今年の色々面白ベスト1

ついに2010年の大晦日になってしまいました。言い尽くされた表現ですが

あっという間の1年

あと何年生きられるか(何回夕食が食べられるか)わかりませんが、今後もしばらく友里征耶として活動していきたいと思っております。

さて本日は今年訪問した店の中から、「サプライズ」、「性格の悪さ」、「緊張感」、「恥」、「再訪したい」と5つにカテゴライズしたベスト1を発表して2010年の〆としたいと思います。まずは友里征耶らしく

性格の悪い料理人

と思われる店から書きましょう。

☆今年一番性格が悪く見えた料理人の店  美かさ(宮崎台)
ご存じ「食べログ」などネットで大評判の天麩羅店。都内の有名高額店では穴子が充分仕入れられていた時期(4月)なのにお任せコースで穴子が出ない。
仕入れられないなら黙っていれば良いものを、純粋と見受けられる地元客に

ここのところ穴子があがっていません。寿司屋で穴子ありました?

と如何にも世間でも「穴子不足」であるような発言をしていたのには驚きました。
確認のため直ぐさま都内の有名天麩羅店を訪問し、築地市場の入荷量を確認し、穴子を扱う店関係者からも情報を得た結果、

美かさレベルの質が入手できないような穴子不足ではなかった

との結論を得たのです。
単に「美かさ」が取引している仲卸が江戸前穴子を入手していなかっただけではないか。自己弁護で間違った情報を発信して純粋無垢な地元客を混乱させてはいけません。
天麩羅自体も平凡でしたが、性格の悪さは突出しているかもしれません。

☆今年1番のサプライズ料理  Alinea(シカゴ)
食器デザイナーと連係してのサプライズ料理を提供する3つ星店。コース最初から驚きの連続でしたが、最後を〆たデザートには腰を抜かしそうになりました。
テーブルにラバー製のクロスを敷き、その上に直接盛りつけてきたからです。下記写真をご覧下さい。
料理自体の味わいはほとんど記憶に残っておりません。

Alineaのデザート

☆今年一番緊張した店  かどわき(麻布十番)
3月だったでしょうか。週刊誌で「産地偽装」や「焼酎(魔王)詰め替え疑惑」、「トリュフオイル多用のトリュフご飯」と糾弾された直後の訪問。
主人にはとっくに顔バレしているのですが、同行者がその「魔王」を頼み、そして続いて

トリュフご飯

をオーダーとどんどん突っ込んでいったのです。
「しみづ」のように追い出されるかと思いましたが、清水氏よりは度量がある門脇氏、真摯に対応していただきオイルの使用を確認しながら〆のトリュフご飯を食べ終わりました。

☆今年一番恥ずかしかった店  Per Se(ニューヨーク)
行った日と連れの選択(性別)を誤りました。私は知らなかったのですが、NY在住の小学校同級生(男性)と訪問した日がなんと

ゲイの日

だったとは想定外。メートルはニヤニヤしながら我々をラブシートのようなところへ案内したのです。
一応片言の英語で弁解したのですがそれがかえってやぶ蛇だったか。最後にすすめられるまま持参のカメラでツーショットを撮られてしまった。そのツーショット写真、ほとんどの人が我々をカップルと思い込んでしまうほどの出来映えでありました。

☆今年一番即再訪したいと思った店  Le Petits Plats(パリ)
星付き店やグランメゾンではありません。外観は普通のビストロなのですが、料理は手が混んだもので美味しかった。特にメインの煮込みが最高。直ぐさま

また訪問して同じものが食べたい

と思ったのです。下記の写真をご覧下さい。

Pied de paquets

今年も大変お世話になりました。2011年は新しく本を2冊(鉄人社と宝島社)出す予定であります。
来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

それではよいお年をお迎え下さい。

今年の期待はずれベスト10

TVのワイドショーでは芸能人の海外出発の取材を垂れ流しております。年末の恒例行事のようですが、今年から成田以外にも羽田が加わってレポーターも大変だとか。
でも、芸能人の出発風景(海外旅行の情報)を面白がる、期待する視聴者なんているのでしょうか。知人でもない赤の他人の旅行なんてどうでもよいことではないでしょうか。
政治や外交ではなく、こんな事だけに関心をもつ国民が多いとしたら、日本の未来はないでしょう。

さて例年ならこの30日は

ベスト3

の発表なのですが、今年はちょっと趣向を変えまして(というかそれほどのベスト店がなかった)、本日が

期待はずれ特集

とし、明日は別のカテゴライズでいくつかの店を挙げてみたいと思います。期待はずれとは、訪問前はある程度期待していたにもかかわらず食後感がかなり悪かった、という店でして、最初からダメだと飛び込んで最悪な食後感だった店は除いております。(例えば京加茂とか昨日挙げた店)

それでは今年訪問した「期待はずれ」の10店です。

アルヴィナール(白金高輪)
雇われシェフとしてやり直しにかけた島田氏ですが、経営者の趣味が悪かったのかコンセプトが空回り。フレンチでグリル料理をメインに集客するのは不可能。もう一つのウリであるビストロ料理もたいした内容でありませんでした。コンセプトを見直しし、料理も全面改造しなければ近辺のレストランの脅威にはならないでしょう。

カーエム(銀座)
銀座移転のおかげで、調理がシェフ1人になりクオリティがかなり低下してしまいました。昔の面影がありません。一人調理の限界で、ツメの緩いオックステールのスペシャリテを食べてしまいました。

かぶと(池袋)
天然鰻の名店との触れ込みでしたが、直焼の割には蒸したようにフニャフニャ。鰻自体の風味も薄かった。狭い店内は紫煙が充満。今夏の咽頭炎の切っ掛けになったのではないかと思っているだけに、再訪はないでしょう。

てら川(京都)
久々の訪問。昔は美味しいと思っていたのですが、主人がお歳を召したからか店の活気もなくなっており、好きだった「グジの蕪蒸し」もイマイチでした。

と村(虎ノ門)
未だ未だ老け込む歳ではない主人だと思いますが、コースの最低価格が上がった割には食後感が落ちたと感じました。
同一コースに大きな海老を2種もだすなど、内容は京料理にはほど遠くなった。味付けも甘すぎると思います。

臼杵ふぐ 山田屋(西麻布)
今年めでたく3つ星に昇格したようですが、食後感は最悪に近い。最高レベルでなかったフグ質が更に落ちたと感じただけではなく、ポン酢が甘すぎて使えません。
相変わらず雑炊は厨房へ持ち帰って仕上げる疑惑の調理も健在。ポン酢をまともにしなければ再訪はないでしょう。

楽亭(赤坂)
好きな店で長く通ったので判断が遅れました。ここ数年薄々感じていたのですが、今年最後の訪問ではっきり自覚。90年代の全盛期とは比べものにならないほど食後感が落ちたと感じました。

小松弥助(金沢)
食べログでの高評価に釣られて行ってしまった。当日の隣客、わざわざこの店で食べるためだけに東京から来たとのことでしたが、寿司としては価格なり(1万円前後)の食後感で、何ら傑出したものがなかった。地方の立地の妙での過大評価店であります。

新津鮨(西麻布)
「青木 西麻布店」で予約があるときだけ土曜日に、伝説の鮨職人といわれる新津氏が小さなつけ場に立ちます。
タネは青木の流用で、新津オリジナルは酢飯だけ。お酒を飲むと一人5万円前後になるのですが、鮨だけを味わうなら3万円でも私は満足する客は少ないと思います。
ただしトークが面白く、新津劇場と考えれば5万円でも納得する人が僅かながら居るでしょうか。

ブリストル(パリ)
去年に続いて「リエーブルのロワイヤル」を頼んだのですが、今回は美味しくなかった。臭みがひどい。味わいも異なっていたような感じ。白トリュフのパスタも古いのか質が悪かったからか、イマイチでした。

「期待はずれ」といっても友里には逆の意味もあります。

どうせダメだろう

と入店して、意外に美味しく感じた店であります。
3店挙げてみます。

エキュレ(西麻布)
ご存じ、最近めっきり露出が減った来栖けい氏のお店。当時のソムリエ役のワイン選び(お任せ)がCP良かったからか、料理も悪くは感じませんでした。
スタッフが入れ替わったようなので、現在はどうなっているかはわかりません。

招福楼 本店
料亭の威圧感に押されたのか、他の招福楼系の店と違って料理は悪くはなかったです。

ピエール・ガニェール
ホテルで再開してすぐの訪問。混んではいませんでしたが、無茶苦茶な多皿ではなくなっており、もう一回訪問してみようかといった食後感でありました。

今年訪問のワースト3

昨昼セルリアンタワーの四川料理「陳」で、12/812/14に友里ブログで取り上げた大澤弁護士を目撃してしまいました。確か朝のワイドショーに出演していたはずですから、午後まで事務所での仕事はないようです。
有名人(少なくとも本人はそう自負しているでしょう)だから仕方ないのでしょうが、椅子に反り返るように(別の形容では「ふんぞり返る」)座っていたのが印象的。有名人だからか常連だからか知りませんが、菰田料理長がテーブルへすっ飛んできて媚びへつらっておりました。
あれだけTVに出続けていつ仕事をしているんだ、との私の疑問に同伴者から

彼はただの客寄せパンダだから、TVに出続けることが大事な仕事なんだ

と教えられました。実務は事務所のパートナーかイソ弁がこなしているのでしょう。

さて年末恒例、飲食ライター系に限らず日本全体を見渡しても、おそらく友里征耶しか発信していない

ワーストもの

であります。今年は初訪問に限定せず選んだつもりですが、期せずして3店とも初訪問の店となりました。

HANA吉兆
店名を変更しリニューアルしたので初訪問と考えました。
「ワイン会席」(1万円)を頼みましたが、ワインに無理に合わせようと塩を濃くしただけの料理。京料理ではなく、そこらの大通りに面した観光客専門の店の料理レベルでありました。
特に「造り」のかわりといわれた石焼き、海老やホタテをオリーブオイルでマリネしたものを自分で焼くのですが、胡椒が強すぎて亜然の出来でありました。
ワインの品揃えもプアで、これでどこが「ワイン会席」なのか。料理店は経営者の出来によってかくも劣化するという証左であると考えます。

虎屋壺中庵
大学教授というより友里征耶に名誉毀損裁判で勝訴したと言った方がわかりやすいでしょうか、その古川修氏や関西の日本酒流通業者が絶賛している古川氏曰く

日本一の和食店

いくら吉兆(嵐山)の出身だからと言って、こんなに味濃く調理して良いのか。甘煮を多用し、特にアマゴ饅頭のしつこさには辟易しました。造り(鯛)や炊き合わせ(タケノコ)の質もイマイチで、こんな田舎で1万5000円は高すぎです。
居酒屋料理好きや、無濾過純米原酒などただ濃いだけの日本酒が大好きな人には、この店の

濃い味調理

が美味しく感じるのでしょうが、この店が日本一の和食と断言してしまっては、世間に恥を晒すだけと私は考えます。
単なる田舎料理、これを言うとまた怒られるかもしれませんが、徳島の山中に潜む「井の中の蛙」の和食店であります。

京加茂
期せずして、古川修氏が絶賛する店がワースト3の中で2店も入ってしまいました。
店内にはドラえもんの人形がかざってあり、テーブルには灰皿が常備されている古川氏曰く

素晴らしい京料理を提供してくれる店

とか。しかしこの店内をみただけで我々は食べる意欲を失いかけたのです。
最高値の1万2000円コースを頼みましたが、お椀は味濃いだけ、造りは質悪く、そしてこれまた石焼きがひどい。酒盗を和えたホタルイカや貝柱を焼くのですが、味濃いだけではなく石が薄いのですぐ冷めてしっかり焼けません。
鮎もワタを抜いて焼いてくるなど驚嘆の調理。伊勢エビの具足煮も甘いだけ、国産牛(和牛とは言わないところは正直か)の牛鍋、島ラッキョウご飯とこの料理の何処が

京料理

と言えるのか。絶賛している古川さんの京料理の定義を聞いてみたいと言いますか、まともな京料理店を訪問したことがあるのかどうか、心の底から疑問を持った次第です。
我々だけではなく、数週間後に訪問した仲間達も、しばらく舌などの調子を崩したと嘆いておりました。

番外編

青柳
3月の閉店前日の昼に訪問しましたが、客は我々以外ゼロ。それは寂しい食事となりました。
海老真丈のお椀の出汁は素人レベル、造りの鯛はなぜか昆布〆。もう新しい鯛を仕入れていなかったのでしょう。
鯛のかぶとに煮も養殖と見紛う質で、料理だけで3万円以上するとは考えられない内容でありました。
閉店はビル取り壊しのためとのことですが、ビルの問題に関係なく閉店は致し方ないと考えます。