先日取り上げました「喰切り 江ぐち」は「会員制」や「紹介制」と称し一見客お断りの店を装っておりましたが、今日取り上げる店は実際予約方法が面倒というか、店がイニシアチヴを握っていて予約が困難でありました。
「竹慈庵 なかだ」。
この和食店もデータを公開していません。しかし4月末までは、「東京カレンダー」を読んだ読者のために、メールでの予約を受け付けていました。氏名は勿論、連絡先から年齢まで申告すると店側からメール連絡があり、日時で合意すると初めてファックスで住所や連絡先の入った地図が送られてきます。一日の客数が限定されているらしく、当時でも1ヶ月は待ったでしょうか。今でもこのメール予約システムをとっているようですが、かなり先まで予約が入らないと聞きました。
松涛の住宅街にある2階建ての一軒家、富山のフレンチ出身の料理人が造る創作和食、千一夜の営業で店じまい、といかにも「キワ物」で、噂では「満寿泉」がスポンサーと聞きました。当然、良い先入観を持たずに訪問したのですが、食後感は良いほうへはずれたのです。
透明なトマト水につけたトコブシ、フォアグラの満寿泉漬け、レモンリゾット、干し貝柱と?O醤のカッペリーニなど「創作和食」の連続ですが、意外にも各料理は悪くありません。結構美味しいのです。「創作料理」を得意としない私ですが、同伴者ともその食材の取り合わせに驚き満足しながら食べ進んだのです。
特に〆の「マスの燻製の炊き込みご飯」は癖になりそうでした。これでコース1万5千円なのですから、同じ創作和食でも「堀兼」や「かどわき」とは雲泥の差の食後感。
しかし満足するものばかりではありません。酒類が高すぎるのです。小売5千円の「満寿泉」が2万円、ワインもレアや古いワインがありますが市場価格の4倍以上の値付けでした。
世界的にレアなワインでしたが、その売値がオークション価格からかなり乖離したリストを見ると、総合評価は高くはできません。
二人で「満寿泉」を1本と抑えたにもかかわらず5万円超の支払い。最終的なCPはかなり悪い店であります。
料理人の腕は良いのに、こんな無知な業界人向けの強気の価格設定では、優良な客を確保することが出来るのか。わずか3年半の限定営業ですから、オーナーは元を取ることしか考えていないのかもしれません。