トヨタの大転け

昨日トヨタが通期(連結)で1500億円の営業赤字になるとの大幅な下方修正を行いました。
修正前の予測は1兆6000億円の黒字でしたから、ここ数ヶ月の2回の下方修正で、1兆7500億円の急落下であります。
そこらの中小企業の営業予測ではなく、責任ある世界的企業が出した予測がこうまで激変したのは正に「異常事態」。
1500億円の赤字には、9月前、つまりリーマンショックから端を発した世界不況に影響されない5ヶ月間の順調な売り上げがあったはず。後期の損失が前期の黒字の足を引っ張るどころか消してしまった訳ですから、このまま世界の景気が上向かないならば来期は大変なことになるのがわかります。
2007年度の最高益に浮かれたわずか半年後のこの惨劇、これはトヨタ社員だけではなく日本全体で大ショックと言えるでしょう。
今の状態では奥田相談役も「マスコミに報復してやろうか」という暴言を吐く元気はないのではないか。
しかしこの発言は11月12日です。トヨタ首脳ならこの時点で急降下に気付いていると思うのですが、彼の辞書には「謙虚」という言葉がなかったのか。傲岸不遜を通り越して「脳天気」というか「ピエロ」であったことが今わかります。
この状態が続くと、単に不景気だから車の購入を控えようといったマインドにとどまらず、「車なんか必要ないのではないか」といった風潮が根付く可能性があります。そうなると、景気が反転しても車の購入数は景気悪化前に戻らいない?
なぜ人は次から次へと膨張を目指すのでしょうか。売れると工場を増やして増産する。それでも満足せず海外目指して進出する。そして海外で工場を増やして更なる増産体制に入る。
売り上げが増えたから規模が大きくなったのか、規模を大きくしたから売り上げを上げなければならなくなるのか。
ファミレスもそうですが、不景気になると大概の企業が切り売りや規模縮小に追い込まれます。景気は永遠に右肩上がりであり続けるはずがないのですが、この繰り返しを何回経験しても企業は膨張のチャレンジをやめません。
規模を大きくせず、次から次へと来る注文を断っても地道に経営する選択肢もあったはずでが、人間は「見栄」、「自己顕示欲」、「利益追求」を抑えきれないのでしょうか。
私はあまり上昇志向がないので、儲かったら規模を大きくするのではなく貯め込んでじっとしている道を選びますが、大企業のサラリーマン経営者は自己責任がないので、自分の見栄や報酬を上げるため、今後も懲りずに膨張を推し進めるのでしょう。