夜の新丸ビルと雨のミッドタウン

先日初めて夜の新丸ビルを訪問、また台風の影響で雨がちらついた週末のミッドタウンへも行ってみました。昼と夜では客入りが違うのか、オープン当初と客入りはどう変わってきたか、まずは夜の新丸ビルです。
新丸ビル
昼の繁盛店が必ずしも夜流行っているとは限らないことがわかりました。昼一番の人気店、あの多店舗展開会社が運営している店名の実態がなくなった「自由が丘グリル」、夜は行列はなく簡単に入店できるようです。天ぷらの「船橋屋」、蕎麦の「石月」、洋食の「レストラン大宮」も割と空いています。反面昼は客が入っているように見えない「酢重ダイニング」は居酒屋的なところがうけたのか満席に近かった。
オープン当初の勢いが落ちたのは「イル カランドリーノ」、「たる善」、「オー グー ド ジュール」などでしょう。広く一般受けする寿司ですが、CPが悪く感じるのか「たる善」は昼もあまり並んでいません。「カランドリーノ」も値付けが高いので1回転がやっとかも。「オー グー ド ジュール」や「イグレック」は高額フレンチに属する価格ですから今後も厳しいのではないか。観光客主体の再開発ビルで、高額フレンチの必要性を感じる食通やフレンチ好きがいるとは思えません。しかし、何を勘違いしたのか「オーグード」、本店や日本橋店より値付けを高くしているのではないか。地代が高いから仕方がないのかもしれませんが、同じフロアにフレンチが3軒と激戦の中、近くには焼鳥屋や串揚げ屋、オデン屋もあるこの環境でこの価格は無理というものです。北野ホテルの「イグレック」も厳しいでしょう。「オーグード」より強気の値付けは、東京のフレンチシーンをご存じない関西企業だからか。交詢ビルへ出店して苦戦している関西系レストランの現状を把握していなかったとしか思えません。
雨のミッドタウン
土曜日だというのに簡単に駐車できました。やはり観光客が主体なので訪問客は天候にかなり左右されるようです。昼時でも行列を作っているのはごくわずか。フードコート近くのイートインの店以外ではほとんどの店で空席が目立ちました。安い店でも苦戦しているようで、カジュアルゾーンでも、「wine & dining edesse」や「デリー」は客がまばら。「江戸切庵」や「今井屋茶寮」も簡単に入店できます。というか行列ができているのは「ナプレ」、「東京ハヤシライス倶楽部」、「コッポラ」くらいなもの。「可不可」のように最初から客入りの悪いところだけではなく、当初は行列があったガレリアの中・高額店も入店が簡単になっているようです。フレンチ「JJ」はかなり強気の値付けなんですが、この日は暇だったんでしょう、13時前だというのにジョエルさんが店外でブラブラしていました。
私は店経営者やシェフに言いたい。というか4年も前から言っているのですが、なぜ観光客をメイン訪問者と設定している「再開発ビル」に出店したがるのか。リピーターとなる食通や外食好きがそんな雰囲気を好むと思っているのか。わざわざ観光客の多いスポットへ食べに行きたいと思っているのか。観光客など一回限りの客だけでやっていけると思っているのか。家賃が高くてCP落ちるのが見え見えの店へ行きたがる食通や外食好きがいると思っているのか。
古くはアークヒルズに恵比寿ガーデン、ここ数年でいえば六本木ヒルズや交詢ビルをみれば、再開発ビルに出店した高額レストランの繁盛はほとんど夢物語に終わっているはずです。最近はデヴェロッパーも店側もいくらか勉強したからか高額店の出店は少なくなってきましたが、中級や低額の店でも営業時間や地代の制約から客には無駄な経費がかかりCPが悪化するのは避けられません。
ダイニング系のように数年で元を回収しようと考えない限り、再開発ビルへの出店は考え直した方がいいのは誰でもわかることなんですが、眼先の話題に釣られてしまう経営者やシェフが多いのが残念です。