関するJRAのレポートを見つけてくれました。
http://jlta.lin.gr.jp/report/detail/pdf/kokunai_h016-1520.pdf#search
JRAはこのA欠の肥育方法を肯定しているのでしょう。このレポートではA欠とは称せず
ビタミンAコントロール
とネーミングしております。
確かに、ビタミンAを欠乏するようコントロールしているわけですからこの表記は間違いではないですが、ちょっと自分勝手な表現ではないか。
レポートの4頁にはしっかりと
ビタミンAをコントロール(早い話が欠乏させる)すると脂肪交雑(BMS値)が上昇する
とあります。また8頁の表5では、
多汁性、やわらかさ、風味、全体の好み
など食味性が上昇すると報告しております。
TVでは連日味のわからないレポーターやタレント、自称フードライターたちが
サシがたっぷりで柔らかくて美味しい~
と絶叫している現状。ビタミンAを欠乏、もとい、コントロールすることにより、
味音痴を虜にする牛を肥育
していることがあらためてわかった次第であります。
しかし「グルメの嘘」(新潮社)や「グルメの真実」(宝島新書)などの拙著で友里が主著している
柔らかいのと美味しいは別次元だ
脂がそんなに美味いのか
胸近辺の肉を調べて脂肪交雑の度合いを示すBMS値でありますが、このBMSの最高値(12)をウリにしていた
大田原牛の「牛超」(麻布十番)が密かに閉店していた
という現実。
マグロ含めて不自然な脂を嫌う友里は声を大にして訴えたい。
そんなに脂を入れてどうするんだ
脂を全否定するつもりはありませんが、最近の「脂偏重」に友里は問題提起であります。