出来もしないブラフは見ていて空しいだけ

本日8/2、銀座のグランメゾンが一時閉店の正式発表をすると聞いております。1階に入り口がある日本では珍しい真のグランメゾン(クレッセントも1階からでした)でありましたが、その後2年間ほど、まともな形態のグランメゾンは存在しなくなるでしょう。
しかし何故日本はモグラみたいに地下に潜るか、豚のように最上階へ上りたがるのか。普通の形態のレストランなら仕方ないですが、高額請求するグランメゾン、世界標準では考えられません。?

6月にNYを再訪してきましたが、たいていの有名高額店は1階にあります。変な商業地の4階にある「パ セ」は例外。
地代が高いから1階に入れないとの理由も聞きますが、NYの方が地代は高いのではないか。その割に料理代は日本より安く、下手するとスタッフ数も日本より多いはず。人件費が安いのかもしれませんが、日本のグランメゾンは経営が下手なのではないかと思ってしまいます。
もちろん欧州の高額店(というか普通の店でも)もほとんど1階に位置するはず。(ホテルの場合、2階はあるかも)
レストラン経営者はそろそろ考えを修正した方が良いと私は考えるのです。

さて昨日久々に「東京カレンダー 9月号」を読みまして、面白い記述を発見しました。
58ページ、エリア別ガイドの西麻布のとことの「霞町 すゑとみ」、なんと注釈に

当日キャンセルの場合、倍の金額を頂戴します

とありました。こんな事を宣言して実行できるのか。
海外の高額ホテルのように、予約時にクレジットカードでギャランティさせるとかデポジットをとるとかしないかぎり、キャンセル料をキャンセル客から徴収することが出来るはずがありません。(シカゴの「アリーニア」ではカードでのギャランティを要求されました)

キャンセルをした予約客が、自ら店の銀行口座へ振り込む、もしくは店へ現金を持参する、という奇特な人もいるかもしれませんが、ドタキャンするくらいですからそんな人は非常にレアではないか。
となると、店はドタキャン客に支払いの請求書を送り催促することになります。ビックリして支払いに応じる客が少しはいるかもしれませんが、それでもスルーする客にはどうするのか。

もう民事訴訟しか方法はないでしょう。料理代の倍ですからせいぜい10万円以内。少額訴訟なので簡易裁判所だと思いますが、クレジット会社であるまいし、簡裁で訴訟なんてする余裕が「すゑとみ」にあるとは思えないのです。
「エディション コージ シモムラ」でも、以前はキツイ表現でこのドタキャンペナルティを請求すると言っていましたが、最近は

当日のキャンセル、および、当日に人数が減った場合は、キャンセル料をいただく場合がございますのであらかじめご了承ください。

と表現が緩くなりました。恐らく批判が多かったのではないでしょうか。

現金商売で箱物商売(定数が決まっている)、しかも席数が少ない店は、確かにドタキャンは大きな痛手となります。身内の不幸や急病以外、絶対してはいけないものだと思っておりますが、この悪行が蔓延っていると聞きますから、日本の客の民度はかなり低い。

店側のドタキャンに対する懸念は充分に理解できるのですが、だからといって倍の罰金を取れもしないのに「頂戴する」との表記。他のほとんどの店がこのような事を宣言していないだけに、かえって店(主人)の度量の限界を晒してしまう結果となってイメージダウンになると思ってしまいます。