日刊ゲンダイのコラムが休載になったことと、弁護士費用の捻出で懐が苦しくなった背景もあり、店訪問のペースがかなり落ちてきました。そんな中で最近訪問した3店を簡単に書いてみます。
ラ・グラディスカ 西麻布
ピエモンテ州の店でミシュラン1つ星をとった日本人シェフが、日本へ凱旋して西麻布3丁目、あの「ル・ブルギニオン」近くにオープンしてきました。
ちゃちな門扉を見ながら狭い階段を地下へ。入り口ドアがガラスには思わず引けてしまいました。地下なのに天井が高いところは評価できますが、内装もちょっとチープか。
コースは6800円と8200円の2つ。前菜、パスタ、メインと選択肢が少ないのでアラカルトがいいでしょう。前菜は2千円前後、パスタは2200円以上、メインも3千円前後とやや高目。ピエモンテ料理らしきアイテムは、パスタのタヤリン、アニョーダプリン、メインの牛のバルベーラ煮込みなど。バーニャカウダはありませんが、アンチョビやニンニクをつかったサラダのようなものも造るようです。
パスタはタヤリンを頼みましたがなかなかおいしい。ホエー馬のラグーでしたが、アニョーダプリンも良さそうで、近隣のピエモンテ料理店、「トルナヴェント」の脅威になるかもしれません。
ただ、メインも他には子羊、豚など(最近流行の銘柄の記述なし)種類が少ないのが難点。
ワインリストもかなり貧弱。その割に支払いは1万5千円をはるかに超えてしまいましたから、サービス、ワインなど総合的な満足度を考えるとCPは今のところよくないと考えます。もう少し、前菜、メインと地元色を強めて、ワインを充実させ、値ごろ感を出したら長く盛況が続くのではないでしょうか。
クッチーナ ヒラタ
久々の訪問。以前から気になっていたのですが、マダムがちょっと元気がないように感じました。シェフも不在の時があるそうですが、もう「ヒラタ料理」として完成しているといっていいのか、定番がほとんどですが安定した料理を出し続けていると思います。価格が書いていないですがメニューも常備しちゃって、マダムのマシンガントークも聞かれなくなり、ちょっと残念。
ハル・ヤマシタ
やっと夜に訪問。5月一杯は5800円コースと聞いていましたが、メインに但馬牛ではなく純血熟成神戸牛や熟成厳選神戸牛を用意したコース、8800円、11000円がありました。
メインの牛質だけで倍半分の値付け。私は、神戸牛は但馬産の黒毛子牛を兵庫県内(三田、但馬、淡路など)で肥育した処女牛、去勢牛の総称をいうのかと思っていたので、但馬牛より神戸牛の方が高いのにはビックリしました。シェフの話では、本物の神戸牛が最高だとか。しかし、あの「あら皮」の肉は確かチャンピオンも含めて「三田牛」だったと記憶しているんですけど、この「純血」とはなんなのか。但馬牛で純血でない黒毛がいるものなのか。ご存知の方がいらっしゃいましたらご教授ください。
さて、当然一番安い5800円コースを頼みましたが、この店ではこれで充分です。いや、このコースだからこそ(この価格だからこそ)良いのだと思います。
生肉とイチゴのカクテル仕立ては、ナリサワの「フォアグラとイチゴのコンビネーション」よりミスマッチでしたが、熊取の水茄子(細かい地名付き)、能登のカンパチ(実際はカツオに変わっていました)、オーシャントラウト、サラダなどこの価格ではかなり満足というか美味しい。メインは但馬牛のロール焼き2片でしたが、〆のカレーも玉葱の味が利いていてほぼ満腹になりました。
なぜかワインがオーストラリアものしかないなど「?」なところもありますが、かなり飲んで一人1万数千円ですから、CP悪くないと思います。