友里征耶の週間食日記 2011-15

昨晩恵比寿のお店に行ったのですが、待ち合わせ時刻まで余裕があったので、以前一世を風靡したあの店のウオッチングをしてきました。その店とは

キムカツ

ブレイクした当時、長い行列に並んで食べた記憶があるのですが、週末の金曜だというのに行列はゼロ。店前に見栄で並べた行列客用の椅子が空しさを醸し出しておりました。
では店内はというと、カウンターに客の姿を確認出来ません。向かって右側のテーブル席にわずかグループが1組いただけでしょうか。19時前だというのに店外では女性スタッフが客引きみたいなことをしていましたから、かなりの閑古鳥が襲来しているようです。
昼に店前を通っても行列を確認出来ない今日この頃。人の心は移りやすいと言いますが、これほどまでとは経営者は予想していなかったのではないかと推測します。
集客のためか、3種のクーポンを用意しているようです。

http://r.gnavi.co.jp/a400000/map/

さて週間食日記です。

月曜
夜:文京区の和食
この時期はやはり和食でしょう。鱧、鮎、鮑など和は食材に事欠きません。友里もこの時期は和食屋の訪問が圧倒的に多い。そして意外にもイタリアンがご無沙汰であります。
この人気店、1週間前の港区の和食屋よりコース価格が安かったのですが、食後感は段違いでありました。

火曜日
昼:田町の和食屋?
夜:赤坂の2つ星和食
昼は取引先と朝のTV番組で紹介されていた「冷やし夏野菜のジュレ鍋」。なんとあの「なんちゃってピエモンテ料理店」と同じビジネスホテルにありました。コースにしたのですが、追加の鱧落としふくめ、造り、鮎とあまりに凡庸。肝心の鍋、丸茄子、冬瓜、鴨、牛、トマト、アスパラ、オクラ、コーンなど具の種類は豊富でしたが、あらかじめ火を入れてありまして、上からジュレをかけて食べるだけ。鯛の出汁からつくったジュレとのことでしたが、変に甘めでありまして、再訪はないでしょう。
夜は京都の地元ではオコゼと呼ばれていると知った有名料理人の東京支店。接待でありました。
高い方のコースを頼んだのですが、淡路産鱧は凡庸、琵琶湖の鮎はほとんど苦みを感じずイマイチ。七宝蒸しと称する創作料理、スッポン出汁に冬瓜、赤万願寺唐辛子、茄子、フカヒレ、ホタテ、鮑、貝柱などを入れた味濃い一品。食後感としては、京料理でなく大阪割烹みたいなものだと判断しました。

水曜日
夜:六本木のフレンチ
豚で有名なお店。ホールはマダム1人なので数組が入店すると接客が厳しい。いや厨房スタッフも少ないようで満席では対応できないのではないか。
パテ、ブーダンノワール、ハラミステーキ、アンドゥイエット、餅豚ポワレなど頼みましたが、味のトーンが同じに感じ食べ続けるほど飽きが来てしまいました。質は普通、化粧の濃い調理と考えます。

木曜日
昼:銀座の鰻屋
夜:赤坂の鮨屋
昼は筏を食べに取引先と訪問。前もって注文していたので今回は食べることが出来ました。この夏、色々な店(和食屋やフグ屋を含む)で天然鰻を食べましたが、この専門店がフグ屋のはるか後塵を拝する(あくまで友里の食後感ですが)という皮肉。蒸し過ぎでありますが本店とも養殖鰻で充分でしょう。
夜は予約困難な鮨屋。「くまポン」に出ていたので理由を聞いたら常連客からのたっての頼みだったとか。わずか数枚しかださない、クーポン会社の客寄せパンダに徹したようです。

金曜日
昼:大手町の四川料理屋
夜:六本木の和食屋
取引先と再開発ビルの店へ。閑古鳥だと思っていたのですが自称満席で数十分待たされました。麻婆豆腐と担々麺を食べましたが、麻、辣ともイマイチでありました。しかしあの茶芸師、長い注ぎ口を振り回して危険であります。今まで事故がなかったのか。
夜はCPが良いと評判の和食店。店主が一人でやっています。高いコースを頼んでしまったからか、CPは良いとは感じませんでした。一人調理(配膳もしている)の限界からか、調理は最低限。食材をぱっと出すだけなのですが、その質が私には良いとは感じなかった。山葵をふんだんに出してくれるのですが、辛いだけ。もうちょっと甘み(旨み)のあるものを購入していただきたい。
コースのはじめに出てきた天然鰻がイマイチだったからか、あとからでた鱧、鮎といずれも支払い額を考えると満足できるレベルではありませんでした。

土曜日
昼:西麻布の蕎麦屋
夜:六本木の天麩羅屋
昼は最近出来たらしい交差点近くの蕎麦屋。普通でした。
夜は再開発エリアの天麩羅屋。揚げ職人がまたまた若い人に変わっておりまして、1万円を考えると物足りない。海老も2尾と少なすぎです。

日曜日
昼:品川のオイスターバー
夜:白金の四川料理屋
昼はアトレ内のオイスターバーで生牡蠣。しかしNYの本店の倍の値付けは高過ぎではないか。そんなに食べなかったのに、4人で軽く大台を超えてしまった。
夜はホテルのメインダイニング。高いですが満足しました。

再び飲んだワイン自慢

拙著「絶品レストラン」(鉄人社)、今なお売れているのでしょうか。日頃からマスコミ相手に悪態をついているせいか、書評で取り上げられたという情報がありません。
大新聞はもともと期待しておりませんが、ポストを除く現代、新潮、文春の各週刊誌との関係は悪くないと思っていただけにガッカリであります。このブログを読まれている月刊誌、週刊誌の関係者の方々、そしてブロガーの皆さん、よろしくお願い申し上げます。

単純、もとい純粋無垢な方に絶大な人気を誇る佐藤尚之氏の「さなメモ」や、百万読者がいると妄想している関谷江里さんのブログで取り上げていただければ、売り上げは激増するでしょう。
さとなお氏は掲載店へ何十冊単位で買い取りを要請していると漏れ聞く関谷江里さんの近著を宣伝していました。店や料理人のヨイショだけではなく最近は本までヨイショと、さとなおさんも忙しいようです。

さて先日、今年2回目の古酒持ち寄り会に参加してきました。メンバーは前回のブログで報告した会と同じく4名。本日もその

飲んだ古酒自慢

であります。

まずは古酒ではないですが、その日唯一店で頼んだシャンパーニュ、1990のアラン・ロベールです。

1990 アラン・ロベール

前回は同じヴィンテージのクリュッグでありました。もうどんな味わいだったか忘れてしまったので比較できないのですが、20年前の割には熟成感が出ておりました。

そしてこの日の白ワインは1934年のバタール・モンラッシェ。所有者によりますと最初から造り手不明でラベルはバタールの

しか残っておりません。

1934 バタール・モンラッシェ 造り手不明

裏には誰が書いたか手書きの紙が貼りつけてありました。

1934 バタール・モンラッシェ 造り手不明

開けた瞬間は?と思いましたが、短時間ながら甦って満足しました。

続いてフォアグラのソテーに合わせたのが1918年のド・レイヌ・ヴィニョー。

1918 ド・レイヌ・ヴィニョー

予想より色が黒くなく、甘すぎず上品な味わいでありました。

そして本日の主役、1943年のラ・ターシュです。

1943 ラ・ターシュ DRC

一口飲んで、DRCらしさを感じた(本当はわからない)1品。美味しゅうございました。

最後を飾ったのが今回友里が見栄張って持ち込んだ1904年のシャンベルタン(SICHEL)であります。所有しているブルゴーニュワインとしては最古のものを取り出してきました。
あったと思ったヴィンテージ1904のラベルがなくなっておりましたが、業者を信じるしかありません。

1904 シャンベルタン SICHEL

昔存在したドメーヌ&ネゴシアンだそうです。ブロードベントによりますと、1904は当たり年とのことですが、期待したほどの果実味はなくなっておりました。まあこんなものでしょうか。

本日のワイン5本、いずれも状態はダメになっておらずそれなりに満足したのですが古酒好きを自負する友里、ここまで古酒を立て続けに飲んでの結論は

古ければ良いってものではない

話のタネには良いでしょうが、レストランの規模と同じでワインの古さも

そこそこ

が良いのかもしれません。

さらば 竹やぶ 六本木ヒルズ店

不信任案への賛成票でちょっと注目を浴びた横粂衆院議員。その後は民主党から除籍されて目立っていなかったのですが、久々に表に出てきました。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110720-OYT1T00917.htm

前から噂は聞いておりましたが、本当に次期衆院選では選挙区を鞍替えして菅さんの地元

東京18区から無所属で出馬

を決定。「みんなの党」から出ると聞いていたのですが、無所属(推薦はもらうのか?)とは驚き。
甲高い声も災いして、ライバルだった小泉進次郎代議士とは役者の違いを露呈。化けの皮が剥がれた民主党では次期衆院選での比例復活も200%なかっただけに、私は元の「軒先弁護士」に戻ると思っておりました。
菅さんの不人気(といっても地元の純粋無垢なオバサンにはまだ人気があるらしい)に便乗しての刺客気取りなんでしょうが、如何せんタマが悪すぎとしか言いようがありません。
本気で敵の幹部を落とすつもりなら、先の選挙の田中康夫氏ではないですが、それなりの知名度ある候補でなければ地盤を崩すことは無理。小泉進次郎氏を東京18区へ出馬させるくらいのことをしなければならないでしょう。

徳島では、仙谷由人代議士を再選させないために旦那の後藤田代議士より地元で人気のある水野真紀氏が出馬するといった誤情報もありましたっけ。
しかしこのような掟破りの対立候補擁立は、今後はなくなると私は考えるのです。そんなことを指示した対立党の幹部連、逆にその次には知名度ある刺客を仕返しで送られる可能性があるからです。
何といっても国民や党より己が一番大事なのが政治屋です。肝心のところでの「与野党なぁなぁ」は永遠に不滅でありましょう。

永遠どころか10年持たなかったのが掲題の

竹やぶ 六本木ヒルズ店

であります。なんとこの7月末で閉店となるようです。

http://www.takeyabu.co.jp/index.php?page=roppongi

オープン直後こそ行列が出来ていましたが、蕎麦だけではなくツマミも含めた全ての料理が

量少なく値付けが高過ぎ

であることから集客は苦しかったようです。
時々「レスプリ ミタニ」を中心に閑古鳥ウオッチングでこの近辺を歩くのですが、あのオープン当初の行列を見たことはありませんでした。
恵比寿にあった「竹やぶ」もいつのまにか「玉笑」と店名が変わり、今では別のジャンルの店になってしまった。

一時は応援していたマスヒロさんですが、最近はまったく「竹やぶ」を取り上げていないのではないか。袂を分かったのかどうか知りませんが、あの量の蕎麦が1000円前後という破格の値付けだけではなく、

二人前からしか頼めない出汁巻き玉子が軽く1000円突破

も常識破りではないか。小さな掻き揚げも1800円前後とは信じられません。再開発ビルなので地代も高かったのでしょうが

大きく儲けようとして客足が遠のいた

のが撤退の主因あると推測します。
閉店を知って7月はじめに最後の訪問をした友里。高い値付けの玉子焼き、棒ニシン、掻き揚げ、蕎麦を再確認し、大きな出費をしてきました。

この「竹やぶ」跡にはまた飲食店が入るのでしょうか。恵比寿から移転してきた隣の「レスプリ ミタニ」も外から見る限り(最近はガラスに徹底した目隠しをしてウオッチしにくくなっています)集客が順調とは思えません。結構な大箱でもありますから、経営者は移転を後悔しているのではないか。

私は「竹やぶ」跡に移転を考えている飲食店オーナーに忠告したい。

周りの店の集客状況を良く調査してから判断しろ

と。再び悲劇を繰り返してはいけません。