ミシュラン東京 2010年

既にご覧になっているでしょう2010年版東京星付き店。
「濱田屋」の2つ星降格が話題になっていますが、もともとこの「濃い味料亭」、接待専門で3つ星取得後も予約が簡単に入りましたから、降格されても集客にさほど影響は出ないでしょう。一番無難な店を落としたと言えますが、大きな話題(つまり販促になる)となる「降格ネタ」は、もっと効果的に活用した方が良かったと思います。
小さな店には死活問題となるでしょうが、「かんだ」や「次郎」を落としたならもっと話題になり、更に売れる(現段階では書店に予約が入る)と考えます。

しかし3つ星だけではなく、2つ、1つも良くここまで乱発したと呆れを通り越して感心してしまいます。
貧すれば鈍するというのでしょうか、断末魔の足掻きと表すると言い過ぎかもしれませんが、何を血迷ったのかナレさん。ここまで星付き店を増やしたら、「有り難み」が激減するではないですか。
まわりの人がみんなエルメスやランゲを持っているようなものです。高いお金を出してまで買う気がなくなるように、わざわざ予約してまで行く気がなくなると言うものです。

朝方放送されたあるラジオ番組で語ったのですが、ますます売れなくなったので、せめて店関係者やその常連客に1冊でも多く買って貰おうと星を乱発したのではないでしょうか。
読者や一般客の目線で考えますと星乱発はクオリティの劣化だけを感じますが、該当する昇格店は別物。星付き店が増殖して価値が下がったことに気がつかず、嬉しくて経営者や料理人は縁者・親戚、そして関係者に配りまくるのではないか。常連客にも配布するかもしれません。
店関係者の購入に頼るのは関谷江里さんやJ.C.オカザワだけではなく「ミシュランよ、お前もか」であります。

個別に昇格店の感想をちょっと述べます。

?CPがウリの「えさき」、似非京料理の「幸村」などあり得ない3つ星。「鮨 さいとう」も悪くはないですが、6席しかない小キャパの店を掲載すること自体が間違い。

?アイコニック(1つ星)なんて「結婚披露宴会場」だと思っておりました。セレモニースペース(教会式の結婚式をあげる会場)まである凄いところです。私はランチで「ハンバーガー」を食べた記憶がありますが、過食のオコチャマを真似するならば「ありえなーい」であります。

アイコニックも客が少ないですが、閑古鳥のメッカ「タテルヨシノ 銀座」の1つ星も驚きです。オープン以来の客は友里征耶とミシュラン調査員だけではないか、といったジョークを言いたいです。

?初年度の選考に漏れて週刊誌に「恨み節」を吐露した早乙女さん。六本木店とともに見事1つ星になりましたが、選に漏れて批判していたのに1つ星をちらつかされて尻尾を振ったとしたら呆れるばかりであります。

まったく旨みのない奥久慈軍鶏の「バードランド」、弱い火力で焼き上げる「たかはし」、ミシュラン調査員は高額和食だけではなく「焼き鳥」の経験も不足しているようです。

今回は居酒屋も選ばれたということですが、日本の調査員は和食系ではもっとも得意(訪問している)なジャンルが「居酒屋」と聞いております。「居酒屋」ならまともな評価が出来るのではないか。
サービス業に長年従事していたから仕方がないのですが、ミシュラン掲載和食は、いっそのことすべて「居酒屋」に特化した方が良いと私は考えます。