友里征耶 行っていい店、わるい店

Qサイト連載コラム 2003~2006年までの連載コラム

オカザワ氏からフェア ドマへ 1

5月 8日(月) 第976回
オカザワ氏からフェア ドマへ
-再びオカザワ登場で、フェア・ドマがピンチに 1-

第962回のコラムを書いてから直ぐにJ.C.オカザワ氏からメールをいただきました。フェア・ドマのオカザワ批判に対する反論だけではなく、私のオカザワシリーズに対する反論もついでに大量に来てしまったのは想定外でありました。いずれ掲載させていただきますが、まずは旬な「フェア・ドマ」ネタです。

--- 以下 オカザワ氏談 ---

日本橋のイタリアン「フェア・ドマ」の松橋氏がブログでいろいろとボクの批判を展開されているので、事の顛末を明らかにしたいと思います。まずは事実のみを検証します。そしてあらかじめ宣言しますが、嘘偽りは絶対に申しませんし、脚色等は絶対にいたしません。そのことを誓います。

7月のとある日、晶文社出版の編集担当者O岡さんより電話をもらいました。「フェア・ドマ」のシェフの方から電話があり、ひどくお怒りになられて罵倒されましたとおっしゃるので聞きますと、話し始めて間もなく、「勝手に載せやがって馬鹿野郎!オカザワ出せ~!」、「何もかも気にいらねえ~んだよう!この野郎!」
わめき散らしの言いたい放題。会話の内容を報告する彼女の声は悔しさと悲しさで震えておりました。ちなみに松橋氏は彼のブログで「担当の女性の威圧的で傲慢な態度」と書いておられるが、ボクを初め、彼女を知る人たちはみな、そういう態度をとる人かどうか、じゅうぶんご存じだと思いますよ。知性と教養と常識を兼ね備え、ヒトに接する物腰も非常に丁寧な方です。 「それではボクが直接話しましょう」と言って電話を切りました。 直後に「フェア・ドマ」に電話を入れました。断っておきますが、彼がブログで言うように「あんた、あの態度はなんだ!」などと ボクは言っておりませんよ。彼をアナタとは呼びましたが、アンタと呼んだことはない。「あの態度はなんだ!」とも言っていません。 電話の内容は以下の通りです。セリフのアタマノのJはボク、Mは彼です。

J 「ずいぶんお怒りだと聞きましたが、どういうことでしょう?」
M 「ウチは雑誌や本に勝手に無断で載せられると困るんですよ、ちゃんと選んでますから」
   
非常に冷静な話しぶりでした。こちらが拍子抜けしたくらい。ただ雑誌や本を選ぶことがとても自慢のようではありました。
   
「ワタシは自分の本や記事で取り上げさせてもらったお店から事前に承諾をいただいたことはありません。それよりも担当者を”馬鹿野郎!この野郎!”と怒鳴ったそうですね」
「態度が悪いからですよ」
「女性に対して馬鹿野郎はないでしょう?」
「すぐに本のウチの記事をハズしてください」
   
ボクの問いには応えませんが、過激発言は後悔しているように思われた。
   
「ハズすことなど出来るワケがないでしょう」
「どうもハナシが噛み合いませんね~、じゃぁ、増刷や改訂版のときはハズしてください」
「お断りします。むしろ改訂版のときには加筆するかもしれません」
「どうしてですか?どういうことですか?」
「ワタシは女性や子どもを馬鹿野郎などと怒鳴る人間がお客のために心のこもった美味しい料理を作れるハズがないと思うからですよ。そういった意味では今回アナタの店を下町の名店二百選に選んだのはワタシの判断ミスでした」 このあたりを彼は脅しと受け止めています。
「どうもハナシが噛み合いませんね~」
「たとえキレても、世の中には言っていいことと悪いことがあるでしょう?」
「ええ、それは、、」
「とにかく、アナタの店をハズすことはありませんけど、よろしいですね」
「わざわざお電話ありがとうございました」
「いいえ、どうも」

以上です。
松橋氏にあえて言いたい。アナタは最後に礼を言って電話をお切りになった。ボクはてっきり一件落着と判断しました。このとき愚かなボクは、礼を言う受話器の向こう側でアナタが舌をペロッと出していることに気づかなかったのです。
当然その後、このやりとりを口外することもありませんでした。晶文社のO岡さんへの報告を除いて。なぜならすべて明らかにすると、アナタの名誉と人格を傷つけると思ったからです。それを男同士がサシで話したあとになって、アナタは一方的に、恣意的に自分の都合の悪いところは狡猾に伏せて、ブログで発表してしまった。握手した相手が背中を見せた瞬間に拳銃を抜くことほど卑劣な行為はありません。一体全体、自分で「パンドラの箱」を開けちゃってどうするんですか?
アナタがブログでアレンジしている「うましか!」、「お利口さんのはんたい!」なんてのもチャンチャラ可笑しい。そんな生半可な表現でチャカすことができる言葉かどうかアナタ自身がよく覚えているハズでしょう。アナタがキレたらどうなるか、アナタの性格を知る親しい友人ならば想定の範囲内でしょうが、いきなり怒鳴り込まれて罵倒される生身の人間の身にもなってごらんなさい。 「馬鹿野郎・この野郎」有りの人間が逆に脅されたなどと、どのツラ下げて言えるのか、はなはだ笑止。冗談はアナタの熊顔だけにしておきなさい!世間ではこういうのを「盗人、猛々しい」というのですよ。

--- 以上 オカザワ氏談 ---

これ本当ですか。松橋氏がブログで吼えていた内容とまったく違いますね。私も今年、「しみづ」の主人、清水氏と電話ではなく会って話したことがありますが、やはり常連客へは「一発かませた」と事実と違った武勇談のように話しているとのこと。
松橋氏といい、清水氏といい、料理人は常連の前で「ええ格好」したいのでしょうが、立ち会った弟子や店のスタッフが事実を知っているのですから、反対のことをいうと余計惨めになるだけだと思います。ほとんど黙ってうつむいていただけなんですから。
明日は、松橋氏のブログに対して真意をただすため、オカザワ氏が再び松橋氏へ電話した経緯などを掲載します。
(明日につづく)