「シェ フィガロ」閉店

西麻布近辺を歩いていて2店の閉店を知りました。まずは「フィガロ」。
何十年も続いたフレンチの老舗でしたが、この数年は客が入っていたかどうか。数年前に試しで入った時も、客は居ませんでした。入り口のテーブルには片付けていない皿が散乱しており、スタッフやシェフのモチベーションの低さを感じたものでした。料理もとても人におススメできるレベルとは思えなかったので、この客入りの悪さでよくやっていけるものだと感心していたものです。
やはり無理だったのでしょうか、1月末をもって閉店したとの張り紙をみましたが、そのときこの店に姉妹店がありそれが青山の「ブラッスリー フィガロ」であると知りました。入ったことはありませんが、このブラッスリーは内装などがまったく異なる店。客もそこそこ入っているように見えます。
撤退の判断が遅かったように私は感じました。
もう一店は「キッチン ヌノ」。まったくの街場の洋風食堂なのですが、山本益博氏が何を血迷ったかここの料理を絶賛していました。それほど取り上げる店のネタに苦労しているとは知りませんでした。私も何回か食べたことがあるのですが、普通の定食屋のレベルで可もなく不可もない店です。
結構昼夜客が入っているように見えたのですが、それでも閉店となっておりました。
確か「フィガロ」もマスヒロさんが絶賛していました。彼が絶賛した店が閉店となるとは皮肉です。
私が考えるにこの西麻布地帯、特に4丁目が「賞味期限切れ」に近いのではないか。ほとんどの店が順調でないように思えます。勝ち組は、「和心」、「すゑとみ」、「ドラシテ」、「鳥よし」くらいではないでしょうか。
この数年で入ってはすぐ閉店を繰り返している4階建ての小さなビル。現在は「博多チムそば」になっておりますがこれまた客が入っておりません。博多の屋台料理のようなものも出しているようで客単価は
2千円くらいでしょうか。
先日試しに入ってみましたが、夜は黙っていても300円のお通しがついてきます。これが玉子、しなちく、豚など結構ボリュームがあり食べるのに大変。飲み食いした後ちょっとソバを食べたいだけの客には
財布とお腹の負担になります。意味が無い。
酢モツ、西のそば と500円前後も食べて、客の来ない理由がすぐわかりました。美味しくない。
こういう価格帯の店では、客は正直に反応するということでしょう。
グルメブームで安易に店が増殖しているようですが、閉店している店もかなりあるという事実。
雑誌、マスヒロさん、そしてヨイショライターたちは決して触れないテーマですが、本当に料理人や店側の為を思うならば、なぜ流行るのか、流行らないのか、に斬り込まなければならないと考えます。
本日、読者の方(フレンチのシェフだそうです)から、新著の企画としてそのような事に踏み込んだものも書いたらいいとのアドヴァイスをいただきました。
私の持論は、「飲食店はそんなに儲かる事業ではない。儲けようとすると客が来なくなる」です。
この考えをベースに、できれば理論的に考えてみたいと思います。
まだまだ色々とアドヴァイスをいただいております。ここにあらためて御礼申し上げます。
と、アイデアは溜まってきたのですが、肝心の出版編集者からの連絡が途絶えております。また、稟議でボツになったのか、今回は読者を巻き込んでしまっているだけに心配です。