本名を明かさない覆面は卑怯なのか

一昨日のブログで、拙著「グルメの嘘」(新潮新書)についたアマゾンのレビューについて取り上げました。

本業や本名明かさず、副業で店を批評するのは「ヘタレ」ではないか

というレビューに対して反論させていただきまして、友里の数少ないシンパの方々がクリックされたからか、件のレビュー、22日5時現在(現地で)で賛同がわずか

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と散々な結果。アマゾンベスト1000レビュアー「ゆりさ信介」氏にとっては不名誉な結果となってしまい申し訳ない気持ちで一杯です。

しかし「ゆりさ信介」氏の意見に賛同された方もいらっしゃいまして、友里の反論に異を唱える書き込みが掲示板に連続で書き込まれましたの。
よって本日はこの書き込みに対して更なる反論をさせていただきます。まずは以下の書き込みをご覧下さい。

http://tomosato.net/test/read.cgi/bbs/1276774338/88n
http://tomosato.net/test/read.cgi/bbs/1276774338/93-97n

彼が私が取り上げた店関係者ではない普通の読者の方だとしたら、かなり気合いが入っているとしか言いようのない連続投稿。ご主旨は

店はイメージダウンするので反論や訴訟ができない
本業が安泰の奴が副業で、本業(レストラン)を批判して生活を脅かすのは卑怯である
本業(友里の本名)vs本業(レストラン)ではじめてイーヴンな立場になる

この方の主張の骨子は次の文章にすべて表されているのでしょう。現状の友里とレストランの関係は、

今の友里さんとレストランの関係は「副業、つまりは批評活動がポシャッても生活するには困らないvs本業(本名)、つまりこれが批判被害を受けると生活に困る(店に対して被害をこうむる、または名誉を傷つけられる。」となってます。

と、この方の軸足は完全に店側に入っていることがわかります。一般読者がこんなことまで考えるとは思えません。

確かに訴訟や公でのクレームは、更に注目を浴びてしまう可能性があり、店としてはやりにくいかもしれない。しかしそれは客も同じ事なのです。
言っていること(ヨイショライターを通して垂れ流す宣伝)とやっていること(実際の料理やサービス)が違って損したと思った一般客、彼らも訴訟できず公にクレームする機会もなく、泣き寝入りするしかないではないか。
訴訟なんて時間と費用がかかりますから出来ませんし、クレームも面と向かってさえしにくいでしょう。
「食べログ」に書き込んでも、店側に不利なレビューは削除対象になります。

つまり、ヨイショライターなどマスコミを利用しているレストランと一般客は、それこそイーヴンではないのです。今の状態ではレストランはやりたい放題。

また彼の主張から、レストランはイメージダウンを心配してクレームや訴訟が出来ないというならば、私が本業や本名を明かしても、訴訟すること自体がイメージダウンになるはずですから、意味ないではないか。
友里が間違ったことやデタラメを言って店の信用を貶めたならば、堂々と訴訟をすれば良い。レストラン側に問題がなければ訴訟は有利に進み、決してイメージダウンになることはありません。

現に、私は古川修氏から提訴され敗訴しております。名誉毀損ライターとしてネットで揶揄されて友里はイメージダウン、逆に古川氏はメディア関連に勝利宣言を送って更に溜飲を下げました。ただし私の記事内容は、デタラメや間違いではないと今でも思っております。表現がきつかっただけです。

要は、自分に一点の曇りもないと思うなら堂々とペンネーム相手でも訴えることができるということ。
換言すれば、自分(レストラン)に疚しい問題があるから公にしたくない、訴訟して墓穴を掘りたくない、ということではないか。
私が本名を明かしても明かさなくても、訴訟をする、しないには何ら関係がないのですが、他に攻める所がないので、すり替えて友里の覆面を糾弾しているだけ。だいたい、副業と覆面をごっちゃにしたこの主張、私には意味がわかりません。

批判や批評(デタラメや間違いではないのに)は、直ちに店が被害を受け生活に困ると言っておりますが、批評や批判を受けずレストランを野放しにしてそれで良いと思っているのでしょうか。
ヨイショを信じるかどうかは読み手の判断だと言いながら、批判は読み手の判断を待たずに即事実だろうが事実でなかろうが店にダメージを与えるとの主張。こんなに自分に都合良く考えて良いものなのか。この方こそ、公平性が皆無と言っても過言ではないでしょう。
これほど店側に甘い勝手な主張はないのではないか。呆れてものが言えないとはこの事であります。

ミシュランガイドや「東京いい店うまい店」も執筆者や調査員は匿名で覆面。ミシュランの調査員は安い年俸だけでやっている本業でしょうが、「東京いい店うまい店」の執筆陣は副業で覆面ですから、友里と同じ立場ではないか。彼の理論なら、この2冊もイーヴンではないことになります。
要は覆面や副業といった指摘は単なるイチャモンで、「批評」や「批判」を許さない、封印したいというのが彼の主張だと私は考えます。
ミシュランや「東京いい店うまい店」には批評や批判と見られる記述がないですから。

現に、副業の放送作家は「ヨイショ」だからかまわないと言うようなことを書き込んでいますし。最初から覆面や副業などと持ち出さず、

レストランは批評や批判を書かれたらダメージを受けて経営を脅かされる。よってどんな事があっても批評や批判をするな。

こうはっきり言えば良いものを、副業や覆面の話を持ち出してくるから話がおかしくなるのです。

副業だろうが覆面だろうが関係ない。ヨイショや批評もすべて最終的には読み手の判断。レストラン業界だけがぬるま湯、いや特別な世界ではないということを、この方にはいつかご理解いただきたいと思います。?

文責のないアマゾンのレビュアーや同じく文責のない友里掲示板への書き込み人に対しても、友里は正面から真摯に向き合っております。
それだけ己のやっていることに自信を持っているという証左でありますが、レストラン関係者も本当に自信があるなら、批評だ、批判だ、副業だ、覆面だと騒がず、ドンと構えて対応して貰いたい。

レストラン業界だけがオミソじゃないんだぞ!

そんな手加減をしたら、本当に真面目に頑張っている料理人や経営者が逆に怒り狂うと私は考えます。