読んでいる方が気恥ずかしくなるほど、特定の店、料理人、漁師、鴨生産者、酒造メーカーなどとの親しさを強調し、ヨイショしまくる古川修氏のコラム。知名度はそれほどあるとは思えないのですが、最近は有名人との付き合いや講演会の多さ自慢もでてきまして、ついつい立ち寄って目を通す友里であります。世に掃いて捨てるほどいるヨイショ系ライター、いい加減に淘汰、駆逐されるべきだと思うのですが、また一人勘違いしての「ヨイショ、煽りまくり」で純粋な読者を翻弄していると知ると、まことに残念であります。
その古川氏が、新著でJC共々駄目出しした「バードランド」の和田氏、そして「今半」の高岡氏とマスヒロさん系ヨイショライター・マッキー牧元氏と4人で行った「和牛料理 さんだ」を延々5日間にわたりグダグダ褒め称えておりましたので、よほどの店かとつい最近訪れたのです。
みすじ通りから路地にあるこの店はあまり目立ちません。東京カレンダーでは1階がカウンター、2階が座敷とあったのですが、一見だったからか、1階のテーブル席に案内されました。それにしても、予約の際、電話対応がよくなく気になっていたのですが、カウンター内の料理人も客を値踏みするような態度で
ちょっと引けてしまいました。
ポン酢のアキレス腱、中華風味の大動脈、ハチノスの胡麻和えが小皿ででてきたと思ってください。どこの部位だか聞こうとしたら、食べ終わってから教えると言う外人女性スタッフの言葉に憤慨しました。料理は見た目や先入観も大事な要素。闇鍋ではないのですから、内臓部位に詳しくない客には、最初に説明するべきものでしょう。強気の対応で、純粋な客をひれ伏せる戦略なのでしょうが、反発をくらうだけではないか。いずれも濃い味付けで、食感を楽しむだけでした。
軟骨の入った団子のスープ。あまり上品な味付けではなかったですね。スープに上品な旨みはありません。肺、子宮、雌の生殖器は造り置いているらしくやや乾燥気味。タルタルの山葵はチューブでしたから、JCも認めないか。(私はチューブで充分な料理だと思うのですけど)
レバ刺しは湯引きしているのか、2センチ四方角の小さいもので、味わいを楽しむものではありません。
はじめから温かったスジ煮込みに、ツメの緩いシチューにつづき、すい臓やほほ肉の焼き物がでてタンやシビレ、ギアナといった部位のシャブシャブから最後はその出汁でのラーメンで〆となります。
珍しい食感を経験できましたが、季節感をまったく感じないメニュー構成。6500円均一のコース1種とのことですが、ヨイショライターの宿命というか、不自然なほどの美辞麗句の飾り言葉で表現したこの「さんだ料理」。私や連れは再訪したいとはまったく感じない店でありました。
それにしても、あのラーメン。出汁の旨さが特筆ものだとありましたが、いつまでも続く旨みの余韻は「本だし」系ではないかと思ってしまいます。
よくもまあ、この店だけで5回もコラムが書けるかとただただ感心してしまいました。