料理の価格に比べてワイン価格が高過ぎると思ったことはありませんか。
「ジョエル・ロブション」のベルゼローゼ シェフは「日本には知識や価格に精通したワイン通が多い」みたいなことを言っていると一昨日のブログで紹介しましたが、私は逆に日本の客はワインの値付けに「鈍感」な客が多いと考えます。
店でワインをボトルで頼む客は自腹ではなく経費で落とす人が多いので、「高い安い」を気にしないということでしょうか。ソムリエのおススメに何のためらいもなく、高額なワインを頼む客も多いようです。
ノンヴィンのシャンパーニュに1万円以上、そのシャンパーニュのグラス価格が2000円前後の店も見かけますが、この値付けは暴利ではないでしょうか。例外を除いてネットでは5000円以下で個人でも簡単に買えるノンヴィンシャンパーニュ。小売りのワインショップの粗利は3割と聞きますから、店の仕入れは4000円前後と考えるのが普通でしょう。
それをボトルで倍以上、グラスに至っては2杯売ったら元取れることになりますから。(実際は8杯グラスでとれると思います)
料理はどんなグランメゾンでも一皿1万円を超える値付けは難しい。食材費や調理代がゼロとしても荒利は1万円ないわけです。
ところが、ワインでは保管期間など在庫のリスクがありますが、簡単に2倍、3倍の値付により何万円もの粗利が一瞬に稼げ、それを頼む寛容な客がいる。一度経験したら離せない甘美な営業方針なのでしょう。手間暇かかるレストランのメイン商品である料理より稼ぎがいいのですから、気持ちはわかります。
しかし、果たして総合的に売り上げ増大、利益利増大に寄与しているでしょうか。
具体的な例を挙げます。ワインの値付けの安い「ボン・ピナール」、すべてのワインが安い値付けなのですが、ノンヴィンのシャンパーニュの中では人気で高額な「グラン キュヴェ」という銘柄、1万6000円ほどで提供しています。
しかし、このシャンパーニュ、ほとんどの店では3万円前後としているはずです。ひどいところでは3万5000円近くの店もあるくらいです。
5?6年前、私はインポーターから直接7000円ほどで購入した記憶がありますが、その後ユーロ高、値上げがあったとしても、店売りの1万6000円以下であるのは誰でも想像できます。恐らく、仕入れは1万2000円から1万3000円くらいでしょう。
この「ボン・ピナール」、ワインの値付けは掛け率ではなく、仕入れ値に数千円を加えて売値にしていると聞きましたから、高級ワインになるほどお得感がでるわけです。
ワインの元値を知っている客ならば絶対にレストランで3万円の「グラン キュヴェ」を頼まないのですが、数千円アップの1万6000円ならば喜んで頼む客も多いはず。
ワイン好きというのは面白いもので、値付けが安い、つまり市場価格とそれほど乖離していない場合、2万、3万いやそれ以上高いワインでも頼んでしまう習性があります。しかも、次から次へとボトルを開けてしまうこともあります。
つまり高い値付けだと我慢して1万円くらいのワインを1本しか頼まないところを、安い値付けだと2万円以上のワインを2本、3本頼んでしまうこともよく見る光景なのです。
倍以上の粗利を取っても安いワイン1本では粗利は6000円ほど。3000円の荒利しかとらなくても2本飲んでもらえば荒利は60000円で売上は4万円、3本飲んでもらえれば粗利は9000円で売上は6万円増えます。
例え粗利が同じとしても売上が増えれば信用力は上がるはずです。
絵に描いた餅というのか、粗利の大きなワインでの儲けを夢見ながら実際は在庫の山で売上が上がらない店にするか、粗利は少ないけどワインの回転が早く、結果売上と荒利が稼げる店にするか、それは経営者の考え次第でしょう。
ワインに釣られた客も増えるでしょうから、少々料理に難があったとしても流行るというのも、値付けの安いワインの店の強みであります。
作成者アーカイブ: tomosato
ワインの値付けを高くして本当に利益が増えるものなのか
「モウラ」更新しています
目白の一軒家和食「和幸」をアップしています。
友里としては珍しくミシュラン同様評価が高い店でありました。ミシュラン調査員より深く分析した結果であります。
ぜひお立ち寄りください。
http://tomosatoyuya.moura.jp/
ニューズウィーク 日本版3月号
TVではなく出版系では珍しい「ミシュラン擁護」の特集記事があるとマスコミ関係者から聞いて購入しましたこの雑誌、いやはや何とも言えない読後感でありました。
「世界が見た美食都市 TOKYO」とのタイトルを見ただけで、ミシュランサイドに立った論調になっていると推測されるのですが、内容はミシュランに頼まれたのかと思うほどのもの。ミシュラン出版で沸き起こった不満、批判もちょっと書いてありますが、ほとんど検証なしでミシュランサイド、料理人サイドの口上などをそのまま垂れ流しているだけでありました。
「小十」はオープンして数ヶ月客入りが悪く、ミシュラン掲載で脚光を浴びることになる、とありますが、この雑誌の編集者たちは小十へミシュラン掲載前に行ったことがないことがすぐわかりました。私の記憶では、マスコミ露出の助けもあったのかオープンして数ヶ月で客が付き、以後何年も予約が難しくなっていたはずです。私も数週間後の予約が取れなかったことが何回もありました。
「菊乃井」では、かつお節は九州、昆布は北海道から取り寄せる、とあります。今どき珍しいことでしょうか。「菊乃井」の半値で提供している和食店でもこのくらいの食材を使用しているはずです。もっと産地を絞った食材を使用しているはずですが、まったくその辺の知識がない。
「ジョエル・ロブション」のシェフ、ベルゼローゼ氏は「日本には本物のワイン通が多い」と高く評価していることが載っています。
日本のワイン愛好家は知識が豊富で、世界各地の極上ワインをリーズナブルな価格で手に入れる方法も知っている、とありますが、本当に実態をご存知なんでしょうか、ベルゼローゼ氏やニューズウィークの編集者たち。
私は友里としてデビューするまで、その「ワイン通」という人たちの末席に立たせていただいていたと思っておりますが、ワインサークル、ワイン会などに頻繁にご出席している方々が、皆それほどの知識を持っているとは思いませんでした。ワイン価格に対しても非常に寛容な方が多い。
大手国内インポーターのオークション会場では、連れてきた美女たちにパドルを上げ続けさせて落札価格を無茶苦茶上昇させてしまう富裕なワインコレクターたちの光景を毎回目にしました。
一般ピープルのワインオタクや世に言うワイン通もほとんどは百貨店やショップのセールに早朝から駆けつける程度でありましょう。
世界の市場価格やリーズナブルな価格で購入したい人たちもいないわけではありませんが、せいぜい小さなインポーターに登録して欧州のマーチャントにインデントで注文するか、クリスティーズなど海外のオークションへ応札するしか方策がないはずです。
だいたい、リーズナブルな価格で手に入れる方法を知っている人が多いなら、「値付けの高いワイン」しか置いていない「ジョエル・ロブション」に行く客がいるはずないではないか、と私は突っ込みたくなります。
確かこの雑誌の編集長は、TVのワイドショーなどのコメンテーターをしている竹田さんではなかったか。他のタレントと違ってなかなか重みのある発言をしていて好きなコメンテーターの一人だったのでちょっとがっかりしました。
今週木曜にアップする「モウラ」で、ミシュラン調査員がワインをボトルで頼まないで「葡萄マーク」をつけているのではないか、といった問題提起をしております。リストだけ眺めて在庫をまったく確認していない?
もしかしたら昼だけの訪問かもしれません。取材期間や予算の制限からランチだけの訪問で終わらせている可能性も考えられます。
具体的に指摘しておりますので、ぜひご覧ください。






