コロンボ「別れのワイン」 その2

題材が古かったからか、掲示板だけではなくメールでの問い合わせも思ったより少なかった「別れのワイン」。本日は最終回であります。
(このネタで3回以上引っ張るのは無理でしょう)
犯人であるエイドリアンがコロンボに言った「飲む2時間前に抜栓してワインに呼吸させる」という台詞。ドラマではどんなワインでも2時間前に抜栓して準備した方が良いような流れでありますが、本当でしょうか。
人間でも、幼子がいればはち切れんばかりの若い女性、酸いも甘いも知る熟女、そして老女もいます。ワインも例外ではありません。同じ年代(古くても)でも、生産地(ワイン名)の違いだけではなく保存状態でワインの味わいはマチマチです。なんとかの一つ覚えで2時間前に抜栓するのではなく、物によっては半日、いや何日も前に抜栓しなければならないワインもありましょうし、逆に開けてすぐ飲まなければヘタってしまうワインもあるのです。
このドラマ、非常に偏った視点での構成でまったくおかしい。
またアメリカの高級レストランでは、白ワイン、赤ワインで担当が異なるとは知りませんでした。日本ほどではないですが、そんなにワインの歴史がないアメリカで、フランスやイタリアでもあり得ない「白・赤」のソムリエ分業なんてやっているのでしょうか。
また高額レストランでは料理の価格表記がないとか。経験が少ない友里ですが、私の知る限り欧米でホスト側に対しても価格を表示しないメニューを出す店があるとは思えません。コロンボの居住地区限定の話なのでしょうか。
こんな放映をすると、真に受けてしまう視聴者がでるのではとかなり心配になってきます。
保管中に40度を超えたポートを飲んでクレームつけたエイドリアン。私の拙い知識では、ポートは数あるワインの中で熱に最も強いワインです。たかだか1日や2日45度くらいになったとしても、「酒精強化ワイン」が簡単に劣化するとは思えません。
喫水線の下に置くとのエクスキューズで、リーファー使わないで輸入していたインポーターが昔はかなりいました。赤道超えて40度にならなかったのかどうか、それを有り難く飲んでいたワイン好きも沢山いたのです。
そんな細かい事(40度超えてはダメ)を指摘する前に、牡蠣にモーゼル、肉にジンファンデルを合わせてもらって絶賛する「舌」の持ち主、エイドリアンを私は信用できません。
ジンファンデルを否定しない(料理に平気で合わせる)人に偉そうな事を言われたくないと思う人は私だけではないでしょう。
飲んで確認しないで40度を超えたセラーにあったワインを次々海に捨てたエイドリアン(犯人)。何とかの一つ覚えというか、決めつけが激しいというか、まずは味見をするべきではないでしょうか。
私は昔、中東で寄港中に火災を起こした船に積まれていたワインを予定販売価格の半値で購入したことがあります。
先入観からか、熟成が進んでいるような気はしましたが、飲めないような劣化したワインは少なかった。
少々の加熱は熟成感を増やすだけのこともあるわけです。生半可と言いますか、このドラマはワイン業界の常識から言わせていただくと、かなりいい加減なことを連発していると考えます。
最後の場面。車内でコロンボとエイドリアンがデザートワインで乾杯してから警察(多分)へ向かうところでドラマは終了します。
おいおい、ドラマで「飲酒運転」(コロンボが運転)を推奨して良いのかとここでもまた突っ込みたくなりました。
重箱の隅をつつくイチャモンと言うアンチもいるでしょうが、ワイン好きから見てあまりに「思い込み激しい」、「間違っている」描写の数々。見てしまったからには問題提起せざるを得ない友里でした。
友里掲示板
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