高濃度汚染水放出の危険もある、福島第一原発

昨日の友里ブログにより、冷却が必要な原子炉のため外部から海水や水を注入したら、その入れた量だけ原子炉の外へ垂れ流さなければならない理由がおわかりいただけたと思います。?

再循環ポンプが動かない現在、仮に外部から水を入れることが出来ても、圧力容器などの容積は有限であります。
冷却は自動車のラジエターを見ればおわかりになると思いますが、冷却水か冷却される媒体のどちらからを

循環

させなければなりません。停留していたら熱を逃がせません。
冷却水は熱源を冷ましますが、それによって冷却水自体は温まってしまうからです。その温まった冷却水では冷却効果が期待できないのは理工系の方でなくともおわかりいただけると思います。
よって毎日何十トンも注入している「真水」は、しっかり原子炉の外(つまり外部である建屋や敷地内)へジャジャ漏れさせなければ、炉心の冷却は出来ないのであります。

圧力容器が壊れた結果注入した真水が自然に外部放出できるようになったのか、自発的にクローズドサイクルを破って外部へジャジャ漏れにしたのかは、神、もとい東電と政府のみ真実を知るところでありますが、どちらにしても溶融したと言われる燃料棒を直接冷やした汚染真水が刻々と注入した分だけ外部へ放出しているのは間違いありません。そうでなければ、炉心を冷却できません。

そこで大きな問題。昨日から溜めてあった低濃度汚染水を海へ放出しているとの報道があります。
増え続ける高濃度汚染水(炉心を冷却するため注入した真水)を貯蔵するスペース確保のため、今まで溜めていた低濃度汚染水を海へ流した方が結果的には実害は少ないという、政府と東電の究極の判断なのでしょう。

高濃度の汚染水が溢れかえるよりマシだろう

との計算でしょうが、彼らはこの先、つまり1ヶ月先、半年先、いや一年先のことを考えているのでしょうか。

溶融した燃料棒がこの数週間で冷却される、もしくは圧力容器の破損を直し緊急冷却システムが稼働して冷却水が炉心を循環するようになれば、外部からの真水注入は必要なくなりますから、高濃度汚染水のジャジャ漏れもなくなるでしょう。?

しかし昨日のブログにも書きましたが、ジャジャ漏れの原因である圧力容器かそれに繋がる配管の破損を、この環境(放射線量が高い)のなか補修(溶接など)することは不可能のはず。破損の場所を見つけることも難しいと考えます。
複雑な配管配置であり、炉心が冷えていない段階では格納容器や圧力容器に近づけないからであります。

また、肝心の再循環ポンプを確認することも難しいのではないか。原子炉建屋の底に位置していると記憶するこのポンプ、そこへたどり着くだけでもかなりの時間を要してしまい被曝量が多くなるからです。たとえたどり着いたとしても、そこで点検や修理の作業をすることが容易であるとは思えません。

よって私はこのまま数ヶ月、いや年単位での外部からの注入、そして外部への流出という、オープンサイクルでの循環冷却を継続するしか策はないとネガティヴに考えてしまうのです。
そうなると、溶融した燃料棒に直接触れた高濃度汚染水が毎日増産(毎日500トン注入されているらしい)されていくことがおわかりいただけると思います。

今朝のTVで、ピットからの高濃度汚染水の海への流出は止まったとの報道がありましたが、これから毎日増え続けるこの高濃度汚染水をどう処理するつもりなのか。

メガフロートに溜めるつもりでしょうが、メガといっても容量は有限であります。

直ちに溶融した燃料棒を冷却できない現状では早晩、高濃度汚染水は溢れてしまうことになるのです。正に

一難去ってまた一難

なのですが、後手に回っている政府や東電には、そこまでの対策は現段階で考えられないのかもしれません。

不安を煽るつもりはありませんが、

圧力容器やその系統配管の破損箇所を特定できるのか
その破損箇所を修理することが出来るのか
圧力容器外部への冷却水流出を止められるのか
再循環ポンプの場所へたどり着けるのか
循環による冷却システムはいつ回復できるのか
オープンサイクルの外部注入式冷却(高濃度汚染水垂れ流し式)しかないとしたら、冷却に何年かかるか?

そろそろ政府や東電は、真実を開示する時期にきていると私は考えます。

非常時の原子炉冷却を簡単に説明します

事態はかなり深刻なようです。1000ミリシーベルト(1シーベルトですから大変な数値です)という高濃度汚染水の海への流入を避けるため、溜めていた低濃度汚染水を海に放出したようです。
高濃度汚染水の貯蔵先を確保したいのでしょうが、

毎日魚を食べてもこの濃度なら大丈夫

と言われても納得がいきません。事故後、何マイクロシーベルト、何ミリシーベルトと毎日政府や保安院から聞かされ続けたため、我々は放射能漏洩に麻痺してしまったようです。
これまでは、もっと僅かな「漏れ」でも大騒ぎしていたからです。

慣れは怖い

と言うことでしょうか。

原発事故による炉心への海水(真水)注入ですが、なかなか皆さん(国民)にはおわかりいただけないようです。
政府や御用学者はそれを良いことに、適当な説明で逃げているのですが、友里掲示板で以下のような的を射た質問がありました。まずは引用させていただきます。

原子力発電のクローズドサイクルは車の水冷みたいなものですか?
現状はホースやラジエター等に亀裂が入り、冷却水が漏れっぱなし。
どこかからエンジンに冷却水の注入を試みるも圧力が高くてうまく入らない。エンジンはどんどん加熱してオーバーヒート通り越して焼き付き寸前。漏れている冷却水も汚染されていて手が出せないから海に流してしまおう。でも冷やし続けないとエンジンがオシャカになって大変なことに。冷やし続けると水は漏れ続ける、以上の繰り返し。こんな解釈でよろしいのでしょうか?(句読点を適当に友里が入れました)

簡単にいってしまえば、このご質問の通りであります。

仮にホースやラジエターが破損しておらず、外部へ冷却水が漏れていなかったとしたらどうでしょうか。この冷却水が循環しておらずエンジンが過熱してきても

外部から水を入れることは無理

だということがおわかりいただけるでしょう。仮に冷却水が減っていたとして外部から注入しても、クローズドサイクルが冷却水で一杯になったらもう

外部から水は入らない

のです。電気がなくポンプが回っていませんから、冷却水は循環させていません。よって

エンジン(炉心)は冷却されなくなる

のです。
ではなぜ福島第一原発では、毎日冷却水を注入しつづけられるのか。それは、ホースやラジエター(原子炉)が壊れてジャジャ漏れなので、注入した量だけ外へ漏れだし

あたかも冷却水が循環している

ような状態になっているからであります。高濃度の汚染水がたまり続けるのは当たり前なのです。

よって、外部電源を引いて再循環ポンプを回したとしても、この原子炉の破損を直さない限り、まともな炉心冷却は出来ないと言うが友里の考えであります。

最後に。掲示板に書き込みましたが、通常の原発の冷却と非常時の冷却を詳細に述べておきます。?

今回問題になっている原子炉はGEが設計した沸騰水型軽水炉であります。沸騰水型という原子炉は、炉の冷却水とタービンを駆動する蒸気を兼用しているのが特徴です。
ウエスティングハウスの加圧水型軽水炉(原潜もこのタイプ)とはまったく違います。
普段の冷却、つまり発電している状態を簡単に言いますと

原子炉→タービン→復水器→復水ポンプ→低圧給水加熱器→脱気器→給水ポンプ→高圧給水加熱器→原子炉

の流れとなります。
炉心で加熱された蒸気(水から蒸気へ)はタービンを回し(結果発電機を回して電気をつくる)仕事をして圧力と温度が低下、タービン最終段から復水器へ流れ、そこで海水と非接触で熱交換され飽和水(摂氏20度くらい)になるのです。

その水は復水ポンプによって低圧給水加熱器を通り、脱気器で脱気され高圧給水ポンプへ送られます。そして高圧に加熱された水(給水といわれます)は高圧給水加熱器で更に加熱され原子炉へ向かうのです。
低圧・高圧給水加熱器というのは、タービンの途中からから抜いてきた蒸気(抽気といいます)と非接触に熱交換し加熱する熱交換器です。

何らかの問題で発電所を停止しなければならない場合、制御棒を入れて炉心を停止状態に持っていき、原子炉とタービンの間にあるメインストップバルブなどを閉めて原子炉とタービンを隔離します。
そうなりますと通常の冷却(発電状態)が出来なくなりますので、原子炉アイランドだけでの冷却が行われるのです

原子炉アイランドでは、トリップ(発電所停止)でタービンへ行かせなくなった冷却水(制御棒を入れて停止状態に持っていくので蒸気にならないと思います)をクローズドサイクルで循環させて炉心を冷却し続けなければならなくなります。制御棒を入れても燃料棒は発熱を続けるからであります。

非常事態で電源が完全になくなり、この原子炉アイランドでの循環冷却が出来なくなったのが今回の事故の原因なのです。

電源が落ちず正常な状態ですと、原子炉アイランドでの冷却水の流れは簡単に言えば

炉心→熱交換器→再循環ポンプ→炉心

とクローズで循環するはずです。この熱交換器(名称は失念)は復水器と同じく、海水と非接触で熱交換されるタイプです。

炉心を冷やした冷却水は逆に温まります。よって復水器とは違うものですが、この熱交換器で海水と非接触で熱交換し冷却され、また炉心へ戻すというのが非常時の炉心冷却サイクルです。

よってこのクローズドサイクルが健全であったら、外部から水(海水)を入れることが出来ないと言うことがおわかりいただけると思います。中に水が詰まっているからです。
毎日炉心に水を注入していると言うことは

このクローズドサイクルが破損してジャジャ漏れ

であるということなのです。つまり

注入した水量だけ、溶けた燃料棒に接触して汚染された水が炉心の外部へジャジャ漏れしている

状態としか考えられないのです。
高濃度の汚染水が建屋に貯まっているのは当たり前なのです。

よって圧力容器が破損して外部へ漏れているとしたら、非常冷却の系統(熱交換器や再循環ポンプ、配管など)が壊れていなかったとして外部電源をつないでも、クローズドサイクルにならず、汚染された冷却水がジャジャ漏れになるだけではなく、炉心の冷却効果も上がらないのです。
ラジエターから水が漏れていたら、オーバーヒートするのと同じです。

正常な冷却状態にするには、この炉の破損(ジャジャ漏れ)を直さなければならないのですが、炉心に直結しているこの破損部分、燃料棒が制御できていない状態での溶接修理は無理だと私は思うのです。

高濃度汚染水がピットのどこの亀裂から海へ漏れているかもわからないのが現状です。燃料棒に近い最悪な環境で、原子炉のどこが破損しているかを探し出すのは不可能に近いはず。

見つけるのも難しく、例え見つけても近寄れず修理できない

よってジャジャ漏れ覚悟で何年も冷やし続けなければならないと私は考えるのです。外から水を注ぎ足しながら汚染水を垂れ流しながら・・・?

これが友里の福島第一原発の現状分析であります。マスコミどころか御用学者さえ、これほど詳細に説明している人は日本に皆無と自負しております。

追記
今、原子炉や非常冷却系統が無傷での真水(海水)注入が可能な場合があることに気がつきました。
燃料棒が危険な状態になり緊急事態ということで、低濃度汚染水を海水に流したように

原子炉のクローズドサイクルを壊して外部から注入

という方法です。
非常に危険なのにそのままでは注入できない。よって弁か何かを開けて外部へじゃじゃ漏れさせることにより、最初は海水、現在は真水を注入し続け、そのかわり汚染水を垂れ流し状態にしているということです。
どっちにしても(原子炉が崩壊か自ら弁を開いてクローズドサイクルを壊す)、高濃度の汚水が外部にでることは最初からわかるべきでして、いかに政府や東電がつけ刃でドタバタなのか、目先しか見ていないかが、現在の海への放水をみてわかると思います。

本日も説得力を増すために、持てる知識をフル動員しまして、テクニカルタームを散りばめました。

グルメの嘘(新潮新書)、5刷決定

福島第一原発事故ですが、炉内冷却など根本的な事故対策の経過が最近発表されていないような気がします。
シイタケが基準値を上回った、コンクリートだけではなく高分子吸水材を投入しても汚染水の海への流出が止まらない、などの報道はありますが、外部電源を引き込んだまでは良かった冷却系統の回復工事、その後どうなったのでしょうか。?

枝野さんや細野さんもようやく

放射能を封じ込めるだけでも数ヶ月単位になる

と認めるようになりました。数ヶ月単位どころか年単位になる可能性もあると思いますが、事故当時からこの友里でさえわかってブログで発信していた内容であります。
大震災や事故から3週間が過ぎてしまい、どうにも誤魔化しきれなくなって仕方なく真実の一部を開示しだしたのでしょうが、こういう姿勢が?

政府と御用マスコミの隠蔽体質

を更に浮き彫りにしてしまっていると私は考えます。
子供じゃないんですから、どうせいつかはわかること。正直に最初から言ったらどうかと思うのですが、オコチャマ大臣ばかり(歳はとっていても中身はという人も)の政権では仕方ないのでしょうか。?

先日、出張のついでに知恩院へ行ってきました。祇園や八坂神社、丸山公園は

都をどり や 花見

で盛り上がっておりました。真っ暗な銀座を象徴する東京とは、雰囲気がかなり違うと感じたのです。

さて先週帰宅して新潮社からの封書を開けてみると

5刷目の手配に入った

との通知でありました。昨年1月に4刷が決定した後は音沙汰なし。もう増刷は無理かと思っておりましたので、未だ新潮社の売り上げに微力ながら貢献していたと知り、正直ホッとしたのです。今回の刷り数も以前と同じく2000部。

増刷だ、9刷りだ

と己のブログで同じく喜びを表していた佐藤尚之氏や関谷江里氏も肝心の刷り数を開示していないので、この業界では

刷り数開示が御法度なのか

とも思ったのですが、友里は何事も出来るだけオープンにすることを心がけるスタンスだけに書いてしまいました。累計部数ははっきり書けませんが

おかげさまで2の台前半

?となっております。
この状況下で、友里初のオススメ本の発売が延期(はっきり決まっていません)しまして、T社からの次期出版(飲食業界の実態告発もの?)も玉突き延期となりました。現状では

8月脱稿、10月発売

を目指していることを報告させていただきます。