芝浦工業大学教授・古川修氏の損害賠償請求事件 6    古川教授、趣味の範囲なのだから経験の少なさを恥じることはない

芝浦工業大学システム工学部教授、古川修教授が友里征耶を相手取った名誉棄損等の訴訟に関する次回期日の被告準備書面を先週末に提出しましたので、その内容を公開させていただきます。
被告側としましては原告と違って急いでいるわけではないので、今回の書面はまだまだ緩い内容のものであります。今の段階では手の内をすべてさらす訳にはいかないからです。
1、「癒着ライター」の部分に関して
癒着とは物と物とが接着することを意味する言葉。被告・友里は、原告・古川修教授が特定の料理人、食材供給者、生産者、飲食関係者らと個人的に懇意になり、いわば持ちつ持たれつの関係にあることに関し、「癒着」状態であると論評したまでである。
原告・古川修・芝浦工業大学教授は、鳴門の漁師「村公一」氏、鴨の養殖生産者「西崎ファーム」を再三再四絶賛している。
しかし、原告・古川修教授は「村公一」氏が獲った鱸と村氏以外の漁師が獲った鱸との客観的な比較をすることなく、原告の主観に基づいて「カリスマ漁師」と称し、あたかも「日本一の漁師」であるかの如く取り上げ、西崎ファームが養殖生産する「バルバリー鴨」と一般的に定評のある「シャラン産の鴨」と具体的な比較検討をすることなく「最高の鴨」であるかの如く絶賛している。
他方、原告・古川修教授は村公一氏と個人的に食事をし、正月には個人的に特別な食材を送ってもらう等一般読者らが希望したとしてもかなえられない特別待遇を受けている。西崎ファームの西崎社長とも人間的に極めて懇意な関係にあることを再三表明している。
このような原告個人と格別に懇意な人間関係を前提とした特定の食材供給者・生産者について絶賛する原告・古川修教授のスタンスに対し、被告友里は「癒着」状態にあると論評したものである。原告と被告友里との飲食ライターとしての基本スタンスの違いに基づく論評である。このような意見表明が名誉毀損云々の問題となり得ないこと、被告友里に悪意がないことは言うまでもない。
2、「井の中の蛙」について
原告・古川修教授は「銀座こびき」の料理をかねてより絶賛している。更に、原告が主宰し原告のブログ読者らが参加した「超美食会」という食事会の会場に選定した際においても、銀座こびきの料理が最高レベルである旨を絶賛した。
しかし、「銀座こびき」を訪問したことがある者であれば、銀座こびきの料理が最高レベルである、との点には疑問を抱くはずである。和食を提供する飲食店のレベルの区分け方について定説があるわけではないが、使用食材の単価の点も考慮したうえ、例えば、「料亭」「割烹」「居酒屋」「食堂」という区分けをした場合、少なくとも銀座こびきの料理は、「料亭」「割烹」の区分けには属さず、「居酒屋」で提供されるレベルの範疇と考えられる。
被告友里は、「居酒屋」の範疇に属すると思われる料理をあたかも「高級割烹」の範疇であるかのように絶賛する原告のスタンスに対し、大いに疑問を持った。被告友里は、原告自身が居酒屋レベルと感じる料理をあえて高級割烹と持ち上げるような人格の持ち主とは考えなかったので、原告がこれまでに訪問した経験のある割烹の料理のレベルが銀座こびきの料理のレベルとさほど差違がなかったということに由来するものと考えた。被告友里は、原告個人の料亭・割烹への来訪経験が本業飲食ライター・評論家等に比べると少ないことについて「井の中の蛙状態」と論評したものである。
原告の料亭・割烹への来訪経験がさほど多くないことは、小滝橋にある「岸由」という店との懇意な関係を示しつつ、「岸由は東京最高の割烹になりつつある」旨絶賛することからも伺われる。東京都内には「岸由」と同等以上の質の料理を提供する和食店が数十軒を下らないことは議論の余地がないと思われる。「銀座こびき」と同等以上の質の料理を提供する店も数え切れないほどである点も異論はないと思われる。
以上のような事情を踏まえて、被告友里は「井の中の蛙状態」と論評したものである。
原告・古川修氏の本業は機械工学を専門とする大学教授であり、国土交通省主宰の公的委員や学会等の要職をも務める中、あくまでも趣味として飲食関係ライターとして著書を出版し、ブログを公開している原告にとって、本業飲食ライター等に比して来訪した和食店の数が少ないことや割烹訪問経験の少ないことは何ら恥じるべきことではない。
ましてや原告の名誉が毀損されるようなこともあり得ない。
最後の一文、本業は大学教授なので高級・高額和食店への訪問回数が少ないこと、本物の割烹や懐石料理店の経験が少ないことをなんら恥じるべきことではない、という文言は正に名文であると自画自賛します。本当に素晴らしい高級店を知らない身で、「こびき」や「岸由」をあたかも東京の最高店の如く絶賛しているのですからこれは「井の中の蛙」と言わずなんと評するのか。
読者の方からは、「本当に古川さんは名誉を棄損されたと考えているのか。それならば、本業である芝浦工業大学の『学長』を証拠調べで呼び出し、友里が日刊ゲンダイで書いたことが芝浦工業大学教授の名誉を棄損することなのか、普段から本業をおろそかにして日本酒メーカーや食材メーカーとの人脈形成に勤しんでいる姿、出張の合間に飲食店や酒蔵を訪問する余裕をブログに公開するほど遊び呆けているとしか思えない姿を自慢していることの方がもっと芝浦工業大学教授としての地位を落としているのではないか、こんな副業に力を入れすぎるなど呑気なことをしているから友里に揶揄されただけではないか」、と尋問したらどうかといったアドヴァイスをいただいております。
名誉の毀損を証明することは、毀損していないと証明することと同様に難しい問題であります。
ここはアドヴァイスのとおり、友里の記事が本業に芝浦工業大学教授としての名誉を棄損したのかどうか、それとも本業より副業の日本酒、食材、飲食店関係者との人脈形成に力を入れ過ぎている古川修氏の行状が大学教授として真っ当な行為なのかどうか、「学長」に聞いてみたいところであります。
芝浦工業大学「学長」・平田 賢氏はこんなつまらない係争に、自大学の現役教授が原告として関与しているとは夢にも思っていないことでしょう。