電力会社に事故対策や詳細説明を期待するには無理がある

昨日からネット環境の異なる地域に移動しております。前々から決定していたことでありまして、決して「逃げ」ではないことをここに確認させていただきます。
時差などの関係もあり、またオンタイムにジャーナリズムの欠片もないTVを見ることが出来ませんので、いつものようにタイムリーな

サルでもわかる原発事故解説

が出来ないと思います。ご了承ください。

この原稿を書いている段階でネットニュースを確認しましたが、東京都の浄水場でも放射性物質を検出、30キロ圏外でも事故後ずっと屋外にいたら基準上限の100ミリシーベルトを超える被爆の可能性がある、といった厳しい現実をしりました。どこまで問題が大きくなるのか想像もつかなくなりました。

さて大事故以来、政府や原子力保安院は別にして、巷では東電の説明に大きな不満があるようです。

対応が遅すぎる
後手に回ってばかり
事の重大さがわかっていないのではないか

といったものですが本業が原発にも関係している友里、別に東電を擁護するつもりはありませんが、これは致し方ないことだと思うのです。

世の純粋な方々や何ら検証精神を持たないマスコミにはわからないかもしれませんが、東電は発電所の設計や建設を直接担当したのではなく、単なる発電所の発注者であります。簡単に言えば

ユーザー

みたいなものでしょうか。管理や運転はしますが、発電所を自ら造っているのではないのです。簡単な例えを挙げますと

?クラウンやセドリックを購入しているタクシー会社

みたいな立場であります。人員の配置など配車や運営をタクシー会社はしますが、車自体は造っていない。
仮に自動車が火を噴くなど重大な問題を起こした場合、タクシー会社はお手上げのはずです。世間はそれでもタクシー会社に

自動車炎上の原因と対策をすぐ出せ

と要求するでしょうか。
東電に限らず、電力会社は電力の供給会社でありまして、ある意味自動車を購入しているタクシー会社のようなもの。発電所の運転や運営は得意でしょうが、図面をおこしてからの設計など出来るはずがありません。まして事故対策などいわゆるプラントメーカーに頼らなければ何も出来ないのが実情ではないでしょうか。

それなのに世は、そして菅さんまでが、東電が原発の設計者であり製造者であるかのような対応を求めている不思議。
東電が設計する能力を持ち、製造や建設が出来るほどの実力があるなら、三菱、東芝、日立、IHIなど俗に言うプラントメーカーなど

不要

になってしまいます。
製造者ではなく単なる使用者に事故の対策を考えさせたり詳細に説明させたりすることは、根本的に無理であると私は考えるのです。
ここは問題になっているプラントを考えたら、元請けであったGEか、その下の東芝、いや、東芝の下で原子炉を担当しているIHIが全面に出でてくるのが筋ではないかと私は考えるのです。

自動車が火を噴いているのに、タクシー会社に対策や事故説明を要求する人がいるとは思えません。
あくまで最終責任は発注者である東電でしょうが、対策や説明が東電だけで考えられるはずがないのであります。

こんな簡単なことが、菅さん、枝野さん、そしてTVや新聞社、そして御用学者にわからない(わかっていないふりをしているだけかも)のが日本の悲劇であると言えるでしょう。