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さて先日、信頼できる知人から面白いネタを入手しました。
都心で雑誌には載らないながら評価の高い若手の主人の鮨屋でのこと。
常連客と主人の会話だそうです。
常連「和食の連中の仕込みや修業は半端でなく大変らしいね」
主人「そうなんですよ。和食の連中は覚えることもかなり多く大変らしいですね。
仕込みもふくめて和食に比べたら鮨は楽ですよ。鮨の連中ではつとまりません」
最近は和食の分野でも30歳前後の若手が独立して店を構えるようになりましたが、和食の修業歴のないことをウリにする料理人はないでしょう。そんな店、誰も行きません。
反面、鮨屋では何回も書きましたが、修業歴が数年、数ヶ月、いや和食で修業したが鮨屋での修業経験なしを堂々とウリにしている店があるくらい、修業歴はあまり重要視されていません。
「さわ田」、「なかむら」などがそれに相当しますが、他に江戸前拘りの有名店や老舗店でない、まったくの街場寿司出身でも評判になっている店もあります。銀座の「くわ野」なんかそうですね。
評判の鮨屋の主人が和食と比べられないくらいレパートリーもなく楽だと認めてしまっている鮨屋の仕込み。
鮨屋はシビアに評価されるお椀など出汁に神経を使うことはありません。
焼き物の技術にしても、穴子くらいでしょうが、この炙りを厨房奥の若い衆や女将に任せている鮨屋が
ほとんどですから、たいした技術は必要ないようです。
煮物といってもハマグリや穴子、烏賊くらい。蒸し物は鮑くらいか。
扱うタネもかなり限られていますし、基本は握り鮨だけ。下手に変わったタネやツマミ料理を考えたら、
江戸前鮨ではないと批判されてしまうくらい、ワンパターンな仕事の業界です。
「江戸前」は「男前」に通ずるとか変なことを言い出してヨイショする山本益博氏、鮨技術を必要以上に
拡大評価、神聖化した里見真三氏。
和食よりぜんぜん楽と発言する評判鮨店主人、修業歴の少ないもしくはない鮨屋が、「次郎」などの古手のお気に入り鮨屋とたいして食後感の変わらない鮨を提供している現実をどうお考えなのでしょうか。
鮨はタネ質が一番、酢飯や握り、仕事の技術は二の次だということではないでしょうか。