やっぱり再開はしないようだ、エル・ブジ

2週間にわたった世界水泳が閉幕しました。金メダルはなかったですが、男子個人メドレーで初のメダル獲得などそれなりに話題の多かった今大会。
私は競技そのものより、100メートルで4位に惨敗した北島選手の

髪型

に注目してしまったのです。キャップをとった後のボサボサ頭、髪の毛が不自然に長くはないでしょうか。とても似合っているとは思えない、いやスポーツ選手としては似使わない(サッカーは別、ゴルフはスポーツではないと思っているので石川遼選手も別)と思われる

ロン毛

に何故しているのか。私は惨敗して指で掻き上げた北島選手の前頭部を見てその理由がわかったのです。

M字の生え際が後退している!

友里も人の禿げ具合をいうほどの髪密度ではありませんが、アスリートとしては高齢に位置する北島選手、引退後の生活は安泰でしょうが、こと髪の毛に関しては悩み続けることになるのではないでしょうか。

さてこの7月30日で、良くも悪くもレストラン業界に大きな影響を与えた「エル・ブジ」が閉店となりました。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2817214/7581275

まずは「エル・ブジ閉店」と書いた昨年の1月28日の友里ブログをご覧下さい。?

食材の再構築

とか称して、フォアグラなどを瞬間冷凍して粉末にしてしまうなど、原型だけではなく本来最も重要な食材の食感を強制的に変えてしまう自称再構築。
原型と食感を大きく変えてしまっては、食材そのものの味を楽しむことなど出来るはずがありません。再構築ではなく

食材の破壊

に至ってしまったフェラン・アドリアの暴走であります。
1回しか行っておりませんが、あの料理を黙って「エル・ブジ」以外の店で出したら(エル・ブジとの関係を前もって告げない)、食べた客の大半が

奇妙奇天烈なだけで美味しくない

と思うのではないか。
アフォな料理評論家やガイドブックが「世界一の料理」と大絶賛。予約困難さだけは本当に世界一なだけに、やっと訪れた客はあの景観にも騙される相乗効果で

世界一美味しい料理

と勘違いしてしまったと友里は考えるのです。何事も先入観に大きく左右されるのが人間です。?

世界から客が殺到し、プロやガイド本が絶賛しているから美味しいに違いない
美味しくないと言ったら、「味音痴」とバカにされてしまう

といった心理が働いていたとの結論づけは間違いなと私は断言させていただきます。
当初は2年休んで、違う形式のレストランを再開するとの報道もありましたが、この記事を読む限り

料理研究所

の開設が決まっているだけのようです。
有名になって20年あまり、賞味期限だけでなくアイデアの枯渇も深刻なようでしたから、よい潮時であったと私は考えます。

確かにフェラン・アドリア率いるエル・ブジがレスロラン業界に与えた影響は大変なものがありました。その中で私は一般客に与えた2つの大罪を最後に挙げてみたいと思います。
まずはじめは前述したように

味音痴を大量生産

してしまったことでしょうか。
あの料理(現地へ行けない人は模倣した料理)を美味しいと己の頭にすり込んでしまった客がどれほどの数になってしまったか。奇妙奇天烈な調理が美味しいと勘違いしてしまい、まともに美味しい料理が「時代遅れ」と疎んじられてしまったのです。私は

世界のレストラン(客も)は無駄な20年を費やしてしまった

と主張したい。そしてもう1つの大罪が

予約困難を煽る予約システムの開発

であります。
一般客には半年間の予約を年初の数日間でしか受けつけない。しかし常連には裏で前年に予約を受けているというものであります。この画期的な予約システムが

エル・ブジ神話

に大きく貢献したのは想像するに難くない。
現在の予約困難な店を見てみて下さい。たいてい予約受付日を

前月(前々月)の1日から

とか

2ヶ月前の同日から

に指定しております。
更にその受付日前に、常連やリピーターの予約を先に入れて競争を激化、しかも予約電話を1本に限定していますから、電話が繋がりにくいという相乗効果も手伝って

予約困難→美味しい店に違いない

となっている過大評価&過大人気の店ばかりではありませんか。

失った20年を取り返すにはまた20年かかるかもしれません。エル・ブジの功罪、私は「功」の部分が直ぐに思い浮かばないのですが、罪は非常に重かったと考えます。

最近訪問した店 短評編 2011-26

天網恢々疎にして漏らさず

と表しては大袈裟でしょうか。古川さんといっても友里に名誉毀損裁判で逆転勝訴したヨイショ系ライターではなく、佐賀県知事の方。
6/30のブログで、個人的利権からの原発推進者みたいだと書きましたが、国主催の説明会の前に

経済界からも賛成の意見を出して欲しい

と九電幹部たちに話していたことが明らかになりました。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110731-OYT1T00001.htm

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110730-OYT1T00789.htm

もと野末陳平秘書(海江田経産相)との会談後は

(原発の)安全性の問題はクリアされた

とあっさり原発再起動を容認。しかし、九電主導のやらせメールが発覚した今月14日には

再稼働の当事者である九電が組織的に行ったことで言い訳が出来ない

と堂々と批判していたんですね。九電内部の調査では

知事の政治生命にかかわる

とスルーしたようですが、さすがもと職場である検察批判を真っ向から展開してきた郷原信郎さん、一応第三者委員会としての役割を果たしてくれました。
しかし、最初から原発を再稼働したかったのに

ド素人の担当大臣に説明されてから再稼働を容認

という演出をし、やらせメールが発覚した時は慌てて県民感情に迎合して、さも自分は騙されたと言わんばかりの

九電批判

この元自治省役人、ホント性格が悪いというか、正直な人ではないと考えます。

さて3店です。

菊乃井 赤坂店
天下の2つ星和食、ガチミシュランでの検証以来の訪問でありました。店内は7割程度の客入りだったでしょうか。カウンター内では、村田氏に似ている人が差配しておりました。
結論から言わせていただくと、京料理と言うより創作和食。食べた料理は門上武司さんのブログ(7/29付け)にある写真とほとんど同じでありました。

http://www.geode.co.jp/column/kadokami/2011/07/29/post_709.html

しかし門上さんが行ったのは料亭形式の「菊乃井 本店」。友里はカウンター主体の「赤坂支店」でありますし、私が訪問した日は7月はじめ。例え食材の質が違っているとしても

引き出しが少ないな

と思ってしまいます。
この時期の主役である鱧や鮎の質はそれほど高くはなく、トマトスープもどきやソルベ、七宝蒸しなどまったくの創作料理。村田氏に似た方は

この七宝蒸しは創作料理

とはっきり言っておりましたから、納得はさせていただきました。
しかしこの料理を絶賛している門上武司さん。文章力だけではなく、舌力にも疑問の方であると考えます。

ブーケ ド フランス(六本木)
2回目の訪問。一昨年の初訪問では、巷評判のこの店の料理の良さがわからなかっただけに、今回は色々な料理を連れ達とシェアしながら試しました。
色々野菜のエチュベはやや味濃いマリネみたいなもの。夏牡蠣にかかっていたコンソメジュレはポアソン系に感じず牡蠣の風味を邪魔しているのではないか。
パテ、ハム、ブーダンノワール、バベットステーキ、餅豚ポワレと期待したものを感じません。アンドゥイエットも臭みはあるけど旨みを感じなかった。
何か味のトーンが同じような感じで飽きが来てしまうんですね。厨房、ホールとスタッフが少ないのでこれが限界なのでしょうか。

青華こばやし(六本木)
コースは1万3800円コースが主体でいくら飲んでも総支払いが1万5000円前後でCPが良いと最近売り出し中の人気店。
主人一人で調理と配膳をしているので1日2組限定。例え予約が入っていなくてもその日の飛び込みが出来ないのは仕入れをコントロールしているからのようです。今回は1万8000円の上級コースでありました。
人手がないですから、基本は切る、焼く、そのまま出す、と至ってシンプル。それでも食材が良ければ満足なのですが、この日の天然鰻、鱧、鯛、シマアジ、鮎といずれも期待したほどのものを感じませんでした。山葵もふんだんに出してくれるのですが、いかんせん辛すぎです。
唯一オコゼの唐揚げが良かったくらいで、結構焼酎を飲んでの支払いが2万1000円。これが1万5000円くらいならまだ納得できるのですが、飲みを入れない料理だけを考えると、食材、調理、そしてCP感も「くろぎ」を超えるものではないと考えます。
調理は一人の限界。食材はキャパの少なさから予約人数ジャスト分しか仕入れないのではないか。仕入れの中から選り好みできない限界がそこにあると思います。
主人の心意気には感心するものがありますので、このまま無調理(極端な例えですけど)を続けたら、調理技術の進歩がないのではないか。一考をお願いしたい。

本日も再び「鮨 嘉瑞」について

「鮨 嘉瑞(かずい)」からの提訴に備えて、弁護士費用の金策に昨日から走り回っております。(笑)

昨日のブログ、自分でも自信を持って(ウケると思って)アップしたのですが想定通りの好評。友里掲示板の書き込みだけではなく、メールでも多くの激励をいただきました。
アンチの方から批判の書き込みやメールも覚悟していたのですが、なんとまったくなく驚きであります。
緊迫感ある状況説明だ、スリル満点の語り口だ、嘉瑞主人のワナワナとしている感じが出まくりだ、と友里にとっては最大限のお褒めの言葉もいただきました。
嘉瑞主人の器の大小が少しでもおわかりいただけたと考えます。

ところで食べログで鮨 嘉瑞を調べてみましたところ、この原稿を書いている段階で

4.28

と超高得点。東京の寿司屋ランキングでは、1位の「三谷」、2位の「日本橋橘町 都寿司」、3位の「さいとう」に続いて

第4位

に位置していますから驚きであります。
真の江戸前鮨をご存じか疑問の関西の方ではなく、東京の鮨好きも通っている「はしぐち」(5位)や「青空」(10位)を抑えての堂々ベスト5。師匠格の「あら輝」(3.74 第64位)のはるか上ですから

出藍の誉れ

と書いてしまうと、出禁店に「あら輝」が加わってしまうかも。前言をここで撤回させていただきます。

ところでこの「嘉瑞訴訟騒動」のドサクサに紛れて、友里掲示板に興味ある未確認情報が書き込まれておりました。

http://tomosato.net/test/read.cgi/bbs/1294925817/225n

近いうちに銀座をたたんでパリへ進出

驚嘆の情報であります。しかしニュースソースがわかりませんから検証のしようがありません。未確認であることを再度確認させていただきます。

近著「絶品レストラン」(鉄人社)の帯に

「食べログ」に惑わされるな!

?

絶品レストラン

と大きく記したので、友里は「食べログ」を全否定していると思われがちでありますが、実は是々非々で自分としては冷静に評価しているつもりであります。例を挙げれば、東京和食ランキングで

第1位 もりかわ
第3位 くろぎ

は否定しておりません。悪くない店は悪くないとしっかり評価しているのでありまして、その評価姿勢は東京寿司ランキング第4位の「鮨 嘉瑞」に対しても同じ。

なんちゃって江戸前はどう食べてもどう評価しても「なんちゃって」だ!

と評しているだけであります。
ただでさえサクラや仲間内、信奉者の書き込みが多くて信頼性に乏しい「食べログ」でありまして、更にこの「鮨 嘉瑞」へのレビューにはヘビーレビュアーの投稿がなくその投稿数も

わずか18レビュー

であります。5点満点をつける大甘なレビューが

18レビュー中5つ

もある不自然さ。4.5という高得点レビューも不自然に多すぎです。
「鮨 嘉瑞」のランキング(評価点も)の信憑性は、純粋無垢な一般客でなければ

おのずとわかる

と考えます。
大阪の常連客の甘やかしで木に登ってしまった感もある「鮨 嘉瑞」。わざわざ大阪から上京して上野毛のこの店へ直行する常連客が多いと漏れ聞いて友里は椅子から転げ落ちそうになりました。
こう書いてはまた怒られるかもしれませんが、貴重な時間とお金をかけるなら、そして真の江戸前鮨を経験したいなら、何より先に行かなければならない鮨屋がこの上野毛ではなく

銀座や浜松町にいくつもある

という現実に気付かれるべき。ひいてはそれが未だ若い嘉瑞主人への寿司職人としての将来の為にもなると私は考えます。
本場をよく知らず(よく経験せず)、身近な職人を絶賛して勘違いさせてしまったかもしれない大阪の常連客たち、きつい言い方ですが罪は軽くはないでしょう。

江戸前鮨(自称も含め)だけが例外とはなりません。京料理で以下のように例えてみると、この「鮨 嘉瑞」の異常高評価が大阪常連客にもおわかりいただけるのではないか。

ここ東京に、本場京都で修業したことがない自称京料理店があると考えてください。
たまたま雑誌か単行本を見て訪問した京都の若手料理人の店に感激し、月に1回ほど訪問を繰り返し、師匠と弟子の杯を交わしたような関係になりました。
新興店とは言え京都で有名になった店の弟子と自称したことから、京都でクラシックな京料理をほとんど経験していない近所の常連東京人が色めき立ったのはいうまでもありません。

京都へ行かずともおらが街で本格的な京料理が食べられる

と東京で予約困難な自称京料理店にしてしまったのは想像するに難くない。
そして京都で住み込みの修業経験のない自称京料理店の主人が、京都の中心街ではない、ちょっとはずれた地域に移転して店をオープンしてしまった。

おらが店が、京都で錦を飾った

と、新幹線使って本場の京料理店に見向きもせず、その自称京料理店に常連東京人が通いつめる状況を京都人がどう見るか。

冷ややかな目でしか見ない

のではないでしょうか。
変わり種として地元京都人がたまに通うかもしれませんが、有り難がってひれ伏して日参するとはどうみても考えられない。
しかしこの構図が、わずか1年半弱でありましたが、東京を大阪、京都を東京、京料理を江戸前鮨と入れ替えて、上野毛という地で成り立っていたのですから、大阪人の江戸前鮨への憧れは半端ではないということでしょうか。そして通いつめた東京人も人が良すぎ。

もしかしたら、京都コンプレックスの東京人が抱く京料理への憧れよりも、大阪人の江戸前鮨コンプレックスは強いのかもしれません。
東京の鮨通からは既に評価外となってしまった銀座の店をそのままに、土日だけ大阪へ出稼ぎ行っている鮨屋が盛況だという現実も、大阪人江戸前コンプレックスの証左であると考えます。

本日のブログで、江戸前鮨に憧れる大阪人を全員敵に回してしまったかもしれません。
しかしこの友里も前から述べておりましたが、本籍は大阪。生家(実際はそこで産まれていない)も大阪の片隅に健在であります。実は両親も大阪出身でありまして、その大阪のDNAをしっかり受け継いでいる友里が言うのですから、関東の方々には

当たらずとも遠からず

であると思っていただいて間違いないと考えます。

土曜のブログは本来「週間食日記」であります。本日もそのイントロとして「鮨 嘉瑞」を書き始めたのですが、妙に力が入ってしまって長文になってしまいました。
よって今回は一回飛ばし。来週をお待ちください。