本日のブログは昨日の続きであります。
イントロが長くなりましたが、一般に鮨屋の原価率が高いと言われておりまして、銀座へ移転してきた高額鮨屋(現在は客単価4万円前後)の主人は、「うちの原価率は50%を超えている」と豪語、さも利益を出さないで客に還元しているように吠えていますが本当でしょうか。
前述のように高額鮨屋は小キャパであります。ただでさえ原価率を上げても成り立つ背景があるのですが、それに加えて鮨屋独特の環境が更なる高原価率化、いや高利益化を後押ししているのです。
高額鮨屋の店内を思い浮かべてください。店のスタッフは主人と女将の二 名だけの店が多いのではないか。居ても給料の安い若い衆が一人か二人であります。
次に厨房機器に注目です。鮨屋のカウンター内(いわゆる鮨職人の働き場)は「つけ場」と呼ばれ、調理ではなく「つけ込み」をするだけ。必要な設備は、水回りと穴子の炙り用のガスコンロだけで充分。カセットコンロでも代用可であります。
あとは包丁とまな板にカウンター&椅子だけ。白木のカウンターなら何百万円もすると言われますが、他のジャンルの店(特に洋もの)に必要なグリルやオーブンといった高くて大きな調理器具は必要なし。高価なカトラリーも必要ありません。
いや一番費用がかかるといわれる換気システムを考えなくても良いのですから初期投資なんて他のジャンルと比べものにならないくらい安く済むのであります。
また高額和食のように、季節ごと に高い器を用意する必要もなく、極端な話が器無し(カウンタートップに直置きする店もある)でもオッケー。
デカイ厨房や男女別のトイレを用意する必要もなく、従業員も少なく、テーブル席もなくカウンター主体ですから、店のスペースは最小限でよいのです。
よって同じキャパ数でも必要スペースは最小となり、地代も他の高額小キャパ店より安くつくのです。勿論穴子を炙るとき と、酢飯の米を炊くときくらいしか火は使いませんから光熱費も抑えられます。
同じキャパの高額店と比べて、地代、光熱費、人件費、減価償却費などすべてが最小限に 抑えられるのですから、例え原価率が50%を超えていたとしても、客さえ来れば利益は充分に上げることができるのです。いや他のジャンル並みに原価率を30%前後にしてしまったら、儲かりすぎて笑いが止まらなくなるでしょう。
料理の原価率を、店のジャンル、キャパ、客単価をごちゃ混ぜにして比較検討しても意味はないことがおわかりいただけると思います。