入ったビルで天国と地獄に分かれる

中元シーズンで各デパートはかなり混雑のようです。
しかし、この中元、歳暮の時期だけでなくても土日は駐車場がどこの店でも満杯になるほど盛況。
同じビルでも「交詢ビル」はいつでも駐車できますからえらい違いです。
その駐車場よりも差が大きいのが、飲食店フロアの満席度ではないでしょうか。平日はそれほどでもないでしょうが、土日は満席どころか何十分もの行列待ちは当たり前。満遍なくどんな店でも賑わっていますから、店側としては笑いが止まらないでしょう。
私が特に感心するのは伊勢丹本店です。ここの飲食店フロアは特に盛況感があり、よほどの忍耐力がなければ食事をすることができません。
この値段でよく恥ずかしげもなくこんなレベルの低い料理を出すなとあきれる「分とく山」。同じく高くてぱっとしない洋食屋「西櫻亭」に、ただの街場寿司屋の「魯山」など冷静になって食すればわざわざ並んで食べるほどのものではないことがわかるはずです。「チャヤ」、「天一」、「宮川」など本店もパットしないのに百貨店仕様に落としているのですからなおさらと言えるでしょう。
しかし、どれも満席。
同じ伊勢丹グループでもバーニーズが入っている「交詢ビル」はほとんどの店が未だに閑古鳥で、前にも述べましたが「オストラル」のように閉店したものまであります。(新聞によると、伊勢丹はバーニーズを売却するようです)
このような商業ビルでは、飲食店は集客力のあるところに入らなければならないのは当たり前のはず。そのビルで何時間か過ごすついでに食事をしなければならない客が、飲食店フロアに押し寄せるからです。ビルに客が入りにくい高級セレクトショップでは、その役を果たさないとオープン当時に私は述べました。シャネルビルやエルメスのビルに飲食店フロアを作っても客がはいらないのと同じです。
「アスター」に客が入るくらいですから、よりレベルの高い「離宮」や「趙楊」が同じところに入ったら、今のように閑散となる、昼の営業を見合わせる(趙楊が8月から)ようなことはなかったでしょう。
「逸喜優」も違った展開になったでしょう。「分とく山」と「やた」もレベル的には低いところを争っていますから、同じことが言えます。
つまり審査は厳しいでしょうけど、伊勢丹に入れれば天国、甘い誘いに乗って交詢ビルに間違って入ったために地獄、と商業ビルも真剣に選ばなければ大変なことになるという証左といえます。
しかし、客が来る商業ビルでも本店レベルの店にしてはいけません。客寄せに成功している店は、レベルを落としたディフュージョン版がほとんどだからです。
逆に商業ビルといっても、客が押し寄せないビル、たとえばエステやボディケアのビルでの飲食店は厳しい。予約主体の高額店ならば運営次第で対応できるでしょうが、多店舗展開会社の手抜きで金太郎飴的な料理(セントラルキッチンからの半完成料理をバイトが調理する)では客が入るはずがないと考えます。