批判派と擁護派の間でまったく論点が噛み合わない、乙武さんの銀座イタリアン入店拒否騒動

微妙な問題なので触れるなとの助言を色々いただいた乙武さん問題。
正確にはタイトルにある入店拒否ではなく、イタリアンシェフは

抱き上げて階段を上るのを拒否しただけ

なのであります。この段階ですでに乙武擁護派と批判派は土俵が食い違っているんですね。
確かに車イスユーザーだからとの理由で入店を拒否したら

差別以外の何ものでもない

のですが、騒動の発端は先に入店拒否ありきではなく

抱き上げて階段登ることを拒否

結果的には入店出来なかったのだから入店拒否だというのが擁護派の主張でありますが、先に「入店拒否」の文言を出すとかなり受け取り側の印象が操作されるのではないでしょうか。

昨日は厚労相までこの件について国会で答弁するほど事態は収束するどころか拡大の一途。

http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20130522-1131220.html

また、ツイッター上で和解したにもかかわらず、1日間の沈黙の後に乙武さんは自己弁護に徹した釈明文を出してしまいました。

http://ototake.com/mail/307/

書き出しが「軽率」、「冷静さを欠いていた」とあったので、大人の対応をしてくるのかと期待したのですが

(連れの女性が)泣きながら階段を駆けおりて
僕は、いまなぜこの人(シェフ)にケンカを売られているのだろう
他人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべる店主
なぜ(彼は)そんなウソをつくのか

と、事実の列記だけではなく掟破りの自分の単なる印象(早い話が読者への印象操作にも見えてしまう)を全面に出してしまいました。
こんなことを書いてしまって乙武さんは

大人を下げる(本当は「男を下げる」と書きたいのですが人権派から差別的と言われそうなので)

とは思わなかったのでしょうか。
1日間のツイッター沈黙(その後も発信数が激減)、そしてこの往生際が悪くみえる自己弁護釈明文を和解後に出したという経緯から友里が推測するに

想定外の逆風が吹いてしまった

からではないか。
この騒動、擁護派と批判派で論点がまったく噛み合っていない。(わざと噛み合わせない)
乙武さん批判側の

事前に車イスだと伝えるべきだ。また車イスユーザーには入店が無理な店(狭いとか人手が足りないなど)もある

との意見に

事前になぜ言わなければならないんだ
どんな店にも入店出来る権利がある。そうでなければ差別じゃないか

こんなやり合いじゃ、いつまで経っても両サイドは和解するはずがありません。
乙武さん自身

そもそも、僕はこれまで一度もそんなこと(事前に車イスだと連絡)をせずとも外食を楽しんできましたし・・・

というスタンスですから、擁護派が歩み寄るはずがない。

そこで友里は不思議に思ったのであります。

ひどく悲しい、人としての尊厳を傷つけられるような思いをする車いすユーザーがひとりでも減るように

とのツイートを見てもわかるように、障碍者の代表を自負する乙武さんでありますが、今回の騒動に関して友里の検索能力では

他の車イスユーザーの意見が見当たらない

のであります。

私も事前に連絡なんてしていない
どんな店でも入る権利はある

という人の発信を見つけることが出来ないんですね。今回のこの騒動、友里は

かえって車イスユーザーを萎縮させてしまう結果

になってしまったのではないかと心配するのであります。

友里ツイッター(https://twitter.com/TomosatoYuya)でも呟きましたが

「めいろま」さん、夏野剛さん

というツイッター上の有名人が極端な乙武さん擁護に奔り、あたかも

イギリスなど欧米と違って(乙武さん批判が堂々と出てくる)日本は非常識

みたいな発信を続けております。

https://twitter.com/May_Roma

https://twitter.com/tnatsu

友里も欧米人はそんなものなのかと思っていたのですが、なんと「めいろま」さん在住の、大好きなイギリスで、しかも車イスユーザーの方が、まったく異なる発言をしている記事を見つけてしまったのであります。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20130521-00025090/

車いす団体ホイール・パワーのマーティン・マクエルハトンさんは

ロンドンでも古いビルや小さなビルは障害者用のアクセスが確保されているわけではありません。事情は東京でも同じでしょう。
私がロンドンに行く場合、事前にスロープや障害者用トイレの有無を調べて、アクセスが十分に確保されていなければ別のレストランを予約するようにしています

更に

レストランはすべて障害者にとってアクセス可能とふるまうことは傲慢ととられるかもしれない。介助の訓練を受けていない人が運搬中に障害者を落とせば、訴訟沙汰になる恐れもある。彼のキャンペーンはそうしたことへの恐れを広げることになるかもしれない。僕なら介助に慣れた友人と一緒に行っただろう

「めいろま」さんよりイギリス在住歴が長いと思われるマーティン・マクエルハトンさんのこの発言に対し、「めいろま」さんや夏野剛さん、そして当事者の乙武洋匡さんはどう答えるのでしょうか。

何でも日本がまったくダメで、イギリスが最高なはずがない。
日本には日本の良いところ、例えば

謙譲の精神

健常者だけではなくどんな人もこの精神をもってすれば、世の中もっと穏やかになるのではないでしょうか。お前(友里)に言われたくないとのお叱りが予想できますけど・・・

極端すぎるこの手の「人権派」(批判派は偽善者と言うかも)が、かえって日本の真のバリアフリー(心のバリアも含めて)の足を引っ張ってしまっている可能性が高いと友里は考えます。