「ミシュランガイドの裏事情を語る」を読んで

大仰なタイトルの4人対談、月刊プレイボーイ3月号の特集です。
山本益博氏、宇田川悟氏、横川潤氏、伊藤章良氏ですが、マスヒロさん以外ミシュランの裏事情なんて知らないと思うのですが、いちいち文句を言っても仕方ありません。
マスヒロさんは、「北島亭」や「コート・ドール」の不掲載の理由は、10年、15年、20年前と変わらない時間が止まった料理だから評価しなかった、と発言しています。
でもロブションだって、現役引退して何年経っているのでしょうか。「ジョエル・ロブション」で食べた多皿コースには、現役時代のスペシャリテがかなり紛れ込んでいたと記憶しているのですが、お気に入りのフレンチシェフは時間が止まっていてもいいのでしょうか。確か「最高の状態でやめたい」と1996年に現役引退したはずです。
パリの3つ星、「ルドワイヤン」も、3つ星とってから同じようなスペシャリテのコースを出していると思います。3つ星「ブラス」だって昔のスペシャリテ、多いですし。
私が漏れ聞いた話によりますと、「ル・マンジュ・トゥー」と昵懇の調査員は、昔から「コート・ドール」を毛嫌いしていたとか。この情報が本当なら、斉須さんの店が掲載どころか調査対象にのるはずがありません。
また、明細を出さない「次郎」擁護として、「ネタの仕入れは毎日変動があるから、コースの中にうまく高いものと安いものを混ぜてお客さんに迷惑かからないようにしながら、採算取っているんです。」と言っています。
どうせこの雑誌の読者は「次郎」へなど行っていないだろうと高をくくっているとしか思えない発言です。自腹かどうかは別にして頻繁に通っているマスヒロさんには到底及びませんが、私の少ない経験では、「お任せ」では同じ時期ならば出るネタはほとんど変わりません。
高いネタと言えばまず鮪。これは余程でない限り、3種出るはずです。アナゴ、海老、コハダ、玉子、イクラ、ウニなども季節にそれほど関係なく定番であるはず。確かに白身や光ものは季節によって違うでしょうが、それでも同じ時期ではほとんど出るタネに違いはないはず。しかし、毎日仕入れ値は変わっています。
どうしてこんなに詭弁を弄して「次郎」の営業方針を擁護する必要があるのか。
我々が要求する「明細」とは、1ヶづつの価格ではありません。次郎のようにほとんど「お任せ握り」に特化している鮨屋なら、数種頼んだツマミネタの追加がいくらなのか、追加で頼んだ握りがいくらなのか、「カモヅル」は1本いくらなのか、聞かれたときくらい誰でも納得する答えを準備しておく必要があると言っているだけであります。
「明細を出さない」ではなく、「適当にやっている」というならば、客も逆に納得すると思うんですけど。
ネタの種類を変えているのではなく、仕入れ値の変動で、「タネ質」を変えているというならこれまた納得します。
次回は口が滑ったのでしょうが、一般読者と一般客をバカにしたマスヒロさんの発言についてです。