東京のフレンチは大丈夫か

未曾有の不景気は飲食店業界にも大きな影響を及ぼしているようです。以前、この1年で東京のフレンチは半減するのではないか、とオーバーな発言をした記憶がありますが、客が半減している店は少なくないようです。
あの勝ち組のトップに位置する「ロオジエ」、土曜の昼を除いて予約が取りやすくなったのではないか。以前のように何ヶ月も前に焦って電話しなくても、割と簡単に予約が入れられるようです。
「ロオジエ」の場合は、不景気だけではなくメナール氏の料理に疑問を持つ客も増えてきたのが一因ではないかと私は思っておりますけど。
そして先日行った銀座のフレンチ。グランメゾン級の規模を誇るビル最上階のレストラン(ベージュではありません)ですが、私は初めてホールの「貸し切り」を経験させていただきました。
客は我々以外ゼロ。居酒屋のような喧騒なホールも何ですが、ここまで寂しいフレンチというのもいかがなものか。
店側は「たまたま」とエクスキューズしていましたが、普段も盛況だとは業界筋から聞いたことがありません。
景気が底を打ったとの大本営発表がありましたが、実際の不景気はこれからだとの話もあります。こんな短期間(半年余り)で底を打って上昇に転じるレベルの不景気ならば、「100年に一度」とまで言われるはずがない。
これからが不景気の本場と考えるならば飲食店、とくにフレンチ(特に大箱)と宴会型中国料理(銀座や赤坂の大箱有名店)の今後は厳しいものがあると考えます。
この2つのジャンル(フレンチと中国料理:辛い四川は除く)は夏場に集客力を失いますから、まずは如何に乗り切って秋冬のシーズンへ繋げるかでありましょう。
フレンチにはもう1つ問題があると思います。
低温調理全盛のフレンチ(イタリアンや和食でも出てきていますが)ですが、この調理法に頼りすぎて大丈夫か。巷では「何を食べてもおんなじ。もういい加減に飽きてきた」といった話を聞くことがあります。東京や大阪の人気店、「カンテサンス」や「hajime」を対象にした話であります。
火入れの失敗を限りなくゼロにするため、そして実際は誰がやってもある程度のレベル(オコチャマもブログで自慢していました)が期待できる低温調理、日本人は熱しやすく冷めやすいのはミシュランガイドの不人気で証明済みなだけに、いつまで持つか興味があります。
今は猫も杓子も「低温ロースト」に奔っていますが、この時期にこそ「逆張り」といいますか「炭火焼き」、「ソテー」、「普通のロースト」など他の調理法で「低温調理」に対抗する料理人が出てきても良いのではないか。(鉄板調理は除く)
真の火入れ技術で「低温調理」に引導を渡す料理人の出現を私は期待します。
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