Where is ミスター三鴨?

読者の方からリエーブル(野ウサギ)料理のお誘いを受けました。
現在はフランスから仕入れることが出来ないので(未だ口蹄疫で輸入禁止のようですよ、伊藤章良さん)、日本の野ウサギが手に入ったら(東京へ持って行かれるので地方にはなかなか来ない)造るというシェフがいらっしゃるそうです。
タイミングが合えば伺ってみたいと返事を出しましたが、本日あらためてリエーブルについて考えてみました。

リエーブル料理(ア・ラ・ロワイヤル)が好きだと思っていた友里、今年もパリはル・ブリストルで注文しました。
昨年は鰹出汁を使用しているかと思うような(メートルはカカオと言っておりました)風味もあってか、濃厚ではなく繊細でありましたが変な癖もなくそれなりに美味しくいただいたのですが、今年はダメ。調理法を変えたのか変に濃厚なのにかなり臭すぎ。はっきり言って期待はずれとなったのです。
世界の3つ星シェフの店の料理が美味しくないはずがなく、友里の舌の嗜好が変わってしまったのかとも考えてしまいました。

そう言えば最近美味しいと思ったリエーブルを食べた記憶がない

シェフの腕があると気に入っている店で造ってもらったリエーブルをここ数年何店かで食べましたが、イメージが違うというか満足して食べ終えていなかったのです。

こんな味わいだっただろうか

私が記憶に残る(美味しいと感じた)リエーブルで一番に思いだすのは、友里と因縁があったと業界で言われた恵比寿の「ル・レストラン・ドゥ・レトワール」の三鴨シェフの「ロワイヤル」であります。
閉店となる数年はいくらかクオリティが落ちたと感じましたが、毎年楽しみにしていた名物料理でありました。その他では、ボリーさんのリエーブル(確か食べたと記憶)も良かったかなと。
つまり滅多に美味しいと思えるリエーブル料理に出会っていなかったのです。

なかなか手に入らない食材をやっと手に入れてすぐ調理して、うまく料理として出せるものなのか

今回の読者からのお誘いで真っ先に思ったのはこのことであります。東京へ持って行かれてなかなか手に入らない野ウサギを、やっと手に入れてすぐ客に出せるような料理として完成することが出来るのでしょうか。
普通は試行錯誤を繰り返して自分流の料理を造り上げていくと思います。昔フランス産で何回も経験してレシピはじめ技術は習得済みとしても、日本産とは個性が違うはずなので、全く同じ調理では対応できないのではないか。イメージ的には国産の野ウサギの方が淡泊なような気がしますし。

やはりこのような手間がかかる料理は、経験や慣れが必須であると考えます。そこで思い出したのがタイトルにある三鴨シェフであります。

性格の悪い料理人の店にうまいものなし

拙著にサインをたまに求められることがあるのですが、好んで書くのがこのフレーズです。そして以前から申しているのですが、この定説の数少ない例外が三鴨シェフ。
性格が悪いというのが正解かどうかわかりませんが、難しい性格で独特の客あしらいが不評だったのは事実。でもロワイヤルは本当に美味しかったんです。
「レトワール」を閉めてから葉山?のブティックホテル(バンケット主体)の料理長に就任していると聞いておりましたが、それもやめてしまったと業界関係者から今年になって聞きました。

歳をとることによって人は丸くなるもの。今はもう尖っていない可能性のある三鴨シェフのロワイヤルが食べたいなと思ったのであります。
どなたか、彼の消息をご存じの方がいらっしゃったら、掲示板にでもよろしくお願いします。