中選挙区制の緩慢さ

ほとんどの人の予想通りと言ってしまっては何ですが、東京都議選の結果は「自民党の歴史的敗退」(TVより)でありました。
とはいえ自民と公明を合わせた議員数は62議席(読売新聞朝刊)と過半数(64議席)にわずか2つ足りないだけ。
惨敗といっても公明は変わらず(改選前よりは1名増えた)、自民党も10名減っただけです。白か黒か(当選か落選)のオセロゲーム(小選挙区制)ではなく、1つの区でも多いところでは8名の複数当選者をだす中選挙区制の緩いところに救われたからでしょうか。
小選挙区制が主体の次期衆院選に当てはめると、民主党の圧勝になるとの意見もありますが、私はそう簡単ではないと思います。
何事にも「揺り戻し」というものが働きます。都議選が圧勝と言われてしまうことで、国民は次期衆院選には民主党にブレーキをかける可能性があります。
後がない自民党は更になりふり構わず対応してくるでしょう。高級官僚の最後の抵抗も考えられます。昨日の結果に民主の次期衆院選候補予定者が浮かれているとしたら、それは民主党にとって取り返しがつかないことになるかもしれません。
ところですっかり陰が薄くなった東国原宮崎県知事。石原伸晃・自民党都連会長は敗因に関してTVで何度も「東国原氏を呼ぼうとしたりした自民党中央の迷走が間違いであった」といった発言をしていました。
人気取りのため東国原知事に声をかけたことで、「自民党は何をやっているんだ」とコアな支持者を呆れさせたことが主敗因と分析しているようです。
「私が出れば自民党を負けさせない」とまで自信を見せつけた東国原知事、自民党と自身へのここまでの逆風を計算していたでしょうか。
仮に次期衆院選で自民党が負けてもすぐに政界再編があるので自民党でもどこでもいいので何としても衆院議員になって乗り遅れないようにしておきたい(でも民主からは声がかからなかった)という東国原知事氏の思惑ですが、ここまで自民党含めて不人気では、「自民党を負けさるわけにはいかない」と本当に出馬する決断ができるかどうか。
なんだか撤退するような雰囲気もありますが、出馬しても地獄、撤退してもみっともなくて地獄、と今回の騒動で化けの皮が剥がれたというか、かなり商品価値を落としてしまったと考えます。
飲食店だけではなくすべてに言えることですが、「欲」を出し過ぎる、「分相応」を超える望みを抱く、ということは長い目で見ると破綻への近道と言っても過言ではないでしょう。
世には「監視」というか「緊張感」が必要です。韓国はやり過ぎだとの意見もありますが、政権交代による前政権へのチェックは必須。知事を議会が厳しくチェックし、その議員を有権者がチェックする機能は健全に働かなければなりません。
飲食店でも客だけではなく板長やシェフも緊張感を持たなければならないのと同じであります。
任期残り2年の傲岸不遜知事・石原慎太郎氏、今後の都政運営に苦労した上、オリンピックの招致にも失敗でもしたら、晩節を汚すことになるでしょう。2期でやめておけば良かった、と後悔しても遅いのですが、自身の「賞味期限切れ」を自覚していなかったと言ってしまえばそれまでです。
個人的には築地市場の移転の凍結というか撤回と、新東京銀行問題の真相解明に期待しております。
友里掲示板
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