クレアの紹介記事はアテにならない!

ツイッターとは便利なものですね。パリにいて「アイアンシェフ」が見られなかったのですが、読者の方々のツイートでオンタイムに近く状況を知ることができました。

予想通り鉄人が2名とも挑戦者をはね飛ばしたようですが、先週末に収録した和の鉄人・黒木氏の登場はなかったとのこと。2回の対戦で食材が鮭とアグー豚とのことでしたから、来週の放送で黒木氏は

トリュフか、ラングスティーヌか、ジャガイモ

の題材での戦いを見せてくれることでありましょう。

さてこの原稿はトリノ空港からアルバ近郊のホテルへ向かう車の中で書きあげました。外はあいにくの雨、かなり強く降っています。

ツイッターではほぼオンタイムに訪問した店をツイートしているのですが、やはり詳細というか友里の性格がにじみ出る語り口での店辛口評価はブログでなければなりません。
本日は文藝春秋社の雑誌「クレア」に釣られて訪問したパリにあるビストロの辛口評価であります。

その店とは、ソースたっぷりで美味しそうな料理写真に釣られて予約したのは肉料理がメインのビストロ

Les Gourmets des Ternes

でありました。

Les Gourmets des Ternes

 

フランスのディナー時ではまだ早い20時だというのに店内はかなりの熱気でありました。

クレアにでていた店主だけではなく他のスタッフも忙しいのか、友里の訪問をわかっていながら入口に放置されたまま席へ案内してくれません。嫌な予感がした瞬間であります。
一昨年辺りから人気のビストロを訪問しておりますが、このような対応は初めてだったからであります。

しばらくして入口から2番目というイマイチな席に案内された友里、隣席にいた日本人カップルに声をかけられたのであります。

メニューと同時にクレアを持ってきますよ

なんとこの店主、日本人客には釣り道具の雑誌を出してくるのです。

でもこの店主、クレアで大きく取り上げていたので予約時から注文を決めていた料理(牛リブロースのグリル 赤ワインソース 骨随添え)ではなく、牛ヒレ肉の胡椒ソースの料理写真(雑誌では小さい扱い)を指して開口一番

これを頼め

みたいなことをいうのです。
この時点で「性格に難がある」とのファーストインプレッションが確信へとかわり始めたのであります。

そうはいっても、クリーム仕立ての胡椒ソースはカロリー多そうで嫌。前菜のエスカルゴを頼んでから、メインはこの牛リブロースのグリルを指さしたのですが、店主は首を振って

牛ヒレ胡椒ソース

を頼めと譲りません。この不自然な対応に

ヒレ肉が余りすぎているのか

と察知した友里、頑として店主のオファーを受け付けず、粘りに粘って何とかオーダーを納得させたのであります。

まずはエスカルゴ6ヶ。どこにでもあるブルゴーニュ風でして、味付けそのものはまったく凡庸。というかちょっと緩いのではないか。

エスカルゴ

 

そしていよいよメインの牛ロースが登場してきたのであります。

 

牛リブロースのグリル 赤ワインソース 骨随添え

 

肉自体300gがあろうかと思われるビッグポーション。早速ナイフをいれ、ソースをたっぷりつけて口に含んだのですが

おいおい、味がほとんどしないではないか

上記写真の通り、色は濃いんですけどツメが緩すぎるのかソース自体の存在感なし。これなら

岸田風ソースなし調理

の方がマシではないか。

よく取材の撮影では「味をつけない」料理を造ると聞きますが、今回のこの牛リブロース、そんな調理ではないかと思うほどソースも、そして肝心の肉の旨みも期待外れに終わったのであります。骨随もなんか脂カスみたいでありました。

また牛リブロースに添えられたフライドポテト、クレアは

止まらないおいしさ

と絶賛していましたが、塩が足りなくこれならマックの方が美味しいかも。

フライドポテト

 

店の性格を表していたのは店主だけではありません。ワインリストを要求してもってきた男性スタッフ、リストの一番高いペトリュスを指さして

これはどうか

みたいな態度をとってくるんですね。3800ユーロのワインでして、こんな雰囲気の店に置いていることも不自然に感じましたが、なんとも嫌な対応であったのです。

店主悪けりゃスタッフも悪い

でも安いワインを頼むのは癪だったので、ボルドースーパー2級のセカンドを頼んだのであります。

この手の紹介記事を掲載する場合、日本の出版社はかなり高飛車にでてくると聞いたことがあります。

掲載してやるよ

といったところでしょうか。

毎日盛況で本当に繁盛している性格のよい店が、そんな極東の島国出版社を相手にするはずがないとあらためて思ったのであります。

日本人客は友里をいれて2組だけ。あとはスーツやネクタイをした地元民が多かったですが、彼らはクレアに載っていない料理を食べておりました。
牛リブロースの赤ワインソースや胡椒クリームソースを食べている地元民は見かけなかった。

おそらくクレアは地元民に人気がない料理を押しつけられ宣伝に利用されたのではないでしょうか。
そういえば隣の日本人客

クレアには単純な牛リブロースのグリル(24ユーロ 赤ワインソースなどなし)があると書いてあったけど、頼もうとしたら「ない」と言われた

クレアなど出版社は、取材内容に少しは責任を持つべきではないでしょうか。店主の性格も勘案するべきであります。
このお店、日本人だけで訪問するのは避けた方が良いと考えます。

最後に。最近は店予約をアメックス経由にしているのですが、席的には3つ星はじめそこそこ良いところを用意してくれます。先日のギィ・サヴォアも真ん中のホールでしたが、奥の隅でした。

でもこの店もアメックス経由なんですが、席位置から考えても日本人客を舐めていると考えざるを得ませんね。