不満だったら実力証明して

先週の夕刊フジのミシュランネタ記事の見出しであります。ミシュラン権威失墜の総責任者ナレ氏と40分にわたる単独インタビューが掲載されていました。
「星の数が少ないことを不満とするシェフが出るのは仕方ない。不満だったら次の年に「実力を」証明してほしい」と述べています。
確かに不満のシェフの中には真の実力が不足している店もあるでしょう。しかし、「森本XEX」やホテルの鉄板焼、「田はら」に星を与えてしまったミシュラン調査員こそ「実力のなさ」をさらけ出してしまっていると言えないか。
欧州人3人の調査員はベテラン、2名の日本人も欧州で修業してミシュランの基準を学んでいる。よって掲載された日本料理店はミシュランの基準で選んだお勧めできるところ、と胸を張っておりました。
しかしこのミシュランの評価基準そのものが和食に対応できないという根本的な問題点を理解していないナレ氏。例えて言えば、ミュージカル評論家がいきなり来日して「ミュージカル基準」で歌舞伎を評価しようとしているようなものです。わかるわけがありません。
また調査員は週に6日、昼夜食事をして年間400?600回食べているので1800軒の調査は可能だったと述べています。しかし東京の有名店、特に鮨や和食は昼営業していない店が多いのを知らないのか。小さなオーナー店ではないグランメゾン系など規模の大きい店では、昼はシェフが出ていないことがあるのは周知の事実。ランチだけでその店を判断することは難しいのですが、その辺の事情をナレ氏がご存じないのは、「食」ではなくホテル関係の経歴が主体なので仕方ないのかもしれません。
年に600回も外食できるという調査員の「鉄の胃」は認めますが、「鉄の舌」で味がわからないのではないかと指摘されたらどうするのか。自分は大丈夫だ、経験ある、実力もある、という「行った者勝ち」の定則はミシュランでも健在でした。
弁解すればするほど、強弁すればするほど粗が見えてしまうミシュラン東京版であります。先月の熱気があっという間に冷めてしまってマスコミの注目度が激減したので焦って夕刊紙の単独インタビューに応じたのかもしれません。
さて本日はもう一つミシュランネタです。読者の方から教えていただいたSPAの記事からです。
いまある人たちの間で「ミシュランゲーム」なるものが流行っているそうです。
欧州人に見える外人を連れて2名で店を訪問し、調査員になりすますゲームだとか。メニューを凝視する、店内をゆっくり見回しヒソヒソと囁き合う。そうすると店側からにじり寄ってきてサービス料理が出てくるなど特別待遇を楽しむそうです。
これが本当の話だったら、ミシュラン調査員だけではなく日本のお店のレベルも高くはないということでしょうか。