ミシュランガイドの実売数について 1

出版物の実売数はどうやって推測するのかご存じですか。ミシュランのナレさん(今年でミシュランガイド総責任者をリタイヤという噂もあります)が昨年言っていた

京都・大阪版は10万部

というのはあくまで印刷した部数でありまして、実際に客が買った実売数ではありません。
初版が売れたかのように増刷だと騒ぐ著者(友里、さとなお氏、関谷江里さんなど)がいますが、最近はわざと初版を抑えて発売直後に

増刷だ?!

と銘打って一般客を煽る手法も多いようです。もっと狡猾なのは、最初から初版と二刷りを同時に印刷してしまうという掟破りの手法でしょうか。
売り切れが長く続くと熱がさめてしまいますから、出版社としては早めに増刷という手を打つわけでして、増刷が続いたといっても初版が完売したという意味ではありません。

つまり、増刷したけど初版も含めて在庫の山、という事態も大いにありうるわけです。
また出版して時間もたたず

また増刷だ、?刷りだ

と騒ぐライター(たとえば友里、関谷江里さん、さおなお氏)もいますが、問題は初版の数とともに増刷する数であります。
初版が2000部で増刷が1000部ずつの場合と、初版が5000部で増刷が2000部ずつの場合では、同じ刷り数でもトータルの印刷数に大きな違いが出てくるのは誰でもわかることです。

本来ならば、初版は何部、増刷は何部とはっきり開示すればいいのですが、出版業界はディスクローズがお嫌いな業界のようで、そんなことをしている会社は皆無に近いのではないか。

世間一般に刷り数を開示しないだけならわかるのですが、出版社の中には著者にさえ何部刷ったかその数(初版や増刷)をはっきり言わない会社(一部です)までありますから驚きの業界でもあります。
ではなぜ著者にも刷り数を言わないのか。単純に考えると著者に支払う

印税をごまかしたいから

といった理由しか私には思い当たりません。
本日は何が言いたいかと申しますと、

刷り数さえはっきり開示していないのだから、実売数なんて一般人にはわかるはずがない

と言うことです。
ナレさんが「?万部刷った」と豪語していても、その半分が返品されていたら話になりませんよね。

では我々一般人だけではなく同業他社(出版業界)も実売数がまったくわからないかと言いますと、あるデータから日本全国の実売数をかなりの精度で推測する法則があるのです。この法則は出版業界の方には常識なのですが、一般にはそれほど知られておりません。

私はこの法則をある出版社の編集から知らされまして大変驚きました。
あくまで拙著(具体的な記述は勘弁)に限定してのことですが、この法則が表面上まったく当てはまらなかった。印税から算出した部数とこの法則を当てはめた推測実売数が倍半分であったからです。はっきり言うとその出版関係者から教えられた推測実売数が印税から算出した部数の

倍もあった

のです。
出版社によっては、担当する編集者や編集長も増刷部数を知らされない、いや増刷自体も知らされない場合があるということを聞きましたから、この業界(あくまで一部です)はある意味むちゃくちゃ閉鎖的であるとも言えます。

明日以降は、その推測実売数の法則がどのようなものなのか、そしてミシュランガイドをその法則に従って計算した結果の推測実売数(元データは出版関係の読者からいただきました)はどのくらいなのか、などを出来る限り具体的に(世間一般には公開されていませんので多少ボカします)述べてみたいと思います。

この原稿を書いている段階での、先週発売されたばかりの2011年ミシュランガイド京都・大阪・神戸版のアマゾンランキングは110位であります。神戸まで範囲を広げましたが、東京版と同じく2年目からはかなり失速しているように見えます。

明日につづく