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ネタ稼ぎ, 意見
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- 2012年03月20日(火)|
本日のブログは昨日の続きであります。
イントロが長くなりましたが、一般に鮨屋の原価率が高いと言われておりまして、銀座へ移転してきた高額鮨屋(現在は客単価4万円前後)の主人は、「うちの原価率は50%を超えている」と豪語、さも利益を出さないで客に還元しているように吠えていますが本当でしょうか。
前述のように高額鮨屋は小キャパであります。ただでさえ原価率を上げても成り立つ背景があるのですが、それに加えて鮨屋独特の環境が更なる高原価率化、いや高利益化を後押ししているのです。
高額鮨屋の店内を思い浮かべてください。店のスタッフは主人と女将の二 名だけの店が多いのではないか。居ても給料の安い若い衆が一人か二人であります。
次に厨房機器に注目です。鮨屋のカウンター内(いわゆる鮨職人の働き場)は「つけ場」と呼ばれ、調理ではなく「つけ込み」をするだけ。必要な設備は、水回りと穴子の炙り用のガスコンロだけで充分。カセットコンロでも代用可であります。
あとは包丁とまな板にカウンター&椅子だけ。白木のカウンターなら何百万円もすると言われますが、他のジャンルの店(特に洋もの)に必要なグリルやオーブンといった高くて大きな調理器具は必要なし。高価なカトラリーも必要ありません。
いや一番費用がかかるといわれる換気システムを考えなくても良いのですから初期投資なんて他のジャンルと比べものにならないくらい安く済むのであります。
また高額和食のように、季節ごと に高い器を用意する必要もなく、極端な話が器無し(カウンタートップに直置きする店もある)でもオッケー。
デカイ厨房や男女別のトイレを用意する必要もなく、従業員も少なく、テーブル席もなくカウンター主体ですから、店のスペースは最小限でよいのです。
よって同じキャパ数でも必要スペースは最小となり、地代も他の高額小キャパ店より安くつくのです。勿論穴子を炙るとき と、酢飯の米を炊くときくらいしか火は使いませんから光熱費も抑えられます。
同じキャパの高額店と比べて、地代、光熱費、人件費、減価償却費などすべてが最小限に 抑えられるのですから、例え原価率が50%を超えていたとしても、客さえ来れば利益は充分に上げることができるのです。いや他のジャンル並みに原価率を30%前後にしてしまったら、儲かりすぎて笑いが止まらなくなるでしょう。
料理の原価率を、店のジャンル、キャパ、客単価をごちゃ混ぜにして比較検討しても意味はないことがおわかりいただけると思います。
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ネタ稼ぎ, 意見
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- 2012年03月19日(月)|
本日は先週予告しましたように、拙著「グルメの真実」(宝島社新書)に書いた一部を転載します。今日明日と2回に分かれます。
飲食店でよく言われている原価率(売値をベースにした食材や調理がしめる割合)、どのくらいの数字が適正なのかご存じでしょうか。一般には30%前後と言われておりますが、これは店の形態や価格設定の違いで大きく変わってしまうのです。
バイトスタッフを主に雇用し業務用の半完成品や冷凍物を使用する店と、腕の良い職人を雇い天然ものなど高級食材を仕入れる店と、適正な原価率(限界利益率)が異なるのは誰でもわかると思います。
売り 上げ (客単価)から、 人件費、地代、設備の減価償却費、光熱費など売り上げに比例しない固定費を差し引いた残りが、飲食店の場合は変動費と利益になるわけです。この変動費分を売り上げ で割った数字が いわゆる原価率ですから、固定費の圧縮ができ ないと仮定すれば、利益を上げるには変動費を削る以外に方法はありません。
しかし売り上げ(客単価)が高い店と安い店では、利益を上げるための原価率の数字はかなり異なってしまうのです。
客単価が何十倍と違う店はザラにあります。1000円のファミレスと3万円の高額和食を例に挙げてみましょうか。
客単価はこれほど違いますが、人件費や地代、光熱費に関して30倍の違いが出るはずがありません。いくら職人の給料が高いと言っても、時給がバイトの30倍となる3万円はあり得ない。月給600万円以上の雇われ料理人(料理長以外)たちが次々と誕生してしまうからであります。
つまり固定費は上限がありますから、客さえ来れば客単価を上げれば上げるほど、利益+変動費の割合を高くすることができるということ。換言すればボロ儲けしようと考えなければ、食材費を30%といわずもっと上げても店は利益を上げながら成り立っていけるのです。
逆に単価が安い店は固定費の占める割合が大きくなりがちですから、利益を確保するには原価率を下げるしかない。もしくは、客単価に相当する固定費を下げるため分母を大きくする、つまり捌く客数を増やさなければならないのです。
廉価の店が利益を上げるために捌く客数を増やすには、牛丼屋のように客の回転を上げるか、ファミレスのように大箱にするしか方法はありません。これらの店に、高額和食のように、10人ほどのキャパで一 晩一 回転という形態が皆無という例を挙げることで、理解いただけると思います。
換言すれば、高額店が小キャパでやっていけるのも説明できるのです。この理屈に目を付けて大儲けしようと考えたのが、高額店の大キャパ化であります。高額店は小規模でも利益を上げられるわけですから、大キャパにしたら食材も効率的に仕入れられますから原価率を下げることができ、理論上(客が来れば)更に大きな利益が上乗せされることになるのです。
しかしこれを目指した店は「ベージュ トーキョー」の例でもおわかりのとお り、机上の計算となって頓挫しております。
オープン前からグランメゾンのファミレス化(大箱化)と批評された「べージュ」は一度も盛況さを見せることなく今日に至っております。高額店と大キャパは両立ません。
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店訪問
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- 2012年03月18日(日)|
旅行先でこのブログを書いておりますので、いつものつまらないイントロは割愛させていただきます。
カレー好きと表明したからでしょうか、読者の方からカレー屋さんを2店推薦されまして、先日行ってきましたので簡単に感想を書かせていただきます。
ダルマサーガラ
銀座のはずれにある南インド料理?の店。行列まではいきませんが、昼は何回転もしている繁盛店でありました。
ランチはカレー単体の他に3種。2種のカレーの量やサイドディッシュの違いで1200円、1400円、1700円と分かれております。我々が頼んだのは、チキンフライなどが選べる1700円ものでありました。
まずは写真をご覧ください。

ダルマサーガラ
ラッサムスープ(癖あるスパイシーさ)、サラダ、プーリー(揚げパン)、パパド(揚げせんべい)、アチャール(ピクルス)など初めて聞く料理名もありまして、最初はどうやって食べるのかわかりませんでした。
マトンカレーと本日のカレー(ハーブチキン)を選んだのですが、いずれも面白く再訪したいと思ったのであります。
特にポリヤル?(野菜の副菜)は印象的でした。
ザ・カリ
新橋のはずれにある、ランチ営業だけのお店。カウンターだけなのですがここも満席でありました。
カレーの種類によって辛口、中辛などが分かれているので、辛い物好きの友里は辛口のビーフを頼んだのであります。

ザ・カリ
食べた感想ですが、スパイスはスパイスでも
チリペッパー
の味しか感じない単純なお味。正直期待はずれでありました。推薦していただいた読者の方、申し訳ありません。
ビーフは7片ほどありましたが、ここは自分的にはイマイチ。再訪することはないでしょう。
今回はたまたまオススメいただいた店へすぐさま飛び込みましたが、今後もすぐ対応するというお約束はできないことをここにあらためて書かせていただきます。