節電で客商売は壊滅する?

今週半ばにいつもの環境に復帰いたしまして、夜の銀座の街並みの暗さや恵比寿ガーデンの陸の孤島化に驚きました。
デパ地下の終業時刻をはやめたようで、仕入れが少ない。売れ残りを防ぐためでしょうが、各店で揃える商品はかなり量と種類を絞っているのではないでしょうか。
営業時間の短縮だけではなく取扱商品の減少。大震災前と比べたら、食品だけではなく他の商品においても

売り上げは半減しているのではないか

と私は思ってしまいました。節電による営業自粛と大震災による消費マインドの低下が主因でありますが、この節電はいつまで続けるのかについて世に予測が出ておりません。

計画停電はひとまず4月下旬で終わり、夏場に復活すると言われていますが、それはあくまで

現状の節電を持続する

という前提ではないでしょうか。マスコミは停電の有無ばかり問題にしますが、節電の持続についての考察が抜け落ちています。
私が予想するに

本来ならこのまま何年も節電を続けなければならない

のではないかと。
動く歩道を止めただけではなく照明もかなり落とした恵比寿スカイウオーク。夜は歩く人がいなくなったと聞きました。恵比寿ガーデンはまさに

陸の孤島化

となってしまった。
大震災の影響ではありませんがこの恵比寿ガーデン、賞味期限が切れたからか地下の飲食街は私の好きだったトンカツ屋に加えて、最初から客入りが厳しかった焼鳥屋まで閉店しております。
デパ地下では、やはり私が贔屓にしていたヘルシー食品(電子レンジで調理できる)と、その多店舗嗜好から当初より将来を不安視していた「スープストック トーキョー」が消滅していた。

出来ては消えを繰り返すこのスープチェーンでありますが、値付けの高さに加えて、スープものに限定したもともとのコンセプトに無理があり、多店舗には向いておりません。
毎日飲めるコーヒーならまだしも、種類があるとはいえ似たようなスープを毎日飲めるものか。しかも高い。
こんな店を雨後の竹の子(最近は貴重なようです)のように増殖させてしまっては、自ら希少性を下げてしまうこともあり、飽きられるのは必定であります。牛丼チェーンのように、客単価を400円以下にしなければ、この手の店の増殖は無理だと私は考えます。

話はそれてしまいましたので元に戻します。
このまま節電を続けて営業自粛していたら、客商売の店の多くは壊滅してしまうのではないでしょうか。
背に腹はかえられません。そのうち節電を捨て、通常の営業状態へ戻す店(特に大型店舗)も出てくるのではないでしょうか。そうなると、

計画停電の早い復活

になってしまいます。
もうアカン政府は夏場から罰則規定(100万円)を盛り込んだ節電強制法を施行するとも聞きました。この節電放棄を防ぐ狙いがあるのでしょうが、国民として従う前に

東電役員の私財を義援金へ(清水社長の昨年の年収は8億円近くあったとの報道がアメリカでありました)
東電役員の私宅を避難民へ提供
東電社宅を避難民へ開放
東電OB社員をやめさせ避難民を東電グループで採用

といった策がとられなければ、納得する国民は少ないのではないでしょうか。

帰宅して貯まった郵便物の中の東電からの通知を見て私はひっくりこけました。?

検針が出来なかったので、先月分の使用量で請求する

とあるではないですか。この節電にみんなが協力している東電管内で、

前月並みの電気を消費しているような非国民がいると思っているのか。

どの家庭どの企業でも、何割も使用電気量は落としているはずです。
普通の頭の経営者なら、検針できないのは己の事故による混乱が原因ですから

今月は請求せず検針してからまとめて精算

もしくは

とりあえず半分(8割でもいいぞ)の請求で、検針後精算

とするのが、迷惑かけている客へのせめてもの誠意のあらわしではないでしょうか。この会社の

殿様感覚

がなくならない限り、国有化は逃れられないと私は考えます。

店評価ブログを更新しています

東電経営陣に対してアメリカでは

株主代表訴訟

の動きがあるようです。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110330/amr11033022470007-n1.htm

日本ではなかなか経営陣の「善管注意義務」が立証できず存在感がない代表訴訟でありますが、アメリカで訴訟をおこされたら結果は大きく異なるのではないでしょうか。

会社(法人)は原発事故の直接・間接被害による巨額な損害賠償、経営陣は個人的に高額な損害賠償(株価下落分)というダブル請求。
肝心の原子炉の安定も数年で終わるかどうかわかりませんし、その後の廃炉処理も何年かかるか想像もつきません。株下手な友里では説得力がないかもしれませんが、今東電株を買う動機が私には理解できないのです。

昨日のブログで、サルコジ大統領やアレバ社のCEOが提案した大支援は

日本での今後の原発ビジネスへの布石

であると書きました。
イラクのクウェート侵攻が切っ掛けの湾岸戦争、直接参戦した国々が復興事業で大きな利権を得たのはよく知られております。
ヘソの曲がった友里には、フランスは原発の建設費(4000億円前後らしい)よりはるかに費用がかかると言われている

廃炉処理費用など原発関連ビジネス

を狙っているとしか考えられないのです。第一福島6基を廃炉するとなると、その費用は

数兆円

になると推測できるからであります。
支援は有り難いのですが、合理的な欧米人は必ず見返りを考えているということを忘れてはなりません。
しかし私はこのようなフランスの思惑が悪いとは思いません。独立国として当然の行為、他国ではなく自国の利益を最優先するのは外交の基本であります。
最終的には自国さえよければ良いというのが、欧米諸国の本音であると純粋でない友里は考えているからであります。

さきほど、回りの反対を押し切って菅総理がパフォーマンスのため被災地などの現場視察にヘリで出かけたようです。みのもんたの番組に出演していた東大の御用学者さん、菅さんには義理がないのか

どうせ行くのなら、原発内の線量(放射線量)が多いところへ行けば、原発現場の士気が上がる

と言っておりました。東電には配慮しても、菅さんにはイヤミを吐くところに注目であります。

さて店評価ブログに、博多の鮨店「安吉」、昨年代替わりした「クチーナ・ヒラタ」、そして赤坂の韓国家庭料理「古家庵」をアップしております。

関西の寿司好きの皆さんが喜んで通っている神戸などの過大評価店の主人は、この「安吉」で修業をやり直した方が良いといってはまた怒られるでしょうか。

ぜひお立ち寄りください。

日本の原発は高いところに建設できない

今朝のTVの報道を見て、私は椅子から転げ落ちそうになりました。
なんと仙谷民主党副代表の近辺では、自民党との大連立の動きがあり、その内容は以下のように自民党にも伝えられているというのです。?

首相は谷垣自民党総裁
官房長官も自民党から
仙谷氏は副総理
民主党の代表は輿石氏

という驚嘆な内容であります。
精神的に不安定だと言われておりますが、枝野氏を全面に立てながらも陣頭指揮を執っているように振る舞っている時の首相・菅さんはどうなってしまうのか。この大連立は

菅内閣の総辞職

が前提となっているとのことなので、これは仙谷の保身を賭けたクーデターのようなものでしょうか。それにしても菅さん、足下からこんな画策されているとしたら哀れと言うしかありません。輿石氏を代表に担ぐというのなら仙谷氏

小沢グループと握手

するということでしょうか。

他国から好意を受けるのに文句をつける気はありませんが、今回のフランス・アレバ社の女性CEOが発表した支援内容に私は驚きました。
技術者20名の派遣のほか、万単位の防護服や手袋、マスク、そして環境測定車などなど。
太っ腹と言えばそれまでですが、サルコジ大統領自らも緊急来日しての支援宣言。ヘソの曲がった友里は思わず

日本の原発市場を狙っているのではないか
もしくは福島第一の6基の廃炉処置の受注を狙っているのか

と思ってしまったのです。原子力先進国と言われているフランス。電力の過半を原子力で賄っていると聞きますから、今回の支援でその技術力と安全性を全世界、そして日本に売り込む

絶好の機会

と踏んだのではないでしょうか。今回の事故で原発自体の存在を疑問視され国内の原発メーカーの経営が心配されていますが、仮に原発を今後も造るというコンセンサスが日本国民からとれたとしても、その建設に

アレバ社が参入

してくると想像するのは友里の読み過ぎでしょうか。国内メーカーの悩みは更に深まると考えます。

さて表題に移ります。
今回の大震災による原発事故ですが、直接の揺れに寄るものではなく、その原因は津波にあったと言われています。

想定外の高さの津波

で発電所の緒設備がやられてしまったのですが、それなら原発を高いところへ造ればよいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そもそもなぜ海辺に造るのか。内陸なら津波は大丈夫だとの考えもあるでしょう。

アメリカやオーストラリアでは、海辺ではなく内陸に建っている発電所(火力も)が結構あるんですね。といいますか、海辺の発電所は少ないかも。
これは、タービン発電機を回すために必要な蒸気(ボイラーや原子炉で発生させる)を何で冷却するかで決まってしまうのです。以前のブログで、

原子炉やボイラー(蒸気になる)→タービン→復水器(ここからは水になる)→復水ポンプ&給水ポンプ→原子炉やボイラー

のクローズドサイクルであることは書きました。タービンを回して仕事をした蒸気は、復水器で非接触に他の流体に冷却され水に戻って再び加熱されるのですが、重要なのは復水器でその蒸気を冷やす大量な

冷却源

であります。これを海水にするか淡水にするか、もしく空冷の冷却塔(正確には水冷です)にするかの選択です。世には水をまったく使わず空冷だけのエアコンデンサーなるものもありますが、大容量には対応しておりません。

スリーマイルの原発だとネットの情報もあり良くわかるかもしれませんが、海外の他の火力発電所でも、大きな煙突のようなものから白い煙が出ている写真が見られるはずです。
これは原子炉やボイラーの蒸気ではなく、復水器で使用する冷却水(タービンを回す水蒸気ではない)が冷却塔を介して空気と熱交換した時に出る水蒸気なんです。

ご参考
http://www.nucleartourist.com/systems/ct.htm

海外はこのように土地の広さを利用した、海のように大きい河川や湖の水源を使用するか、大型の冷却塔を設置して蒸気を冷やしているのですが、狭い日本では大きな土地も大量の水源は内陸にはありません。
そこで無限に(実際は有限ですが)ある海水を利用するため海辺に原発や火力を造らなければならないのです。

では、その海辺でも高く土台を造ってその上に原発や火力を建設すれば良いではないかという意見がでてくるでしょう。しかし簡単に言いますと発電所は

海面から10数メーター以上のところには造れない

のです。復水器で蒸気を非接触に冷却する海水は大量に必要なのです。大きな立型ポンプ(循環水ポンプ)で取水口から汲み上げて復水器へ送り込むのですが、そのポンプは

大容量なだけに吐出圧力は高く出来ない

のです。大量の海水を送る循環水管や復水器の細管(冷却効果を高めるため表面積が大きくとれるよう細い菅に海水を流す)による圧力損失も計算しなければならず、高いところまで流せる大容量ポンプは常識的に製作不可能。

ではなぜ海抜10数メートルかと言いますと、簡単に言えば、海面から取水した海水が復水器を通し排水口へ戻すオープンサイクルの循環を

サイフォン効果

でまかなっているからなのです。
サイフォン原理(バケツの水をホースで移動する実験が学校であったはず?)は負圧の効果で発生しますから高さは10メーターが限界。つまり循環水ポンプで何とか海面から数メーター持ち上げて、あとはサイフォン効果で循環させるため

残り10メーター

しか発電所は持ち上げられないのであります。

内陸の土地が狭い、水力に必要な水源もそうはない、と日本の発電環境は非常に制約があるのは事実であります。
このような条件で日本の発電システムを今後どうしていくか。大きな問題だと私は考えます。

ちなみに昨年ブラジルに出張し、ブラジル国内の電力のほとんどを水力で賄っているということを実感してきました。あの無限とも思える水源があればクリーン発電だけでも充分なんですね。羨ましい限りであります。