飲食店へ出資する人のタイプとは?

月刊めしとも」でニューオープンの店の取材を担当しているのですがいつも疑問に感じること、それは

雨後の竹の子のように、何でこんなに次々と新しい店がオープンできるのか?

であります。友里はデビュー以来、レストランの真の経営者(店のコンセプトなど決定権を持っている人)を見極めるのが大事と主張しております。
紹介雑誌やヨイショライターが持ち上げる

オーナーシェフやオーナーソムリエたち

「オーナー」は自称であって、自らの担保余力で銀行から借金し、店舗の賃貸契約をしている人は少ないのではないか。
ほとんどが出資金をスポンサーから借りて店をオープンしているに過ぎないのです。中には実態は単なる「雇われシェフ」の場合も多いはずです。
これは最近の若手の店に限った現象ではありません。古い店でもあることでして、例えば

アクアパッツァ

有名シェフ・日高氏の店だと勘違いしている人が多いでしょうが、実際の経営は病院経営者のはず。
ひらまつグループのように株式を上場している会社の傘下の店も、正確にはみな「雇われ」と言っても過言ではないでしょう。

さて本日は、そのレストランへの出資者とはどんなタイプがあるのか。私の人脈や情報から3つのタイプに分類できると考えます。

1、??? 千万円単位で出資したけど、店にはまったくノータッチ
2、??? 出資金に見合った配当を店主に要求する
3、??? 自ら経営にタッチする

1の出資者は自称オーナーたちにとって「神様」みたいな存在でしょうか。金は出しても口は出さない、店は自称オーナーに完全お任せの人たちです。
配当なんて期待していない。要は、自分はこのレストランの「影のオーナー」だと自己満足するだけの人たちであります。
店からのちょっとした特別待遇(大事にしてもらう程度)で満足。家族や接待でしょちゅう店を訪問し、影のオーナーとしての見栄がありますからコースやワインはついつい高めのものをオーダーしてしまう。
店にとってこれほど「都合の良い出資者」は他にいないでしょう。

2番目は若手の鮨屋などによく見られる形態です。銀座などの場所で店舗の賃貸契約をする場合、いくら有名店といっても独立仕立ての人が店を持つのは不可能に近い。
出資や保証人を出資者に頼むかわりに、それなりの高配当を用意する形態であります。オープン当初と比べて、短期間で値上がりしたような店はこのタイプが多いと考えます。

3番目は自称オーナーシェフにとって最悪の形態でしょうか。形だけの「オーナー」をとるために、大袈裟に言ってしまえば出資者に魂を売り渡してしまったシェフの店であります。
皆さんもよく感じませんか。今までの店(雇われシェフ)の時とはまったく違ったコンセプトになってガッカリするパターンであります。

今まで扱っていなかった食材や調理法に転換する。箱(店の規模)をまったく違うものにする。変な食器を使い出した。

などなど。出資者がガラス食器販売会社だったので、使用する器を全部ガラス皿にしたイタリアンもありましたっけ。
当然うまく行くはずはなく、そのシェフはまた別の出資者のもと懲りずに自称オーナーシェフをしております。

友里は

店経営者の性格で店の良し悪し(CP感)が変わる

と主張しております。マスコミやヨイショライターの紹介する「自称オーナー」ではなく、店のコンセプト含め決定権を持つ真のオーナーが誰なのかを見極めることが、

行っていい店わるい店

を判別する主要な手法であると考えます。